リレー寄稿

 災害廃棄物対策に取り組む方々にリレー方式でご自身の専門分野や活動をご紹介いただく『リレー寄稿』のコーナーを新たに立ち上げました。
※コーナー名は今後変更の可能性がございます。

 執筆者の方々には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、なるべく繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。本企画により、災害廃棄物分野でご活躍されている人材の「見える化」を図るとともに、皆様の知見や経験を広く共有し、当該分野のネットワークを構築することができればと考えております。

最新の寄稿


研究者系コース
東條安匡(とうじょうやすまさ)氏
北海道大学大学院工学研究院
環境創生工学部門 准教授
(千葉県出身)

支援者団体系コース
小野義広(おのよしひろ)氏
新日鐵住金エンジニアリング株式会社
環境ソリューション事業部 部長
(大分県出身)



はじめに

<リレーの進め方>

●バトンを受けたら

●次の質問に応えていただきます。

■固定の質問(4問)

〇災害廃棄物に関わったきっかけは何ですか?

〇活動の中で最も強く印象に残っていることは、どのようなことですか?

〇現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいことは何ですか?

〇災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報を教えてください。

■自由記述(1問)

〇災害廃棄物対策でのつながりで感じたことや思いなどを語ってください。

●思いは次の執筆者につながっていきます

※リレーは
行政系
研究者系
支援者団体系
の3コースを並行して進めていきます。


リレーのスタートに当たり

 東日本大震災以降も、毎年のように中小規模の局地災害が発生し、そのたびに災害廃棄物問題がクローズアップされています。災害廃棄物情報プラットフォームは、災害廃棄物処理を担う自治体やそれを支援する関係者等が将来に備えて対応力を向上させることに活用できる情報を提供することを目的として開設しました。
 一方、災害に対応していくためには、人のネットワークづくりが欠かせません。混乱する災害非常時に役割を果たすのが、信頼できる者同士のつながり、ネットワークなのです。東日本大震災時には、「きずな」の大切さが浮き彫りになりました。
 そこで本プラットフォームでは、災害廃棄物対策に関係する方々のつながりを辿って、リレー方式で連載していくコーナーを新設することにしました。執筆者には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。そして、本プラットフォームの下に関係者のネットワークが醸成されていくことを期待します。

 次回から本コーナーでは、お決まりの上記の四つの質問に回答いただき、その他自由にそれぞれの思いなどを語っていただきます。まずは私自身のことを紹介させていただいて、本コーナーのスタートにしたいと思います。 大迫政浩(おおさこまさひろ)(2017/10/31掲載)



コース別のつながりと現在走者


林宏巳(はやしひろみ)氏
福岡市環境局
循環型社会計画課
(福岡県出身)
(2018/5/31掲載)

阿波正治(あなみまさはる)氏
東峰村
総務課兼住民税務課
係長
(福岡県出身)
(2018/8/31掲載)

林篤嗣(はやしあつし)氏
広島市環境局
業務第一課 課長
(広島県出身)
(2018/8/31掲載)

島岡隆行(しまおかたかゆき)氏
国立大学法人
九州大学大学院
工学研究院環境社会部門
教授 (京都府出身)
(2018/6/28掲載)

吉田英樹(よしだひでき)氏
室蘭工業大学大学院工学研究科
くらし環境系領域社会基盤ユニット
准教授 (北海道出身)

(2018/8/31掲載)

東條安匡(とうじょうやすまさ)氏
北海道大学大学院工学研究院
環境創生工学部門
准教授(千葉県出身)
(2018/9/28掲載)

保田静生(やすだしずお)氏
三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
プラント事業部 技師長
(大阪府出身)
(2018/7/31掲載)

日笠山徹巳(ひがさやまてつみ)氏
株式会社大林組
エンジニアリング本部
(鹿児島県出身)
(2018/8/31掲載)

小野義広(おのよしひろ)氏
新日鐵住金エンジニアリング株式会社
環境ソリューション事業部 部長 (大分県出身)
(2018/9/28掲載)



