将来に伝えておきたい災害廃棄物処理のはなし

~寄稿~
平成27年関東・東北豪雨による災害廃棄物処理の最前線(その2-③)
茨城県常総市市民生活部生活環境課
課長補佐 渡邊 高之
(当時)常総市災害廃棄物処理プロジェクトチームリーダー

平成29年2月

 平成27年9月に関東地方及び東北地方を襲った豪雨で大きな被害を受けた常総市における災害廃棄物の処理業務について、その2-③です。

8.水害における災害廃棄物の排出状況


 水害の発生直後、廃棄物はどのように市民から排出されるのでしょうか?ここからは、今回のような水害の場合における災害廃棄物の排出状況をご説明します。


 市は発災直後,片づけごみがどうやら大量に出るようだ。と,この時初めて気が付きました。

そこで,とりあえず仮置場を1か所設置しました。しかし,市民の動きは猛烈に早く,仮置場は直ぐに満杯になってしまったのです。


 以下のスライドは、今回の水害における発災直後の片づけごみの排出パターンです。


 水害ですのでとにかく家の中が水浸しですから,水が引いたら家財は全て濡れているわけです。

だから家に戻ってもその濡れた家財をとにかく外に出して,ドロを掃除する必要があるわけです。

そうでなかったら今夜どうしましょう。

片づけないと何も出来ない訳ですから。

だから水が引くと猛烈な勢いで廃棄物が排出されるのです。

しかも皆さん必死です。

今回の片づけごみの排出にはスライドのように3つのパターンがありました。


 まず1つ目は,市が設置した仮置場に軽トラックなどで自ら搬入するというもの。

出来るだけ早く片づけたいので,何度も何度も仮置場を往復する必要があります。

私自身,自宅が床上85cm浸水してしまったため,友人や親戚,職場の同僚などに来てもらい,軽トラックや2トントラックで運び出しました。

早朝,直ぐに仮置場に入れましたが,徐々に街中の市民の皆さんの片づけ態勢が整うと,片づけることに必死なので,先を争う勢いでアッという間に渋滞の列が出来てしまうのです。

仮置場入口にたどり着くまでに30分ぐらい並ばないと入れないのです。

だから1台の軽トラックでは足りないので,渋滞の列に並び待ちながら,携帯電話で車と人をかき集めました。

複数台の車をぐるぐる回転させ,少しでも時間を無駄にしない作戦です。


自動車学校跡地仮置場搬入車両の列①(常総市新石下)

自動車学校跡地仮置場搬入車両の列②(常総市新石下)



 2つ目はどこでもいいからとにかく空きスペースに出す。というもの。

常総市は農村地帯のため軽トラックを持っている人は多いですが,手配できない人も相当いるはずです。

市は片付けごみを仮置場に搬入するよう,防災無線を使って市民にお願いしましたが,それ以外の排出方法を決めていなかったため,仮置場に搬入されなかった大量の片付けごみが至るところに排出されることになりました。ごみが出されたのは、住宅地の公園や駐車場,道路際,空いている私有地,農村部では水田や畑の道路脇などです。


 さらに,3つ目の排出方法は、主に中心市街地では指定のごみ袋に入れて,いつもの集積所(ステーション)に出すというパターンです。

排出の状況を写真でご説明します。

こうして混合状態でだされたごみのすべてを、市町村の廃棄物部局が片づけなければならないのです。


中心市街地にある森下公園(水海道森下町)



 これが公園への排出状況です。

住宅街にある大きな公園です。

可燃性の袋ごみ,ソファー,家具,段ボール,金属性物干しざおなどが見られます。

混合状態で積み上げられています。


森下公園入口(水海道森下町)


 こちらは同じ公園の入口付近です。

家具やロッカー,金属製品,テレビ,木製品などが公園入口から溢れ,道路まではみ出ています。

相野谷公園(住宅街)小規模公園 (常総市相野谷町)


 こちらの公園は区画整理された住宅街にある小さな公園です。

入口付近から撮影されたもので,左に冷蔵庫が見えます。

奥に向かって地面に畳が敷いてあります。

濡れた畳は想像以上に重くとても一人では運べません。

右端に公園のフェンスが見えますがその高さ以上に積まれ,後ろのブランコ支柱を超える勢いです。

やはり混合状態の山です。


空き地(入口カーテンゲートは元々あったもの)
周囲は水田


 こちらは近くに複数の集落があり,水田に囲まれた位置にある空き地の状況です。

詳しい経緯は不明ですが,かなり広く空いたスペースで,入口には最初からゲートがあったようです。

中に積まれた廃棄物は混合状態ですが,空き地にきれいに収まっています。

市道わき(農村部)
28.9.30


 農村部にある片側1車線の直線道路。

道路左側には住宅が連なり,右側は水田です。


農村部直線市道わき 左側水田地帯 右側住宅


 この2枚の写真は農村部の排出状況です。

水田に投げ入れる人はさすがにいませんでしたが,道路と水田の間の微妙なスペースに置いています。

集落内市道


 こちらは集落内の市道脇の排出状況です。

道路をふさぐような出し方は見られませんでした。


幹線道路から延びる横道


 農村地帯ですが,通行量の多い幹線道路から横に入った道沿いの山です。

幹線道路には出せないので,あまり使われないと思われる横道脇に混合状態で積まれていました。

農村部市道の歩道上に置かれた土のう袋
(中身は土のうでは無くがれき類)


 こちらはやはり通行量の多い農村部幹線道路の状況です。

本線には置けませんので歩道に積み上げたようです。

土のう袋の中は土砂ではなく,木質のがれきが入っていました。


私有地であるが地区専用集積所


 看板にご注目ください。

ここは私有地です。

激しく混合状態です。

河川堤防脇(国交省所管)


 堤防の河川側にも大量の廃棄物が投棄されていました。


土のう(私有地)


 こちらの土のう袋には家からかきだしたと思われる瓦礫混じりの土砂が入っていました。

ボランティアさんのご協力により,個人住宅の泥のかきだしは頻繁に行われていました。

幹線道路沿い


 事業所などが立ち並ぶ県道沿いの排出状況です。かなりのドロが付着しています。


国道354号沿い家庭ごみ集積所(ステーション) (中心市街地)


 普通の家庭ごみと災害由来の片づけごみが混在している状況です。中にはドラム缶も見えます。

住宅街にある集積所(ステーション)


 ステーションに出されたごみは、通常の何十倍もの量です。


市役所正門前(水海道諏訪町) 中心市街地


 市役所の前でも関係なく、混合状態で山積みです。出されているのは、冷蔵庫,タンス,テレビ,ソファー,指定ごみ袋などです。

市役所本庁舎西側(水海道諏訪町) 中心市街地


 左の写真同様,市役所横でも空きスペースがあれば何でも排出されます。



 このように水害による災害廃棄物は,様々な場所に,しかし意外と微妙な位置に,激しく混合状態で,爆発的に排出される現実を見ていただきました。

第2回はここまでです。


 次回,第3回はこれら膨大に排出された災害廃棄物を,発生源から一次仮置場へ集約する段階からご説明いたします。


>>次回の掲載をお楽しみに!   画面top