リレー寄稿

 災害廃棄物対策に取り組む方々にリレー方式でご自身の専門分野や活動をご紹介いただく『リレー寄稿』のコーナーを新たに立ち上げました。
※コーナー名は今後変更の可能性がございます。

 執筆者の方々には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、なるべく繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。本企画により、災害廃棄物分野でご活躍されている人材の「見える化」を図るとともに、皆様の知見や経験を広く共有し、当該分野のネットワークを構築することができればと考えております。

最新の寄稿


研究者系コース
安富 信(やすとみまこと)氏
神戸学院大学
現代社会学部
社会防災学科
教授
(兵庫県出身)



はじめに

<リレーの進め方>

●バトンを受けたら

●次の質問に応えていただきます。

■固定の質問(4問)

○災害廃棄物に関わったきっかけは何ですか?

○活動の中で最も強く印象に残っていることは、どのようなことですか?

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいことは何ですか?

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報を教えてください。

■自由記述(1問)

○災害廃棄物対策でのつながりで感じたことや思いなどを語ってください。

●思いは次の執筆者につながっていきます

※リレーは
行政系
研究者系
支援者団体系
の3コースを並行して進めていきます。


リレーのスタートに当たり

 東日本大震災以降も、毎年のように中小規模の局地災害が発生し、そのたびに災害廃棄物問題がクローズアップされています。災害廃棄物情報プラットフォームは、災害廃棄物処理を担う自治体やそれを支援する関係者等が将来に備えて対応力を向上させることに活用できる情報を提供することを目的として開設しました。
 一方、災害に対応していくためには、人のネットワークづくりが欠かせません。混乱する災害非常時に役割を果たすのが、信頼できる者同士のつながり、ネットワークなのです。東日本大震災時には、「きずな」の大切さが浮き彫りになりました。
 そこで本プラットフォームでは、災害廃棄物対策に関係する方々のつながりを辿って、リレー方式で連載していくコーナーを新設することにしました。執筆者には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。そして、本プラットフォームの下に関係者のネットワークが醸成されていくことを期待します。

 次回から本コーナーでは、お決まりの上記の四つの質問に回答いただき、その他自由にそれぞれの思いなどを語っていただきます。まずは私自身のことを紹介させていただいて、本コーナーのスタートにしたいと思います。 大迫政浩(おおさこまさひろ)(2017/10/31掲載)



コース別のつながりと現在走者


吉澤和宏(よしざわかずひろ)氏
熊本県環境生活部
循環社会推進課
審議員
(熊本県出身)
(2020/12/28掲載)

岩本安未(いわもとあみ)氏
広島市環境局
環境保全課
主任技師
(広島県出身)
(2021/1/29掲載)

堂坂高弘(どうざかたかひろ)氏
人吉市 市民部環境課
廃棄物対策係
主幹兼係長
(熊本県出身)
(2021/5/31掲載)
奥田哲士(おくだてつじ)氏
龍谷大学
先端理工学部
環境生態工学課程
教授
(京都府出身)
(2020/11/30掲載)

岡山朋子(おかやまともこ)氏
大正大学
地域創生学部
地域創生学科
教授
(静岡県出身)
(2021/2/26掲載)

安富 信(やすとみまこと)氏
神戸学院大学
現代社会学部
社会防災学科
教授
(兵庫県出身)
(2021/6/30掲載)
若松秀樹(わかまつひでき)氏
株式会社神鋼環境ソリューション 環境エンジニアリング事業本部 環境プラント技術本部 装置技術部 第二技術室 室長
(新潟県出身)
(2021/3/31掲載)

長谷川順一(はせがわじゅんいち)氏
建物修復支援ネットワーク
代表
(新潟県出身)
(2021/4/30掲載)

松野陽子(まつのようこ)氏
益城町文化財保護委員
(熊本県出身)
(2021/5/31掲載)


寄稿記事


安富 信(やすとみまこと)


神戸学院大学
現代社会学部
社会防災学科
教授
(兵庫県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物に関わったきっかけは、高校時代の同級生で、災害廃棄物学会の権威、酒井伸一・前京都大学工学部教授(現京都高度技術研究所副所長)から、5年前に環境省の災害廃棄物検討委員会に誘われたことです。読売新聞大阪本社社会部時代に阪神・淡路大震災に遭遇して以来ずっと災害報道に携わり、2005年には神戸市にある「人と防災未来センター」に1年間出向して災害情報・災害報道を研究し、2014年から神戸学院大学現代社会学部社会防災学科で教鞭を執っていますが、災害廃棄物には全くの素人でした。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 ここ数年頻発している各地の豪雨水害で、被災地のボランティアに学生たちと一緒に行くようになり、災害廃棄物の実態を目の当たりにしてきました。その体験と新聞社での経歴を生かして、地域間協調ワーキンググループでは積極的に発言、提言させてもらっています。その中で、痛感していることは、災害廃棄物の処理に関し、各都道府県、各基礎自治体の中での災害対応においては、非常にその重要性が理解されていない。つまり、災害対策本部会議などにおいて、どうしても災害廃棄物の処理問題が後回しにされているということです。また、その流れもあってか、報道関係者への情報発信もあまり上手くいっていない。すなわち、水害が発生した数日後には、テレビや新聞で、「水害によるごみが、街のあちこちでうず高く積まれています。悪臭を放っています」といった報道がなされて、「叩かれる」という実態です。ボランティアの人たちの手もあまり上手に活用できていないというのもあります。

 そこで、提言しているのが、①災害廃棄物処理の問題を災対本部の中で地位を上げる②マスコミに先手を打って災害廃棄物処理の重要性を説き、廃棄物処理が上手くいくように報道してもらう③そうした上手くいっている事例をグッドプラクティス、悪い事例をバッドプラクティスとして集めて自治体向けの冊子を作る――の3点です。

 今年2月の初めの3日間、山陰地方の廃棄物処理会議に出席して、現場で対応されている自治体職員の方々の生の声を聞くことが出来ました。非常に有意義な時間でした。やはり、災害対応は、現場を訪れ、現場の話を聞く、という大切なことを改めて思い出しました。ありがとうございました。

(2021/6/30掲載)

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堂坂高弘(どうざかたかひろ)


人吉市 市民部環境課
廃棄物対策係
主幹兼係長
(熊本県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 令和2年7月に発生した豪雨災害です。

 市民部環境課廃棄物対策係に配属されていたことから、災害廃棄物の処理全般について担当することになりました。

 規模が小さい自治体なので、発災当日は人命救助や支援物資運搬業務に従事し、すぐには災害廃棄物対応ができませんでした。

○最も強く印象に残ったこと

 発災当時の環境課の職員数は7名でした。増員されるまでの1か月間は少ない人員で災害廃棄物処理の対応にあたりましたが、膨大な作業量・事務量に追われました。

 その中でも、災害廃棄物仮置場の運営に関しては、開設直後は搬入する車両で混雑し、搬入に数時間お待たせすることもありました。周辺の交通渋滞も発生し、その対応に苦慮しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 令和2年10月には街なかの災害廃棄物はほぼなくなり、現在令和3年3月には家屋解体ごみが中心になっています。令和3年12月に閉鎖を予定している災害廃棄物仮置場の運営を引き続き行ってまいります。また、今後は、災害廃棄物処理実行計画の策定や、今回の災害経験を活かせるような体制づくりに取り組んでいきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物処理計画など、日頃から計画策定、準備をしていても、いざ災害が発生すると経験不足、人員不足などから対応が遅れてしまいます。発災直後から災害査定等までの対応すべき一連の流れなど、環境省から具体的にご指導いただき実施した事業等のマニュアルを共有できれば、負担の軽減につながるのではないかと経験上感じました。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 今回の災害では、環境省、自治体、関係団体から多大なるご支援をいただきました。本当に感謝の言葉もありません。あって欲しくはないですが、今後災害が発生した際にはこのご恩をお返しできるよう、今回の経験を活かし支援をさせていただきたいと思っています。