寄稿記事


東條安匡(とうじょうやすまさ)



北海道大学大学院工学研究院
環境創生工学部門 准教授
(千葉県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 阪神大震災後に廃棄物学会内に作られた自主研究グループ(リーダー:島岡先生)に加えていたことがきっかけです。兵庫県、大阪府内に設置された多数の仮置場を視察した他、当方は北海道なので1993年に発生した北海道南西沖地震、釧路沖地震での廃棄物処理状況の調査も行いました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災の発災1ヶ月後に岩手県にタスクチームの一員として入りました。すぐに太平洋側の沿岸部を視察に行きましたが、呆然としました。95年の阪神大震災と比べると、津波で何もかもが目茶苦茶に混ざり合っていて、この混合物の適正処理は極めて困難だと感じました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 巨大災害ブロック協議会に加えて頂いていますが、小さな自治体では実行計画や処理計画の策定について意識が低かったり、人材不足から作成自体が難しい状況にあると感じています。計画策定を支援するツールのようなものを作れないかと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災後の専門家のネットワークは非常に有効に機能したと思います。発災時に同様のネットワークがすぐに立ち上がり支援できる仕組みが重要だと思います。D.Waste-Netのような仕組みはその意味で必ず役に立つと信じます。加えて、過去の災害での対応事例を網羅的に整理しておくことも重要であると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 東日本大震災の後、すぐに学会内にタスクチームが立ち上がったこと。また国立環境研究所の山田先生が知っている方々を集めネットワークを作ったこと。当方はタスクチームのメーリングリストを管理していましたが、次々に多くの方が協力・支援に立ち上がり、リストに登録してほしいと連絡してきたことに感激していました。この分野の方々は被災地の状況に対して何とか貢献したいと考えていることが本当によくわかりました。

(2018/9/28掲載)

小野義広(おのよしひろ)



新日鐵住金エンジニアリング株式会社
環境ソリューション事業部 部長
(大分県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 弊社では2000年頃からシャフト炉式ガス化溶融炉を用いた災害廃棄物処理に取り組んでおり、私も弊社納入施設周辺で起こった水害や高潮、地震で発生した廃棄物処理について処理方法の検討・検証を行ってきました。また東日本大震災では、廃棄物資源循環学会の焼却部会のメンバーの一員として、震災廃棄物処理の経験を今後に生かす為に、記録や資料を取りまとめて情報発信を行いました。

○最も強く印象に残ったこと

 シャフト炉式ガス化溶融炉の商用1号機は釜石市に採用して頂きました。またシャフト炉の改善研究も釜石市にお世話になり、私自身この改善研究の間、釜石に3年間住んでいました。TVの向こうに映る見慣れた街並みが津波によって一変してしまう光景があまりにショックで、併せて災害に翻弄される方々の姿をみると、少しでも早い復興のために役に立たなければという使命感に駆り立てられました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 中間貯蔵施設での減容化施設にシャフト炉を採用して頂くことになり、放射性セシウムに汚染された廃棄物の本格処理を開始します。まずは安全・確実な処理を実現することに全力を挙げていきます。また各地で頻発する災害対応においても、当社グループが各地での災害廃棄物処理で積み重ねたノウハウを生かし、迅速な支援が行える体制を整えたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 処理をする立場からは、処理すべき災害廃棄物の質と量を早く把握したいです。同時に処理可能な質と量を提示する必要があると思います。しかし、災害廃棄物は発生個所や被災状況によって多種多様で実際にモノを見ないと、処理を依頼する側も受ける側も何とも言えない(質も量も判らない)のが現実です。まずは早く災害廃棄物を集積することが重要で、平時にその場所を確保しておくことが必要と思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 昨今は豪雨災害も多発しており平時の備えの重要性は皆理解していると思うのですが、市町村で災害廃棄物処理計画が策定されているのは2017年度末で33%だそうです。平時に検討してもなかなか整理できないことが、災害時には待ったなしで決断を迫られます。今年(2018年9月現在)も災害は次々と起きています。完全でなくとも、検討して難しい部分を浮き彫りにするだけでも大きな意味があるように思います。

