リレー寄稿

 災害廃棄物対策に取り組む方々にリレー方式でご自身の専門分野や活動をご紹介いただく『リレー寄稿』のコーナーを新たに立ち上げました。
※コーナー名は今後変更の可能性がございます。

 執筆者の方々には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。本企画により、災害廃棄物分野でご活躍されている人材の「見える化」を図るとともに、皆様の知見や経験を広く共有し、当該分野のネットワークを構築することができればと考えております。

最新の寄稿


研究者系コース
貴田晶子(きだあきこ)氏
国立大学法人 愛媛大学
農学部非常勤講師
(広島県出身)

行政系コース
築谷尚嗣(つきだになおつぐ)氏
公益財団法人 国際エメックスセンター
専務理事
(兵庫県出身)



はじめに

<リレーの進め方>

●バトンを受けたら

●次の質問に応えていただきます。

■固定の質問(4問)

〇災害廃棄物に関わったきっかけは何ですか?

〇活動の中で最も強く印象に残っていることは、どのようなことですか?

〇現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいことは何ですか?

〇災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報を教えてください。

■自由記述(1問)

〇災害廃棄物対策でのつながりで感じたことや思いなどを語ってください。

●さいごに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきます。

※リレーは
行政系
研究者系
支援者団体系
の3コースを並行して進めていきます。


リレーのスタートに当たり

 東日本大震災以降も、毎年のように中小規模の局地災害が発生し、そのたびに災害廃棄物問題がクローズアップされています。災害廃棄物情報プラットフォームは、災害廃棄物処理を担う自治体やそれを支援する関係者等が将来に備えて対応力を向上させることに活用できる情報を提供することを目的として開設しました。
 一方、災害に対応していくためには、人のネットワークづくりが欠かせません。混乱する災害非常時に役割を果たすのが、信頼できる者同士のつながり、ネットワークなのです。東日本大震災時には、「きずな」の大切さが浮き彫りになりました。
 そこで本プラットフォームでは、災害廃棄物対策に関係する方々のつながりを辿って、リレー方式で連載していくコーナーを新設することにしました。執筆者には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。そして、本プラットフォームの下に関係者のネットワークが醸成されていくことを期待します。

 次回から本コーナーでは、お決まりの上記の四つの質問に回答いただき、その他自由にそれぞれの思いなどを語っていただきます。まずは私自身のことを紹介させていただいて、本コーナーのスタートにしたいと思います。 大迫政浩(おおさこまさひろ)(2017/10/31掲載)



コース別のつながりと現在走者


築谷尚嗣(つきだになおつぐ)氏
公益財団法人
国際エメックスセンター 専務理事
(兵庫県出身)
(2017/12/28掲載)

貴田晶子(きだあきこ)氏
国立大学法人
愛媛大学
農学部非常勤講師
(広島県出身)(2017/12/28掲載)

岩下信一(いわしたしんいち)氏
応用地質株式会社
執行役員
地球環境事業部長
(福岡県出身)(2017/11/30掲載)



寄稿記事


貴田晶子(きだあきこ)



国立大学法人 愛媛大学
農学部非常勤講師
(広島県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災です。国立環境研究所退職後でしたが、若手研究者が被災地での自治体支援に携わるなかで、廃棄物資源循環学会・国立環境研究所が積極的な関わりを持つ中での必然的なものでした。