(2021/5/31掲載)

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松野陽子(まつのようこ)


益城町文化財保護委員
(熊本県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 熊本地震で震度7を2回経験した益城町に住んでいますが、膨大な量の災害廃棄物で埋め尽くされていく仮置き場を見てショックでした。

 文化財保護委員として、貴重な文化財が災害廃棄物として捨てられないように歴史愛好家の仲間たちと保護活動に取り組みました。これは災害廃棄物を少しでも減らし、環境を守ることにつながる取り組みといえると思います。

○最も強く印象に残ったこと

 築100年以上の住宅がどんどん壊され、銘木の床柱や大木を使った柱や梁、格子戸や舞良戸まいらど、欄間など書き尽くせないほど多くの貴重なものが、重機でいとも簡単に潰されていく光景に心が痛みました。

 災害で公費解体は必要な制度ですが、歴史的建造物についてはその後の相談と検討期間を長くすることで、解体をしない選択肢が増えると考えます。これは災害廃棄物を減らすことにつながるのではないでしょうか。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 建築士会が取り組んでいる災害地の建物調査に参加し、所有者に長い伝統に育まれた歴史的建物の価値を伝えています。

 歴史的建造物を残すことで地域の貴重な文化財を守り、解体する建物を減らすことで災害廃棄物の減少を目指したいと考えます。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 新たな災害地の状況

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害発生後、最初に行われるのは運搬ルートである道路の復旧工事です。道路沿いには歴史の証人である地蔵や石碑などがありますが、倒壊や破損したものは瓦礫として処分されてしまいます。益城町では地震発生後の早い時期にテープを貼り「捨てないでください」と表示することで廃棄をまぬがれた石造物が多くあります。災害が発生すると、文化財レスキューや文化財ドクター制度で全国から支援を頂きますが、地元の事情に通じた人々の意識の高い取り組みが無ければ対応は後手後手になってしまいます。

 災害発生の早期から文化財や歴史的建造物などの保護活動に取り組める体制があれば、災害廃棄物は大幅に減少出来ると考えます。

(2021/5/31掲載)

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長谷川順一(はせがわじゅんいち)


建物修復支援ネットワーク 代表
(新潟県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 1995年の阪神淡路大震災当時、大規模火災も重なる中で「木の家は弱い、古いものほど危ない」との声が聞こえてきた記憶。それから約9年後の新潟県中越地震被災地で同じことが繰り返されぬようにとの思いから、建物の壊れた道理を分析し誤解を解き、直す道筋を追求すべく建築・土木の専門家と協働し、被災建物の解体廃棄を最小限にとどめる道を模索したこと。

○最も強く印象に残ったこと

 暮らしや生業の器としてのおびただしい数の住宅などの建物が、直す術やそのコストを知らなければ同時多発的に解体され、その結果地域一帯が記憶喪失に陥るかという程、更地化してしまうということ。また一方で修復説明会を行った別の地域では、曳家などの専門業者が競い合うようにして集結し、伝統技術により多くの建物・一帯の町並みが修復保全されたこと(旧新潟県川口町=現長岡市に吸収合併)。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 東日本大震災により、自他の敷地境界の区別なく破壊、漂流移動してしまった建物の除却のため、公費による建物制度(公費解体)が復活して以降、2014長野神城、2016熊本などの地震被災地、近年多発する水害被災地において、直せば使い続けることが出来る建物が安易に解体されるケースが多発しました。その中で建物の修復技術の普及を図ることで、過度な建物解体除却によって、被災者が復興に道筋を描けなくなることを防ぐ活動を行っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 「家繕い(やづくろい)」の技法、再生を前提にした伝統建築の技術や曳き家(ひきや)の技術による、建物の修復再生の技法。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 全産業廃棄物のおよそ半数とも、1/3とも言われる建設廃材。なかでも自然災害発生後に同時多発的に起こる建物のパニック的な解体により、廃棄物処分が過大となるばかりか、それにより被災者の生活再建の道が絶たれてしまうことがないように、これからも事前防災や災害後の建物修復など、応急対応や修復方法の普及・啓蒙活動を行っていきたいと考えています。
【参考】建物修復支援ネットワークのブログ「全壊住宅の修復再生」

(2021/4/30掲載)

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若松秀樹(わかまつひでき)


株式会社神鋼環境ソリューション 環境エンジニアリング事業本部 環境プラント技術本部 装置技術部 第二技術室 室長
(新潟県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物に最初に関わったのは、平成13年7月から2年間、現(公財)廃棄物・3R研究財団に出向した際、環境省から受託した「災害廃棄物対策マニュアル検討調査(水害廃棄物)」業務でした。委員会の運営から報告書の作成まで事務担当として対応しました。その後は東日本大震災後の災害廃棄物処理施設の仮設焼却炉の設計者として、相馬市・新地町向けならびに飯舘村蕨平向けの施設建設に携わりました。

○最も強く印象に残ったこと

 災害廃棄物対策マニュアルに携わった際、毎年のように発生する台風や集中豪雨水害による廃棄物の処理に関する資料はとても少なく、当時の知見を集約する報告書の作成はとてもやりがいがありました。また、仮設焼却炉の施設建設では当社の技術力を集約でき、運営業務を担当した同僚のきめ細かな対応により無事契約どおりに処理業務を完遂できたことで、設計員としてわずかでも復興の役に立てたのだと実感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 当社がこれまでに納めた一般廃棄物処理施設が被災した事例では、現地で運転業務・補修業務を担う多くの仲間の努力で、速やかな復旧と運転再開を実現できました。災害拠点の役割を強く求められる一般廃棄物処理施設をさらに進化させて実現するため、仮設焼却炉の運営実績も取り込み、今後もプラント設計に携わってまいります。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災以降、水害も含めて災害廃棄物処理に関する情報の集約が進み、マニュアルが飛躍的に整備され、本サイトでも公開されています。自治体では災害廃棄物処理計画の策定が広がっており、想定される災害廃棄物発生量、処理体制、周辺地域や周辺事業者との連携などの情報が示されています。これらは、一般廃棄物処理施設の設計・建設・施設運営にあたって関係者全員が共有し、有効活用すべき情報と考えます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 当社が納めた焼却施設において、鳥インフルエンザで殺処分された養鶏を焼却処理している現場を垣間見た際、施設内で業務する方々への衛生面の確保が必要だと実感しました。コロナ禍において、当社ステークホルダーで焼却施設での受け入れ業務やし尿処理施設、下水処理施設の運営に携わる方々も衛生面で大変苦労されていると思います。「衛生確保」を支える設計の必要性も強く意識していきたいです。

(2021/3/31掲載)

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高田昭彦(たかだあきひこ)