(2018/9/28掲載)

日笠山徹巳(ひがさやまてつみ)



株式会社大林組
エンジニアリング本部
(鹿児島県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年東北地方太平洋沖地震の津波により発生した災害廃棄物の処理・処分工事における支援業務および関連技術の開発がきっかけです。また、災害廃棄物や津波堆積物などに起因した環境汚染問題の評価・対応に関する社外部会に参加しました。

○最も強く印象に残ったこと

 これまでは土壌・地下水汚染対策や廃棄物処分場建設、不法投棄廃棄物処分などの土壌環境分野を主な業務としていましたので、甚大なる災害に伴う廃棄物や発生土砂等への対応では、多岐広範囲にわたる知見や柔軟な発想、そして多方面の関係者との繋がりが重要と感じました。関連検討会や住民説明会では、多くのステークホルダーを対象とした合意形成の難しさなど、リスクコミュニケーションの重要性も痛感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 今も災害廃棄物対策の施工支援や技術開発を行っていますが、後者では主に災害廃棄物の有効利用技術に注力しています。特に放射性物質の除去土壌等については、「除去土壌等減容化・再生利用技術研究組合(VOREWS)」に参画のうえ、活動を行っております。
 災害廃棄物の減容化・再生利用について、より多くの住民の方々の合意を得るには、より安心・安全な技術検証、その成果の正確な情報提供が必要と考えます。支援者団体の立場ではありますが、再生利用が進むように貢献していきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 昨今、暴雨や台風による未曾有の自然災害が発生しており、大量の災害廃棄物が発生し、住民生活優先の対応が求められています。過年度の経験からボランティアや広域行政支援体制はマニュアル化されていると聞いておりますが、災害廃棄物対応マニュアル等の情報ももっと多くの方々に日頃から啓蒙して頂きたいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 国家戦略「骨太の方針」では、災害廃棄物の処理や被災インフラの復旧が課題と挙がっています。土木工学、環境工学に関与する者として、常日頃よりこれらの課題を意識するとともに、各種支援業務や技術開発を通じて、有用な方策を社内外に発信していきたいと思います。

(2018/8/31掲載)

吉田英樹(よしだひでき)



室蘭工業大学大学院 工学研究科
くらし環境系領域社会基盤ユニット 准教授
(北海道出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年9月に東日本大震災岩手県での災害廃棄物仮置場での火災発生につながる温度上昇の現場観測を初めて行ったことです。国立環境研究所のご紹介を受けて、岩手県沿岸のある自治体が管理されている仮置場に定期的に現場に伺って、温度とガス成分の観測を行いました。実際に火災が発生していましたので、現場観測の結果を管理者に報告して、現場管理に役立てていただきました。

○最も強く印象に残ったこと

 初めて現場に伺った時は、津波被害の大きさにショックを受けました。残っていた建物は大型の鉄筋構造物だけで、それらの建物も窓は破れ、鉄筋構造物は折れ曲がり、津波衝撃の大きさを実感しました。調査を終えて、夕方過ぎに現場を離れる頃には道路照明もなく、あたりが真っ暗な闇に包まれていたのを覚えています。人々の生活の場があれほど根こそぎ奪われた現場というのは実際に見ないと実感できないように思いました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 私の住む北海道もこれまで経験したことのない大規模な洪水災害がここ3年ほどで2回も起こっており、次はいつどこで災害が発生するのかわからない状況です。北海道で災害が起こった時に、他の地域と比べて災害廃棄物の発生量や質も異なる点もあると思います。たとえば、厳冬期に災害が起こった場合にどうなるのか、という点も含めて調査や計画に携わっていきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物の発生量や質は災害や地域特性によって大きく変動します。たとえば、北海道の洪水災害では農産物の廃棄物が大量に発生して、処理処分に苦労されたと聞いています。これまで発生した災害での災害廃棄物の発生特性のデータベースがあれば今後の災害対応に役立つのではないでしょうか