○最も強く印象に残ったこと

 個人的なことでは、6月に行った岩手県北部の産業廃棄物焼却施設における調査です。海水かぶりの木材を焼却する際にダイオキシン類発生が問題となり、試験焼却をする中、放射能の調査を行うことになりました。廃棄物・排ガスの放射能測定は初めてのことであり、岩手大学の颯田先生の支援を受けながら、濃度測定及びマスバランスの推定を行い、岩手県に報告しました。不十分な知識のもとでしたが、シュレッダーダストのような不均一な試料の分析に携わった経験からできたものと思います(廃棄物の試験検査が生業である立場から)。発災後1年間は、国立環境研究所を中心にした“こんなときどうする”の質問に対して研究者が意見を出し合ったこと、廃棄物資源循環学会が“社会的貢献・役に立つ研究”を続けたことも重要なことであったと感じています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成27年に災害対策基本法・廃棄物処理法が改正され、その後は各自治体において災害廃棄物対策の計画策定が進められています。広島在住であり、近隣の自治体での策定計画に関与しておりますが、残された課題として処理困難物の対応があります。2005年のクボタショック以来、石綿の課題に取り組んでおり、災害廃棄物となる前の建物等の調査や解体時の課題等を解決すべく努力したいと思っています。環境省が今年9月に発出した災害時の石綿飛散防止マニュアルにおいても、“平時”の対策が重要と記載されており、有害物質対策の観点からも重要と考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災した自治体が処理を想定する際に、種々の業界の支援を受けねばなりませんが、どこに連絡すればよいのか、どこが対応してくれるのか、といった具体的な情報がまだまだ十分ではありません。廃棄物処理業以外の団体について情報が欲しいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 20代に読んだ本の中で、末石富太郎氏の「都市環境の蘇生」における“廃棄物メガネ”は、特に災害を考える時のキーワードだと思います。災害時は多くのモノがガレキとなります。それをイメージすること、平時においてもそれを意識して生活し、また仕事することが重要だと思います。有害物質中心に研究してきましたが、災害が起こったときに、対処せねばならないことが多々あります。健康被害、環境影響、最少にするための努力を平時に行うことの重要性を感じております。

(2017/12/28掲載)


築谷尚嗣(つきだになおつぐ)



公益財団法人
国際エメックスセンター
専務理事 (兵庫県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 阪神・淡路大震災発生時に兵庫県環境整備課(廃棄物行政の担当課)におり、国庫補助を所管する一般廃棄物指導係であったので、否応なしに担当することとなった。

○最も強く印象に残ったこと

 印象に残っているのは、災害廃棄物処理の国庫補助事業で初めて諸経費を認めてもらえたことである。
 阪神・淡路大震災までは、災害廃棄物処理事業の国庫補助において、諸経費は認められていなかった。おそらく、それまでの主な事業内容は、収集運搬、処分で工事の要素は少ないとみられていたためと思われる。しかし、阪神・淡路では、倒壊家屋の解体工事が特例で国庫補助と認められたし、仮置場での破砕・選別施設や仮設焼却炉など設置工事が必要なものも多くあり、諸経費ゼロでは対応できない。
 国に要望していたが、なかなか認められない。そこで、2月半ば、厚生省のN室長が兵庫県に来られた時に直訴したところ、早速、厚生省の担当者に電話を入れ、「解体工事等は土木工事だ。諸経費なしではできないぞ。大蔵省ともっとよく協議しろ。」と指示をしてもらった。このような経緯もあり、解体工事について、諸経費15%が認められ、査定では、他の工事についても15%が認められた。なお、15%は、当時の廃棄物処理施設災害復旧事業費補助金で定められていたものであり、建設時の諸経費率よりは低いものであった。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 大規模災害発生時、被災市町に対し災害廃棄物処理に関する助言・支援を行う「兵庫県災害廃棄物対策協力員制度」に登録している。(事務局:(公財)ひょうご環境創造協会)
 また、現在、災害廃棄物処理計画の検討を目的に設置している「兵庫県災害廃棄物処理対策検討ワーキンググループ」の座長を務めている。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害等廃棄物処理事業の国庫補助対象となるところを明示した資料があれば有難い。
 東日本大震災時の津波堆積物や豪雨災害時の廃棄物と土砂が混然一体となったものなど、補助対象と認められるものが増えてきつつあると感じているが、それの明確化が望まれる。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 阪神・淡路のときの人的ネットワークを活かして、市の協力を得て東日本大震災への支援(経験職員の派遣)や「阪神・淡路大震災20年の検証」を行うことができた。20年経っても関わっていただけるのは、大変、有難いと感じた。

(2017/12/28掲載)


岩下信一(いわしたしんいち)