復興ボランティア・タスクフォース 代表(富士ゼロックス勤務)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2000年~2001年と、新潟県柏崎市のNEC新潟に転勤しておりました。その後、中越地震(2004年)、中越沖地震(2007年)と災害ボランティアに参加し、深みにはまっていきました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災による福島の原発避難者(移住者)の、退去片づけに関わりました。避難解除準備区域であり屋内の家財でさえも放射能を疑われました。ボランティアがゴミ袋の代わりにトン袋を持ち込んだのが、いつの間にやら通常のゴミ袋ではダメとなり苦労しました。でも一番苦労されたのは、避難者(移住者)の方です。避難先の遠地から飛行機でやって来て、ホテル宿泊、レンタカー移動の後、超速で思い出の品を分別廃棄する。もちろん、思い出の品を持ち帰ることは叶いませんでした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 ボランティアとして、いろいろな被災地で災害廃棄物と関わりました。5年ほど前までは、被災者宅の近くの平常時のゴミ置き場や公道に、水損家具、畳などを並べてよかったことが多かったと記憶しております。廃棄物処理法改正で「仮置き場」の事前選定が進められる近年では、被災者への仮置き場までの運搬が求められ、災害廃棄物運搬をボランティアが代行する事例が増えました。

 ボランティアは暫定的な問題解決として「やります!」と自発的に動くことが多々あります。ボランティアが手を出すと、「行政」「被災地の有料の商売」の邪魔をして、「被災者本人の自立」を遅らせてしまいますが、十分配慮しないと、行政サービスの低下、悪条件の固定化となってしまいます。上手くバランスをとって提言したいところです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災地以外でも、不法投棄物撤去などにも関わっています。行政の処理場への持ち込みを困惑される役所の方も居ますし、各行政でも温度差を感じます。地球環境の改善のためにも、関係者で解決していきたいです。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害ボランティアには長い経験、深い知見もあります。大学の先生などに見いだされて、防災政策に取り入れられることもたまにあります。惜しむらくは、在住/在勤地の行政や、中央行政への情報ルートがほとんど無く、提言が届きにくいことでしょう。

 顔の見える関係作りとよくいわれますが、仕組み作り、仕組みの改善にも力を入れたいところです。

(2021/3/31掲載)

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岡山朋子(おかやまともこ)


大正大学
地域創生学部
地域創生学科
教授
(静岡県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2000年9月に愛知県を中心に起こった東海豪雨では、一晩降り続いた大雨によって多くの友人の車や家財がごみになってしまいました。つい昨日の夕方まで使っていた冷蔵庫やエアコンが、朝には捨てざるを得ないごみになった状況を目の当たりにしました。このような突然大量発生する災害ごみをできるだけ減らすには、すなわち発生抑制のためにはどうしたら良いかという視点で、2005年から研究を始めました。

○最も強く印象に残ったこと

 災害廃棄物は、持ち主が捨てようと思ってごみにしたものではありません。それがある日大量に積まれている光景を見て、なんて悲しいごみなんだろうと思いました。何度見ても、その度に強く印象に残ります。そのなかでも最も強く印象に残っている光景と言えば、やはり東日本大震災です。発災1ヶ月後に被災地に入りましたが、自然の力の巨大さと失われたものの莫大さに愕然としました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は災害時のトイレとし尿処理に重点を置いた研究をしています。災害によって停電・断水している地域でのトイレ問題は深刻です。特に女性が災害トイレ弱者であることについて、今後も警鐘を鳴らしていきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害トイレは、避難所でのトイレの確保と運営、自宅避難用および職場・事業所の携帯トイレ備蓄、仮設トイレのし尿汲取りや使用済み携帯トイレ収集など、行政による公助だけではなく、共助、自助活動の部分が多いと考えています。自分のトイレは自分で確保し、災害時にはどのように使ってどのようにごみに出すべきかという災害トイレ情報を、多くの人と共有したいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 新型コロナウィルスの世界的パンデミックのため、気候変動対策がストップしている状況です。しかし、地球温暖化の進行は止まらず、今後もさらに強大な台風の襲来や線状降水帯による豪雨などが頻発するでしょう。今後30年以内の温室効果ガス排出実質ゼロに向けて、私たちは抜本的な物質利用やエネルギーの変更を行う必要があります。さらに、今後30年以内に確実に起こる南海トラフ地震、首都直下地震に覚悟して備えなければなりません。

(2021/2/26掲載)

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岩本安未(いわもとあみ)


広島市環境局
環境保全課
主任技師
(広島県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 最初に災害廃棄物に関わるきっかけとなったのは、平成26年8月に発生した豪雨災害です。

 当時、一般廃棄物の総括部署である環境局環境政策課に配属されていたことから、災害廃棄物の処理全体の総括、実行計画の策定及び補助申請業務を担当することになりました。

 それから4年後の平成30年7月豪雨災害の発生時にも、引き続き同課に所属していたことから、再び同様の業務に関わることになりました。

○最も強く印象に残ったこと

 平成26年の災害では、10月1日に専任の処理チームが結成されるまでの約1か月間、通常業務を行いながら、課長補佐と2人で処理の総括等の対応を行っていました。災害廃棄物の処理というものがなかなかイメージできない中、環境省の方々に日々御指導を頂きながら、手探りで事務を進めたことを覚えています。

 平成30年の災害では、土砂混じりがれきの処理の主体が下水道局となったこともあり、下水道局の担当者と日に何度も電話でやりとりをして情報共有を図りました。

 同様の業務を行うのは二度目でしたが、法改正や連携事業、費用償還など、4年前とは災害廃棄物処理を取り巻く環境が変化していることを感じました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 二度にわたる被災の経験を生かし、昨年度末に「広島市災害廃棄物処理計画」を策定しました。コンサル委託などは行わず一から自前で作り上げたため、策定時の達成感はひとしおでした。

 令和2年度から所属が異動し、平成30年7月豪雨に係る会計検査も終えたことから、今は災害廃棄物に関する業務はやり切ったという思いです。

 ただ、被災地の支援を目的として設立された「災害廃棄物処理支援員」に登録することとなったため、災害廃棄物との縁はまだまだ切れることはないのだな、と感じているところです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 既存施設での処理ができない場合には、新たに処理施設を設ける必要が出てきますが、経費と処理期間の観点から、どれくらいの量やエリアごとに施設を設置するのが最も効率的なのか、標準的なモデルのようなものがあれば、初動の方針決定を行う上での参考となるのかなと思います。

 また、広域的な災害が頻発する今日の状況を踏まえると、災害廃棄物対策指針において示されている品目以外のものの推計方法についても、全国的な統一を図ることが望ましいのではないかと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物処理は、一度経験すると経験者として長らく関わることになる分野だと感じています。

 このようなネットワークが醸成されていくことで、国全体の災害対応力が向上していくのではないかと思います。

(2021/1/29掲載)

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吉澤和宏(よしざわかずひろ)


熊本県環境生活部
循環社会推進課
審議員
(熊本県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 熊本地震で自宅前の道路を埋め尽くした瓦が最初に関わった災害廃棄物でした。そして、片付けを手伝っていただいた近所の方々から、共助の大切さと有難さを学びました。