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 現場で災害廃棄物対応を担当された方に直接お話を伺うことがとても大切であると思います。その点では、このような災害廃棄物情報プラットフォームを利用することはたいへん有意義なことだと思います。

(2018/8/31掲載)

林篤嗣(はやしあつし)



広島市環境局
業務第一課 課長
(広島県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成26年8月豪雨による広島市の土砂災害です。推計量58万トンの災害廃棄物の処理を進めるため、環境局内に設置された災害廃棄物処理担当のメンバーとして、概ね1年半、計画策定から処理実施までの一連の業務に携わりました。

○最も強く印象に残ったこと

 発災後、環境省からリエゾンや技術専門家が派遣され、政府も現地対策本部を広島市役所に設置して、災害廃棄物の処理対策や国庫補助の対応など、昼夜を問わず多くの御支援をいただきました。
 また、仮置場や中間処理施設の整備等にあたっては、広島県をはじめ地元や関係団体など、多くの皆様に御協力をいただきました。
 こうした御支援・御協力があったからこそ、早期の災害廃棄物処理につながったと思っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物処理に携わった御縁で、自治体職員を中心にお話をする機会をいただいています。
 自治体職員は定期的な人事異動があることから、人材育成が大きな課題となっています。
 このため、本市の経験から、平時の備えとして災害廃棄物処理計画・マニュアルの策定や支援協定の締結、これらの運用のための図上訓練の必要性などを説明するようにしています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 地震や津波、豪雨、豪雪など自然災害で発生する災害廃棄物は様々です。
 各自治体では、災害の規模は異なるものの様々な災害廃棄物の処理を行っていることから、災害別に廃棄物量の推計方法や処理方法、受援内容などの情報が共有できれば、今後の処理対策に大変役立つものと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 発災当初は、被災の全貌をつかむことが精一杯で、具体的な対策を網羅した処理実行計画の策定は困難です。
 しかし、処理方針や処理完了時期等の目標を、市民へ早く示すことは大変重要です。
 特に被災者にとっては、生活再建に向けた青写真が見えることが大きな励みになります。
 このため、まずはラフなものでも一早く示し、その後、市民からの要望等も踏まえ、処理工程等を具体的に検討して、柔軟に計画を見直していくことが必要だと思いました。
 また、廃棄物処理だけでなく、処理過程で発見した「思い出の品」の対応など、被災者や御遺族の心情に最大限の配慮を払うことも大切であることを学びました。
(追伸)
 寄稿中に平成30年7月の西日本豪雨災害が発生し、現在、本市も災害廃棄物の処理を行っているところです。改めて、このたびの災害により、犠牲となられた御霊の御冥福をお祈りし、被災者の方々にお見舞いを申し上げるとともに、御支援・御協力をいただいた皆様方に心から感謝申し上げます。

(2018/8/31掲載)

阿波正治(あなみまさはる)



東峰村
総務課兼住民税務課 係長
(福岡県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成29年7月5日に発生した九州北部豪雨で暗中模索の状態での災害廃棄物との関わりでした。当日午前中に台風3号が無事通過し、島根県において確認された線状降水帯という聞きなれない言葉を正午のニュースで耳にしたことはありましたが当事者意識も薄く午後から業務を遂行している状況で、その矢先に未曾有の事態となったのは周知のとおりです。