応用地質株式会社
執行役員 地球環境事業部長
(福岡県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物の関わりは、東日本大震災での岩手県や福島県の災害廃棄物処理計画や処理に関わる施工監理が最初の契機になりました。
 私は地盤工学分野を専門とする技術者でしたので、津波堆積物の物性評価や再生利用の方法に大きな関心を持ちました。

○最も強く印象に残ったこと

 仮置き場に運ばれた膨大な混合状態の災害廃棄物を見たときは、「これらが目標期日までに本当に処理ができるのか?」と疑問と大きな不安を感じました。膨大な災害廃棄物の処理を進めていく中で、社団法人地盤工学会の技術指導および監修を頂いて「岩手県 復興資材活用マニュアル(災害廃棄物から分別された土砂及びコンクリートがらの活用について)」を作成しました。このマニュアルに基づいて、ほぼ全ての津波堆積物が再生利用されたことやマッチング(再生材の活用先の調整)に苦労したことが強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、自治体では災害廃棄物処理計画の策定が進められています。東日本大震災で得られた経験を活かし、廃棄物コンサルタントとして処理計画の支援、人材育成やネットワークづくり等に取り組みたいと考えています。
 また、実際の災害時には、D.Waste-Net((一社)日本廃棄物コンサルタント協会)の一員として、積極的に参画して被災地の復旧・復興に寄与したいです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物といっても災害リスクによって様々な廃棄物が発生します。その状況下で、処理困難物の特性は、地域によって大きく異なることが推察されます。実際の災害で発生した処理困難物の処理方法等の情報を共有できればと思います。
 発災後の対応は、事前の備えである災害廃棄物処理計画に対して想定外の事象が発生することも多々あります。そのためにも過去の災害対応のアーカイブスは重要な情報と思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 「天災は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦先生のことばがあります。今や災害を忘れられる前に、大きな災害が多発しています。災害廃棄物の処理の遅れは、被災地の復旧・復興に大きな影響を与えます。災害は身近と考え、処理計画の策定や発災を想定した訓練等の「事前の備え」が重要と考えます。

(2017/11/30掲載)


大迫政浩(おおさこまさひろ)



国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター
センター長
(鹿児島県出身)

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 廃棄物分野で駆け出しだった頃、阪神淡路大震災が起こり、学会の若手チームで調査研究を行った経験はありましたが、やはり東日本大震災、未曽有の津波災害に対して、環境省所管の研究機関の責任者として技術的支援の立場から関わることになったことが大きな契機になりました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災における宮城県や岩手県の沿岸部の悲惨な状況、この前まであった人の営みの場がすべて「がれき」となった姿に、自然を前にして人間が無力であることを思い知らされました。それでも、国立環境研究所では、過去に全く知見のなかった津波廃棄物の処理に対して、発災直後から全国の専門家のネットワークを通じて知見を収集整理し、被災地で活用可能な情報を発信し続けました。日頃の人のつながり、信頼関係が、被災地の人々を助けたいとの一心で結集した瞬間でした。強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 国立環境研究所では、平成28年4月に災害環境マネジメント戦略推進オフィスを設置しました。そこでは、D.Waste-Netの有識者グループの中核機関として平時から災害時までの災害廃棄物対策の支援を行うことになります。本情報プラットフォームもその一環です。熊本地震や九州北部豪雨災害時には現地での技術支援を行いました。人材育成手法の開発やその実践なども行っています。今後は、産官学問わず支援側でコアとなる専門家の人材づくりとそのネットワーク化に注力していきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 地震や豪雨災害が毎年のように起こる日本、全国各地で災害廃棄物処理に様々な立場から携わった方々が少なからずいらっしゃると思います。それらの経験者の人材のネットワークをつくるための情報を共有できればと考えています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害時の廃棄物対策には、平時とは異なる様々な混乱がありますが、決して別物ではなく両者はつながっていると思います。災害廃棄物対策への強靭なシステムをつくっていくことが、日頃の廃棄物処理にもつながっていき、強靭で持続可能な廃棄物処理システムづくりへの契機になると信じています。特に重要なことが、人材育成とネットワークづくりではないでしょうか。

(2017/10/31掲載)


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