 その2年後、現在の職場で本格的に災害廃棄物に携わることとなりました。

○最も強く印象に残ったこと

 平成30年7月豪雨災害で真備町の路上に置かれた災害廃棄物と、マービーふれあいセンターにうず高く積み上げられた混合廃棄物は衝撃でした。

 災害廃棄物も分別が出来ていれば、仮置場からリサイクル施設等に搬出できますが、混合廃棄物は分別に膨大な時間を要するため、改めて分別の必要性を実感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 令和2年7月豪雨災害では、災害廃棄物の「分別収集」を市町村や産業資源循環協会等と取り組みました。

 平成30年度に、すべての市町村で災害廃棄物処理計画を定め、仮置場の場所と分別するためのレイアウトは整理してありましたので、仮置場の分別搬入体制は比較的短時間に整いました。

 さらに、自衛隊による大型災害ごみの分別収集や仮置場での単一品目の優先持ち込みレーン設置など、関係者の協力や工夫もあり、分別収集は浸透し、発災後4カ月という短期間で仮置場の片付けごみはリサイクル施設等に搬出されました。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 令和2年7月豪雨災害で災害廃棄物処理が早期に進んでいる要因は3つあります。

 ①全市町村で災害廃棄物処理計画が策定済みであり、仮置場の場所と分別方法が整理済みであったこと。
 ②市町村と仮置場を管理する廃棄物処理業者の協力により、早期に仮置場で分別して受け入れる体制が取れたこと。
 ③住民の方々をはじめ、自衛隊やボランティア、事業者の分別に対する協力があったことです。

 地球温暖化により、いつどこで災害が起こるか分かりません。ぜひ、災害廃棄物処理計画の策定や仮置場の管理運営方法の検討など事前の備えを進めてください!

(2020/12/28掲載)

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久留須佑宇真(くるすゆうま)


共栄環境開発株式会社
課長
(福岡県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 令和2年7月豪雨によって、大牟田市では広い範囲で浸水被害が発生しました。

 弊社が所属している(公社)福岡県産業資源循環協会は、福岡県内の各自治体と災害協定を締結しており、大牟田市とも締結しています。

 弊社はその業務の一環として、災害廃棄物の集積場の現場運営・管理などの業務を担当しました。私は一つの集積場の現場責任者として業務にあたりました。

○最も強く印象に残ったこと

 令和2年7月6日からの豪雨のあと、集積場を開設したのが7月9日でした。開設してからは次々と災害廃棄物が持ち込まれ、場内を整備しながら受け入れを行う状態でした。

 集積場の管理業務については右も左も分からない状態でしたが、他の協会員の方々の助けを借りながら、日々の運営にあたりました。しばらくは雨が続いたり、猛暑になったりと劣悪な環境でしたが、行政の方々、協会員の方々と力を合わせ、約3ヶ月の災害対応を終了することが出来ました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害が起こらないことが一番良いのですが、ここ数年は特に、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況です。今後同じような災害が起こった際には、今回の経験を活かして災害廃棄物対策に関わっていきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害が起こったとき、混乱の中、どのように対応すれば良いのか分からないことも多いと思います。私は、これまで災害廃棄物対策に関わってこられた方々の経験に助けられ、業務を遂行することが出来ました。そのような非常時のノウハウを共有することで、緊急時のスムーズな対応、出口まで見据えた災害対応が出来ると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 大牟田市は私の地元であり、弊社も市内に本社・支店があります。

 今回、自身が災害に遭われながら対応して下さった方々や、急な応援要請にも関わらず迅速に対応して下さった方々には、ただただ感謝の気持ちでいっぱいです。

 このご恩を返せるよう、これからも災害廃棄物対策に携わっていきます。

(2020/12/28掲載)

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河辺尚佳(かわべなおよし)


岡山県環境文化部
循環型社会推進課
災害廃棄物対策室
総括副参事
(滋賀県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 岡山県に入庁後、大気や水質保全、産業廃棄物対策に携わってきましたが、災害廃棄物対策には縁がありませんでした。

 岡山県は「晴れの国」とも呼ばれる災害の少ない地域ですが、平成30年7月豪雨では、今まで経験したことがない大きな被害が発生しました。

 特に、倉敷市真備町では、5mを超える浸水により道路沿道や高架下は災害廃棄物が山積みになり隣接する総社市とともに混乱を来し、市単独での処理が困難な状況になりました。

 このため、平成30年8月28日、地方自治法に基づき、県が両市から処理事務を受託し廃棄物を代行処理することになりました。

 私は、8月29日、新設された災害廃棄物対策室に異動し、代行処理業務に取り組んできました。

○最も強く印象に残ったこと

 処理の現場では、日々課題が発生し、一つとして容易に解決できるものはなかったため、県庁から車で1時間半かかる仮置場に休日・夜間を問わず出向きました。

 中でも、発災直後に被災地で山積みされた片付けごみが混合廃棄物化したため、その処理には悩まされました。

 当初、7万トン余と推計した混合廃棄物は、13万トン以上に膨らみ、浸水による付着土砂は想定以上に固着、新たに整備した中間処理施設での選別処理も難航しました。

 処理業務は、14社で構成する共同企業体に委託しましたが、平時は許認可権者と事業者の関係である県と処理業者がお互いに知恵を出し合い、試行錯誤しながら、中間処理施設を基軸に、移動式施設も追加した上で処理フローを再構築するなど、同じ目標に向かい手を携え取り組んだことで、目標期限内での処理完了という成果を得ることができたことはかけがえのない経験でした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 令和2年4月16日に県代行処理分を処理完了、そして同年6月17日には県内の被災市町村が全て処理完了し、平成30年7月豪雨で発生した災害廃棄物は発災後2年間で全て処理を完了するとの目標を達成することができました。

 現在は、その経験を記録誌として取りまとめるとともに、来る次の災害に備え、市町村と処理業者団体との連携強化など初動対応体制の整備に取り組んでいます。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 発災から半年間は、災害廃棄物の搬出先処理業者と、道路や河川等の復旧工事により発生する産業廃棄物の処理業者が重複するなど、県内事業者の処理能力が飽和状態となり、仮置場の木くずなどの搬出先確保に困難を極めました。

 しかし、県や委託共同企業体のネットワークで確保した県外の処理業者への搬出を進めたことにより、仮置場の閉鎖といった最悪の事態は避けることができました。

 結果的に、搬出先は中国・四国ブロックにとどまらず九州地区の処理業者にまで及びました。

 災害時には、速やかに広域処理に移行できるよう、まとまった量を継続的に受け入れできる処理業者の情報を広域的に共有することは不可欠だと考えます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害はいつ、どこで、どう発生するのか予測できず、突発的に発生するため、事前準備もできないことから、日頃から、災害廃棄物処理計画の策定や対応マニュアルの整備のほか、本県が協力協定を締結する県産業廃棄物協会と市町村の顔の見える関係づくりなど、対応体制の強化に取り組むことが重要です。

 一方で、どんなに準備しても、発災時の現場に想定どおりのことは何一つなく、その時々の状況に応じた柔軟かつ機敏な対応や判断が求められます。

 固執した考えや数時間の判断の遅れは、災害廃棄物の不要な滞留を招き被災地の人命救助や復旧活動に大きな支障を来すことになることからも、強い使命感や責任感を礎とした個の対応力の底上げが急がれます。

(2020/11/30掲載)

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奥田哲士(おくだてつじ)