○最も強く印象に残ったこと

 発災後、電気・携帯・電話回線などのライフラインが遮断され、当時「廃棄物」に関する知識や経験も皆無に等しい状態であり、今後発生するであろう「災害廃棄物」を“いつまでに”“どのように”処理していくのかといった不安が脳裏をぎりました。
 そのような中において地域コミュニティの重要性や関係団体との関わり合いを再認識させられたところです。仮置場においては自治体職員の数が限られ苦慮している最中、地域住民や地元消防団員の皆様に自主的に受付などの運営を担っていただいた場面があり、小さな自治体ならではの強固な絆をより一層感じた出来事です。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 全国的に数少ない小規模自治体で、災害等廃棄物処理業務は平時・災害時に関わらず、基本的に担当者1名で対応しており、災害時の業務継続の観点(視点)から考察した結果、職員の少ない自治体であっても通常時より職員間における災害廃棄物処理業務の情報共有が必要であり、共有することによって災害時に迅速に対処できる体制を構築することで、危機的状況を回避する体制づくりに努力を傾注したいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害数日前に県で開催された災害廃棄物研修会での国立環境研究所の宗氏のご講演内容について、幸か不幸か暇もなく実践する機会が訪れ、D.Waste‐Net担当として来村いただくという運命的な巡り会わせを感じました。
 「想定外はない!有備無患」万人の知るところの言葉ですが、国・県及び関係機関においては実践的な研修会及び想定される事象の検証や情報提供を今以上に提供いただければ幸いです。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 「生活を支えていたものが災害ごみとなる」ということを痛感したことです。時間や住民からの要望は待ったなしです。日々刻々と状況は進行形で推移していく中で国や県及び他自治体からのプッシュ型派遣や関係機関からの迅速な情報提供の重要性を感じたところです。
 全国的には「高齢化と少子化」「都市と地方」の2極化のなかで災害廃棄物対策に取り組む課題は違ってくると感じます。あわせて災害の広域化による処理の困難さも今後の重点課題として顕在化することから、地域がいつでも連携できる仕組みづくり、並びに災害廃棄物に携わる人材の裾野の広がりが必要不可欠ではないでしょうか。いずれにしましても常日頃より「災害への備えや対策を怠らない」との戒めの日々を送っております。

(2018/8/31掲載)

保田静生(やすだしずお)



三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社
プラント事業部 技師長
(大阪府出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 1995年の阪神・淡路大震災の仮設焼却炉の運転調整が最初でした。それまで未経験の災害廃棄物には何が含まれ都市ごみと何が違い、それを踏まえてどのように工夫して炉の運転を安定させるかが課題でした。2011年の東日本大震災では、福島県内の除染廃棄物を主体とする仮設焼却炉の建設に携わり、全く未経験分野の放射能に関する知識の習得から始まりました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災では宮城県下の既存のごみ焼却施設の復旧と石巻ブロックの仮設焼却炉にも関与しましたが、何と言っても福島県の放射能汚染廃棄物を焼却した際の放射能の挙動の推定が最も苦慮したことでした。国環研大迫センター長のアドバイス、環境省福島環境再生事務所(当時)の指導の下、最初の大型仮設炉となる富岡町減容化処理業務では2014年3月から現場代理人を務めました。三菱重工の原子力部門の放射線管理の知見を得て共同で汚染廃棄物のセシウム挙動の推定と放射線管理のマニュアルを策定しました。もう1点は、被災者の心情に留意した施設建設のあり方です。環境省のご担当と密に情報共有しながら建設工事を進めました。富岡町の建設完了後は変動する廃棄物性状に合わせた安定運転と放射性物質濃度の変化による排ガス中の放射性物質濃度の管理、発生する焼却残さ(焼却灰とばいじん)の放射性物質濃度の把握と放射能バランスの確認のため、初動段階でのデータ収集・解析が主な任務でした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 富岡町の運営が順調に推移するのと並行して、開閉所(川内村・田村市の境に設置)と大熊町の減容化処理業務でも、施設建設に携わり、富岡町で培った知見が活きました。富岡町では鹿島建設㈱が所掌した仮設破砕選別施設から持ち込まれる津波堆積物・家屋解体廃棄物などと焼却炉の稼働との連携は重要な留意事項でした。今後想定される大規模地震ではこれらの知見が活かされ迅速に対処できるよう知見を整理して残していく必要があります。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 阪神・淡路大震災では市町村が発注された仮設焼却施設が主体でした。東日本大震災では環境省・県・政令指定都市から発注されました。省庁・県がそれぞれ情報の集約はなされているので個々の情報は回っていますが、全ての情報の存在が系統的に情報公開されることで今後に活かされると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物の仮設焼却施設の建設・運転に深く関与してきましたが、建設・運営する企業の立場としては、迅速に廃棄物を処理して住民の生活の復旧・復興に寄与することが任務になるわけですが、広域処理や法令の緩和が検討されることで、施設の建設の初動が早まり、ひいては住民の生活の早期復旧に貢献できると思います。