龍谷大学
先端理工学部
環境生態工学課程
教授
(京都府出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年の東日本大震災の時に、当時は広島に居たので災害の影響はほとんどなかったため、少しでも何かお手伝いができたらと、廃棄物資源循環学会のタスクチームに入れて頂き、「災害廃棄物分別・処理実務マニュアル」で少し書かせていただきました。それもあり、2014年8月に発生した広島市の局部的豪雨による災害の際に、お声がけを頂き、いくつか委員などさせて頂きました。その時調査はしていませんでしたが、後に浅利先生代表の研究(環境省環境研究総合推進費)に参加、現地で有害廃棄物やボランティア、情報伝達の調査をさせて頂きました。

○最も強く印象に残ったこと

 上の豪雨災害の時、災害のあった広島市で第25回廃棄物資源循環学会研究発表会(翌9月開催:幹事長)の打ち合わせをしており、「すごい雨だなー」と話していましたが、災害になるとは思っておらず、翌朝ニュースを見て驚きました。その後、上の調査をさせて頂いている際に、道路一本を挟むと家ごと流されている光景や、被災者の方と直接話す機会がたくさんあり、色々な意味での「隔たり」、「かたより」を実感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 メインは当学の水原先生がされている研究ですが、災害時の状況把握、情報伝達、ボランティア活動の効率化について、ゆるく携わらせて頂いています。上の環境省環境研究総合推進費では、被災者の方から様々な回答、ご意見を頂いていて、早く論文にしなければ、と思っているのと、災害時の状況把握や監視に、ドローンが使えないかと思っていますが手が回っていません。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害は大変さとその対象数の掛け算で整理したりしますが、前者は被災者の状況によって変わるものですし、人命に関わる情報や事柄となると数字では表せなくなります。よって、なるべく小さい集団や狭い範囲の多面的な情報が必要と思われ、かつ、それらをまとめる手法の両方が必要だと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 上述の「きっかけ」までは、災害廃棄物の「さ」の字も知らないところでしたが、お手伝いすることが少しずつ増えました。災害廃棄物がご専門でなくても、力を発揮できるシーンはありますので、ご興味があれば上述の学会の災害廃棄物研究部会や身近な災害に関するグループに登録されてください。

(2020/11/30掲載)

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立石 功(たていしこう)


一般社団法人佐賀県産業資源循環協会
専務理事兼事務局長
(佐賀県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 佐賀県を定年退職後、2018年6月に(一社)佐賀県産業資源循環協会事務局に再就職しましたが、協会が災害廃棄物の処理支援を行うことになっていることを知ってからです。

○最も強く印象に残ったこと

 佐賀県は、自然災害の少ない地域でしたので、市町も県も、そして協会も、十分な備えができていませんでした。そのような中、2019年8月末豪雨で佐賀県が被災し、市町から支援要請があったのですが、市町も協会事務局の私も初めての経験で、段取りがよく分かりませんでした。

 幸い、市町を担当する協会の幹事社が他県での災害廃棄物処理支援の経験、ノウハウがあり、幹事社が中心となって協力会社に再委託することで、何とか処理を終えました。

 印象に残っている点というか、幹事社の苦労、課題について以下に挙げます。
・幹事社対応ということが先行してしまい、被災企業であるにもかかわらず幹事社を務めてもらいました。事前に調整すべきでした。
・幹事社及び協会事務局は、会員の中から毎日の収集運搬車両を調達するための調整に労力、時間を費やしました。
・焼却施設ごとに受入量、サイズ、車両の積載量など条件が異なったため、破砕機の手配、車両の確保が大変でした。
・諸経費が認められない中で、単価の設定に苦慮しました。
・市町に提出する報告書の作成が大変でした。(日報、写真、伝票等)
・市町、県、協会、いずれも、事前に十分な備え、訓練が重要であると思いました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 環境省が、平時の備えの充実の必要性を指摘、指導しています。(公社)全国産業資源循環連合会の助言も参考にしながら、平時から県内の市町との研修や訓練が必要だと思っています。

 佐賀県は、研修会、訓練、図上訓練、仮置場の設置運営訓練、現地視察などを行い、市町、県、関係団体との顔の見える関係を作り、連携体制を構築するとのことですので当協会としても、経験した会員の話や助言も提供しながら、役立つ研修、訓練となるよう期待しています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 備えておいてよかった点、備えていなかったため苦労した点などの経験情報

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 今回、災害廃棄物処理支援に直面し、熊本県などで支援を経験した方の助言が参考になりました。そして、当協会も支援を経験したことから、経験情報として今後、良かった点、悪かった点をリアルに伝えることができると思います。

 このような全国での経験情報を蓄積して提供し、それを参考にしながら、各々の県の実情に応じて、対応を考えると良いのではないかと思っております。

(2020/11/30掲載)

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河原 隆(かわはらたかし)


総社市
選挙管理委員会
事務局長
(岡山県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 人事異動により平成29年4月、総社市環境課長兼総社市一般廃棄物最終処分場長と、総社広域環境施設組合事務局次長兼吉備路クリーンセンター長を拝命しました。想定外の異動でした。平成30年度は「災害廃棄物処理計画」の策定を掲げていたところへ平成30年7月豪雨により発災。災害廃棄物の処理をはじめ、関係自治体や関係団体との調整、災害報告書の作成や補助金の申請など災害廃棄物業務全般に関わりました。

○最も強く印象に残ったこと

 市内の団体をはじめ、関係する自治体、ボランティアの皆さんなどのご協力やご支援のおかげで災害廃棄物の処理ができたことです。猛暑のなかで始まった処理でしたが、さまざまな力が集まり融合したことで乗り越えられたのだと思っています。

 また、仮置場や一次仮置場に出された片付けごみのなかにはついこの間まで家族団らんのなかで使われていた情景が目に浮かぶようなものも数多くあり、つらい気持ちになったことを記憶しています。今回、災害廃棄物の処理工程で見つけることのできた写真やアルバムなどの思い出の品を持ち主に返還する取り組みが行われました。多くはないと思いますが、少しでも持ち主のもとに戻ったことはよかったと思っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 環境課から選挙管理委員会事務局に平成31年4月に異動しましたが、災害廃棄物処理の経験をお話しする機会を数回いただきました。上手ではありませんが、経験したことをお話しすることはできます。そうした機会のなかで当市の対応に対し客観的視点からの情報をいただいたこともありました。他の実例を知り比較することで何かを見いだし、それを伝え残すことができればと思っています。伝え残すという意味で今、令和2年度中の発行を目指す『平成30年7月豪雨に伴う災害廃棄物処理の記録』の編さん中です。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 あのときを振り返ると、初動時に仮置場の運営や被災者や復旧に関わる業者からの問い合わせの対応など先の見えないなかで苦労しました。対応を記した資料はありましたが、やはり同じ事務所にいていただき助言をいただいたり相談できたりする人的支援は有益だと思っています。同じ浸水被害でも状況は一律ではないですが、共通する部分はあると思いますので、その方からの情報は万一の際に被災自治体にとっては拠りどころになるものと思われます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 一次仮置場を倉敷市と総社市の共同運営で吉備路クリーンセンター(ごみ処理施設)に開設したことからはじまり、二次仮置場は倉敷市と総社市、矢掛町の2市1町での設置、これに岡山県への事務委託、公費解体の制度設計と実施など、県や市町、関係団体と連携し災害廃棄物の処理を行いました。このつながりは心強いものでありました。共通の処理を経験したことで事後の検証で得られるものも大きいと思います。

 災害廃棄物の処理については、被災した自治体の地形をはじめ、市役所・役場の残存能力、発災後の天候、被災を免れて残っている機能(ごみ収集やごみ処理施設、建設重機、運搬車両など)、道路や橋の被災、仮置場となる土地など同じ条件ではありません。混乱している時期に仮置場の管理運営をはじめ、処理工程の決定、災害報告書の作成と補助金のことなど、被災者に寄り添いながら対応することはたいへんです。豪雨災害が頻発するような今の気象状況から、被災した自治体が参考にできる災害廃棄物処理のノウハウ情報を整理したものを整備してはと考えます。

(2020/10/30掲載)

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水原詞治(みずはらしんじ)


龍谷大学
先端理工学部
環境生態工学課程
講師
(滋賀県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 奥田先生(龍谷大学)が環境研究総合推進費「災害廃棄物処理の実効性・安全性・信頼性向上に向けた政策・意識行動研究(H28~H30)」(代表:浅利先生(京都大学))に参画されるにあたり、大学内の研究メンバーとしてお声掛け頂いたのがきっかけです。その中で、災害廃棄物の適正廃棄に関する住民の意識・行動や災害ボランティアの情報源・活動内容等について調査を行いました。

○最も強く印象に残ったこと

 平成30年7月豪雨の被災地に行かせていただいた際、自宅の片づけをされている被災者の方々やお手伝いをされている災害ボランティアの方々、仮置き場や避難所で運営に携わられている職員の方々など、それぞれ奮闘されている姿を見たことで改めて自然災害の怖さを痛感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、複数の自治体の災害廃棄物処理計画策定モデル事業に参加させて頂いております。研究面では、災害ボランティアの活動に与える影響要因、特に災害廃棄物の分別行動について研究を行っています。今後は災害廃棄物処理を円滑に進めるために災害ボランティアに必要な情報、最善な提供方法などについて研究を行っていきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物処理で困った事、事前に準備しておいた方が良かった事、事前準備で上手くいった事などの経験談は色んな形で共有して頂きたいと思います。そういった経験談・情報が他の自治体の災害廃棄物処理計画の策定に生かせるのではないかと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 研究室の学生と災害廃棄物の話をすると、被災経験の無い学生は自然災害の怖さや災害廃棄物処理の大変さ等をイメージしにくいように感じます。そういった学生にも平時の備えを含めた災害廃棄物対策の大切さについて理解・認識してもらうことが重要ですので、教員という立場で貢献できるよう努めてまいります。

(2020/10/30掲載)

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加久伸治(かくしんじ)


一般社団法人
熊本県産業資源循環協会
専務理事
(熊本県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成24年7月の熊本広域大水害に、当時、県の廃棄物対策課長として災害廃棄物に係わったのがきっかけで、熊本県産業廃棄物協会(現:熊本県産業資源循環協会)と熊本県及び県内全市町村との協定締結が最初の取組です。協会の協力により約3万トンの処理を11月には終え、協会の重要性を認識した出来事でした。

○最も強く印象に残ったこと

 平成28年4月に熊本県産業廃棄物協会の事務局長(のち専務理事)として就任直後の4月14日に発生した熊本地震への対応です。震度7の地震が二度も発生するという未曾有の災害により、大量の災害廃棄物が発生し、その対応に会長始め協会員が一丸となり、更には九州各県協会の協力を得て300万トンを超す災害廃棄物を県の目標であった2年以内での処理にこぎ着けた事は今でも忘れられない出来事です。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は、令和2年7月に発生した大水害の災害廃棄物処理の早期終了を目指して協会員一丸となって取り組んでいるところであり、まずは、そちらが円滑に進むよう頑張っているところです。また、全国産業資源循環連合会の災害廃棄物委員会の委員も務めており、これまでの経験を産業廃棄物処理業界としての災害廃棄物処理への適切な対応の為に活かしていきたいと考えているところです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物は一般廃棄物であるので、本来各自治体が処理すべきものであり、その支援として我々協会員の役割があります。そのため、まずは各自治体間の協力体制がどうなっているのか、いざ災害が起きた際、各自治体でどの程度の処理であれば協力できるのかを全国的な観点から事前に把握しておくことが重要と思われるので、そのような情報を頂きたいです。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 つい最近の事例では、全域に避難指示が発令されているにもかかわらず、仮置き場を設置し搬入を周知するような出来事があり、却って混乱を招いた例があります。マスコミサイドは絵になることからどうしてもゴミがあふれて復旧の妨げになっている状況を批判しがちであり、首長も過敏になりがちです。しかし避難指示が出ているときにゴミを捨てる行為は危険きわまりない状況であり、今回は幸い何事も無かったから良かったものの、もし事故が起きていたら首長の責任問題になることから、仮置き場設置とゴミの搬入は慎重に行って頂ければと思います。

(2020/10/30掲載)

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水口定臣(みなくちさだおみ)


一般社団法人
えひめ産業資源循環協会
専務理事
(愛媛県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私がえひめ産業資源循環協会と関わるようになった平成28年4月、愛媛県が災害廃棄物処理計画を策定し、全市町に平成31年3月までに市町計画を策定するように通知しました。当協会は、平成15年4月に県と「災害時における廃棄物処理の協力に関する協定」を締結し、「災害時における復旧支援規程」を制定していましたが、支援実績もなく何もしていない状態でした。広島豪雨水害や熊本地震等局所的な災害が発生するようになり、災害廃棄物について多くの報道がなされていたことから、支援要請があることを想定して、毎年資機材調査や県外被災地の視察調査を行い、協会や会員の対応能力向上や環境省や県等関係機関との連携強化を図るようにしたのが災害廃棄物に関わるきっかけでした。

○最も強く印象に残ったこと

 平成30年7月豪雨災害で松山市の土砂災害のみが報道される中、孤立した南予地方の水害や土砂災害の状況やSOSがSNSで流れてきたときに、「大変なことになってる。これからどう対応するか。」と思いました。

 休日でしたが直ちに会員の安否確認を始めると、被災地域では事務所や機材が流出や水没した会員が多くいました。その後、県と共に仮置場が順次混合廃棄物で溢れていっている市町の仮置場の設置運営や搬出等の指導助言、勝手仮置場の災害廃棄物撤去や災害廃棄物広域処理の運搬のボランティア活動、災害廃棄物処理を行っている会員の支援等であっという間に2か月程が経ち、災害廃棄物の県内処理に目途が立った時にはホッとしました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成30年7月豪雨災害の災害廃棄物処理を行ってみて、幾つかの改善点がありそれらの対応を行っています。1点目は災害廃棄物の実施主体である全市町との協定を令和元年6月に締結し連携強化を図っていること。2点目は支援要請があった場合に迅速に対応できるよう、情報伝達訓練やBCP策定等会員の能力向上を図ることです。

 また、災害廃棄物を一般廃棄物として特例等で処理することには無理があり、一廃、産廃と新たに災害廃棄物という新たなスキームで処理を行うのがベストと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物に関して処理主体である各市町村が、「して欲しいことリスト」と「出来ることリスト」を作成し、関係機関と情報共有することです。このリストがあれば支援団体は無駄なくプッシュ型支援が行えます。

 また、環境省災害廃棄物ブロック協議会には処理主体である市町村が全ては参加しておりませんが、全市町村が参加し情報共有を図るようにすることも重要です。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物に関わる一人一人が前向きに主体となってつながれば、迅速に処理が終わり早期に復興に着手できると思います。

(2020/9/30掲載)

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鈴木慎也(すずきしんや)


福岡大学
工学部
社会デザイン工学科
准教授
(愛知県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2016年4月に発生した熊本地震の際に、廃棄物資源循環学会九州支部の一員として、D.Waste-Netによる支援チームに参加したことがきっかけです。九州地方では埋立処分に関する研究が盛んで、その当時としても災害廃棄物処理における埋立処分場の役割を再認識するべく実態調査を進めました。その経験も踏まえつつ、学会九州支部メンバーで申請した文部科学省科学研究費「災害廃棄物を受け入れた埋立地の環境リスクの評価」が採択され、災害廃棄物処理に関する研究を本格始動しました。

○最も強く印象に残ったこと

 2016年5月だったと思いますが、熊本県南阿蘇村付近で土砂崩れが多く発生していた地域を運転中に緊急地震速報が鳴り、「ああ、このまま家族に何も言えずに小宮さん(九州大学)と一緒に死ぬのか・・・。」と嘆いたことです。というのは半分冗談で(半分本気)、被災地の皆様の多くが、いつも明るい笑顔で迎えていただけることです。過去に何度も大きな自然災害に遭遇した日本では、その度に立ち上がって一から積み上げ直していく力強いDNAが国民一人一人に力強く刻まれているのを実感します。支援に入っているはずの私の方こそ勇気づけられます。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 国立環境研究所の多島良氏にお誘いいただき、環境省環境研究総合推進費「災害廃棄物対応力向上のための中小規模自治体向けマネジメント手法の開発」に携わっています。本研究を通しても、また被災地の現場支援に入っても各自治体の担当職員のご苦労を痛感します。何とか研究活動や様々な支援が実を結ぶように祈る毎日です。また、ずっと以前から高田光康氏にお世話になっている「退蔵物」の研究を究めていきたいと考えています。日本の今後の社会を考える上で、極めて重要課題と考えています。

 今後は、学者ならではの視点で、被災地支援の新機軸を提案できるようにしたいです。災害廃棄物処理における「学」の役割、学の貢献とは何か?常に自問自答しながら、何とか世間の皆様に認めていただけるような活動を進めて参りたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 現地に支援に入ると、現地だからこそ得られる情報があります。ただし、広域災害の場合には、ともすると近視眼的な情報収集になり全体を網羅する視点が弱くなることも、一方では生じるかも知れません。そのためには個々の取り組みもさることながら、全体マネジメントの機能を今以上に強化する必要があると考えています。

 問題は、それをどのように実現するか?これだけIT等が進化した時代にあっても、情報の共有は意外と難しいものです。現場の第一線には、様々な支援者が入り込み、コミュニケーションをとりながら対応を進めていきますが、ほぼ初対面であることが多いので、ぎこちない笑顔と挨拶から始まります。そうかと思えば、とある組織体の内部事情に少し突っ込んでしまう事実が得られたりして、(仮に情報共有することが最善策だと分かっていたとしても)共有相手の選び方を常に考えてしまうものです。例えば、情報共有に関するそんな課題を上手に乗り越えながら、中枢機能に対しては「今まさに現場で起こっていること」を的確に伝えられる体制を構築することが求められていると思います。

 我々学会チームにスケールダウンして考えても、同様な指摘が成り立つかも知れません。現場の第一線に入り込んで行う支援と、後方支援を上手く組み合わせて、初動時の対応をスムーズにできるようにしたいです。

 ・・・いただいたお題とは少しずれた回答となってしまいました。今共有したい情報としては、2020年7月に熊本県庁に設置された災害対策本部には、新型コロナ感染予防対策を徹底する中、アベノマスクを身につけている人は一人もいませんでした(皆不織布マスクでした)。苦笑

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 私は国立環境研究所の災害廃棄物情報プラットフォームを初めて拝見した際に、内容の充実ぶりに感銘しました。できるだけ多くの関係の皆様に、この素晴らしいサイトの存在を伝えていければと考えています。

 各地の成功事例をもとに、(入退出の動線を含めた)仮置場のレイアウトをデータベース化するとよいかも知れません。ダムカード、ダムカレーなどがダム愛好家を上手に取り込んでコアなファンを定着させたように、災害廃棄物処理の分野でも、仮置場カード、仮置場五目弁当をつくって愛好家を増やしたいです。「木くずをそこに置いたか~」とかつぶやきながら、肉そぼろ食べてみたいです。

(2020/8/31掲載)

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岩田恭典(いわたやすのり)


株式会社西田興産
事業開発部
次長
(愛媛県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成30年7月7日に発生した、平成30年度豪雨災害により、大洲市では床上浸水約3000棟、床下浸水約800棟、事業所被害約1000事業所という大きな被害が発生し、災害廃棄物が大量発生しました。

 この廃棄物の仮置場運営と最終処分の大部分を弊社が担当することとなり、責任者の補佐として仮置場からの廃棄物搬出が終了するまでの半年弱の間、関わらせていただきました。

○最も強く印象に残ったこと

 当地で大規模な水害が発生したのは10年以上ぶりで、また過去にない規模での水害となりましたので、当初想定した災害廃棄物仮置場が数日で満杯となる勢いで、行政と連携して急遽第1~第5仮置場と複数の仮置場を準備し、それらの運営管理を行う必要が発生しました。

 仮置場運営・災害廃棄物最終処分までの間、猛暑が続き火災の発生や熱中症等の人的被害が発生する危険性が非常に高く、また仮置場には被災住民の方々や被災企業から廃棄物が絶えず持ち込まれる為事故が発生する可能性もありました。その対策として、各仮置場に現場責任者を配置し、情報共有を行うためインターネットメッセンジャーにてグループ連絡網を作成し報連相を徹底しましたが、情報共有として非常に有用な手段であったと思います。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は当地においては災害廃棄物の対策は終了しておりますが、昔から大洲市を流れる肱川は水害を繰り返しており、いつ同様の事態が発生するかもしれません。

 防災対策により今後の水害が起こらないことを期待しておりますが、万一発生した際はできる限りの協力を行い、地域に貢献していければと考えております。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 発生当初特にですが、災害廃棄物の発生状況と、どういった廃棄物がどの程度運び込まれるかといった情報が集まらず、終わりが見えない中でどこまでの準備・対策を行ったらよいか不安にさいなまれました。

 災害廃棄物の発生状況と量の予測を迅速に情報収集する仕組みと、災害廃棄物の受入ルールの策定と周知徹底が必要だと強く感じました。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 弊社では土木工事や、産業廃棄物の管理型処分場の運営を行っており、今回の災害において行政と協力し災害廃棄物の受入・処分を担当させていただきました。

 平時には想定しない業務となり、普段はあまり関わらない方々と協力して作業を行っていくことで、多様な立場の方々と仕事をさせていただきました。

 今回の業務で得た知識を社内で共有し、万一再度このような災害が発生した場合、即時に有効な対応で地域に貢献できるように備えたいと思います。

(2020/8/31掲載)

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大槻(おおつき)


福島県生活環境部
一般廃棄物課 副主査
(福島県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 令和元年10月12日からの令和元年東日本台風により福島県は甚大な被害を受けました。

 発災直後、私は災害廃棄物とは別の分野での災害対応をしていましたが、県は専門の職員5人(主幹1名、技術系職員2名、事務系職員2名)を配置することとし、その一員として11月11日から災害廃棄物処理に関わることになりました。

 私は、事務系職員として災害関連事業の補助金に関する業務の担当となりました。

○最も強く印象に残ったこと

 市町村等では、住民への応対、また契約や支払事務に忙殺され、なかなか補助金に関する事務に手が回らないことかと思います。

 それにもかかわらず、提出期日はしっかりと守る、書類が分かりやすい、緻密に費用が算出されている、処理方針については住民を第一に考えるなど、非常事態の混乱期であっても全力投球で職務に取り組んでいた市町村等職員の姿勢が印象に残っています。

 特に災害査定での皆様の一生懸命さは忘れがたいものでした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在も補助金に関する業務をしております。

 処理を進める上で、初動対応や指針を示せていればもっとスムーズでコストもかからない処理ができたのではないかという場面があります。

 したがって、今後、決して万一とは言えない災害が起きた時に向けての関係機関との連携や連絡体制の構築に取り組めればと考えます。

 また、私は以前借上げ住宅の部署で仕事をしていたことから、今回の災害で同部署に一時的に呼び戻され、これまでの経験を活かして業務を行いました。災害廃棄物処理でも同様に経験者が一人でもいることで市町村等の助けになると思うので、県として災害対応の体制を整えるのも大切だと考えます。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物処理に係る廃掃法や適化法など関する法令の情報です。

 我々は自治体職員である以上、各法の本を読み勉強しないといけませんが、災害廃棄物に特化した解説書などがあればとも思います。

 また、発災直後は市町村からの補助金の対象の可否の問い合わせでほぼ1日が終了していたため、より具体的な補助対象に関する情報を共有できればと思います。

 さらに、かなり具体的ですが、稲わら及びアスベストの処理について情報提供、共有させていただければと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 今後は、コロナ対応など新たな問題への備えもしなければならないと考えます。実際に、インフルエンザで市町村等の職員や同僚が次々と倒れ、苦しい思いをした時期もありました。

 また、私は職場の人間関係に非常に恵まれました。事務量自体は膨大で過酷な災害廃棄物処理をなんとかリタイアせずいられるのは、チームの力があったからこそと確信しています。今後災害廃棄物処理に当たる方は職場の雰囲気作りにも努めていただければ幸いです。

 さらに、他の自治体職員からは多大なる支援をいただきました。なかにはプライベートでボランティアをしていただいた方もおり、被災地のために貢献したいという熱い思いを感じ、自分も頑張らなくてはとより思いました。

(2020/7/31掲載)

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西谷伸治(にしたにしんじ)


坂町役場 建設部
都市計画課 課長
(広島県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 坂町は職員数約100名の小規模自治体です。当時は環境係と防災係が一つとなった環境防災課の課長でした。平成30年7月豪雨災害直後は、人命救助、避難所運営等の対応を主に行っていましたが、大量の土砂、ガレキ、被災家屋からの混合廃棄物の撤去も同時に進めなければならず、災害廃棄物処理業務も同時に担当することになりました。

○最も強く印象に残ったこと

 豪雨災害では巨大な土石流が住宅密集地を襲い、多くの方が犠牲となりました。想像を絶する大量の土砂やガレキが堆積した現場を見て、呆然と立ち尽くしていた記憶があります。そのような状況の中、昼夜を問わず、多くの消防士・警察官・自衛隊の方々と行方不明者の捜索に従事したこと(残念ながら未だに発見されていない事)が最も心に残っていますし、今後も忘れることはないでしょう。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 建設部に異動後も災害廃棄物仮置場の復旧を担当し、3月末でようやく業務が終了しました。また、他の自治体等に災害当時の状況や災害廃棄物処理の経験を話す機会が何度かありました。発災後、全国の方々からご協力いただき、大変お世話になりました。微力ながら次は自分が災害発生時には、すぐにでも現地に駆け付け支援したいです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 経験上、災害廃棄物処理(補助申請等の事務を含め)を職員のみで完了することは不可能でした。災害廃棄物対策だけでなく、被災自治体での職員の受援体制、インフラ復旧、被災者支援体制など、各自治体が発災時から復旧・復興まで実施した事業の工程表を共有できれば、事務負担の軽減に繋がるのではないかと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物対策にも、土木積算業務・財務会計事務(契約事務含む)・財政運営(予算編成、起債、交付税等)に精通した職員が必要だと感じました。特に土砂撤去・仮置場復旧・家屋解体のスキームでは技師の知識と経験が必要です。どの自治体も土木系の人材不足が続いていますが、我々、災害対応を経験した者が、やりがいや達成感をもっとアピールすることで、モチベーションの高い職員が環境部局を希望するようになれば嬉しいですね。

(2020/6/30掲載)

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沼田大輔(ぬまただいすけ)


福島大学
経済経営学類
准教授
(兵庫県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 鈴木慎也先生(福岡大学)に、2016-2017年度に、大阪湾フェニックスセンター 廃棄物の適正処理・水処理に関わる調査研究助成「少子高齢化時代における循環資源の退蔵の実態と適正管理方策に関する研究」に誘って頂いたのがきっかけです。そこでは、災害により、家庭に退蔵されていたと思われる粗大ごみや家電製品などが仮置場などに多く排出され、災害廃棄物として処理されている現状が伺われることに着目しました。そして、それらが、平常時に適正に排出される方策について、住民や自治体へのヒアリング・アンケートなどによって検討しました。

○最も強く印象に残ったこと

 2019年10月の台風19号の豪雨で浸水した福島県福島市と福島県伊達市の被災家屋のボランティアに、私のゼミの有志の学生と参加しました。片付けでドロドロになり、水を吸った畳や布類などが思いのほか重く、重労働で筋肉痛になりました。そして、あらゆる家財が水につかり、目の前で水害ごみに次々となっていくのを目の当たりにしたことが強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 2019年11月に、岡山県倉敷市で開催された、国立環境研究所主催の「「平成30年7月豪雨災害」災害廃棄物処理に係る現地視察・研修会」に参加する機会を頂き、災害廃棄物の仮置場などを視察し、岡山県・倉敷市の災害廃棄物担当の方々のお話を伺い、多くの自治体の災害廃棄物担当の方々、研究者の方々などと議論させて頂きました。研修会後は、福島県のいくつかの仮置場を、自治体の担当者の方々のお話を伺いながら視察させて頂きました。今後は、これらを足掛かりに、災害廃棄物をいかに効率的に減らすかについて、主に住民の視点から考えていきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物を減らすための平常時の取り組みについて、主に住民の備えの視点から、情報収集したいと思っています。また、災害発生時の災害廃棄物に関わる住民・ボランティアの行動についても情報収集したいと思っています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 家庭由来の災害廃棄物の発生抑制・リデュースをどう進めるかは、平常時の一般廃棄物の発生抑制に向けた取組とは異なる点がいろいろあるように思います。各住民が災害廃棄物の発生抑制に向けた取組について平常時に思いをめぐらす機会があると多少なりとも効果があるのではと思ったりしています。

(2020/6/30掲載)


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