(2018/7/31掲載)

青山和史(あおやまかずふみ)



鹿島建設株式会社 環境本部
環境リノベーショングループ
(兵庫県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2000年9月に発生した東海豪雨に伴い、愛知県内の大府市など2市7町から発生した水害廃棄物処理の施工を担当したことがきっかけです。当時は、会社にとっても、私にとっても、初めての大規模水害より発生した災害廃棄物処理で試行錯誤の連続でした。その後、2004年7月に発生した福井豪雨による水害廃棄物処理、2011年3月に発生した東日本大震災による石巻ブロックの災害廃棄物処理の施工を担当しました。

○最も強く印象に残ったこと

 東海豪雨、福井豪雨と2度の災害廃棄物処理の経験はありましたが、東日本大震災後に石巻の現地に入った際、仮置き場に高く積まれた膨大な災害廃棄物の量、津波の被害を受けた泥まみれの災害廃棄物を見て、「本当に発災後3年以内に終わるのか」「どこからどう手をつけたらいいのか」と感じたことを強く覚えています。
 最終的に300万トン以上の災害廃棄物の処理を完了し、仮置き場から災害廃棄物が無くなった時に、地域の方から「本当にありがとう」と言われたことが、強く印象に残っています。地元の復興の少しでも助けになれたのではと思っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 石巻ブロックでは、廃棄物の選別、可燃物の焼却、灰のリサイクル、津波堆積物の洗浄、改質など、災害廃棄物の様々な処理を実施しました。私自身は石巻ブロックの業務完了後、本社に転勤しましたが、この経験は福島県富岡町や大熊町の災害廃棄物減容化業務に活かされています。
 石巻ブロックでの災害廃棄物処理はこれまでに経験のない大規模災害廃棄物処理のモデル現場でした。今後予想される大規模災害時にこの経験が活かされるように、民間の立場で情報発信を行っていきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 大規模災害で発生した災害廃棄物処理において、うまくいったことはもちろんですが、本当に苦労した点、改善したほうがいいこと、今後の課題など、現場の生の声を工事記録としてまとめて、アーカイブ化することが必要と思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 石巻ブロックの業務に携わらせていただいたご縁で、環境省、宮城県、石巻市等の『官』、東北大学や宮城大学、東北学院大学等の『学』、プラントメーカや廃棄物業界等の『産』の様々な方々との出会いがありました。東日本大震災後、広島市豪雨災害、熊本地震など大規模災害が実際発生し、また南海トラフ巨大地震の発生も予想されています。産官学連携した平時からの取組が災害発生時の迅速な初動対応につながると考えています。そのために、今後も人と人のつながりは大事にしたいと強く思います。

(2018/6/28掲載)

島岡隆行(しまおかたかゆき)



国立大学法人九州大学大学院
工学研究院環境社会部門 教授
(京都府出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 6,000人を超える犠牲者を出した1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災である。当時の廃棄物学会会長、花嶋正孝先生は、若手廃棄物研究者の育成を掲げておられ、学会の自主研究の一環として私をリーダに、30歳代の会員(5名)で被災地を調査することになった。被災直後から約2年間、6回に亘り、被災地を調査した。被災地自治体の担当者にヒアリングもさせていただき、調査結果は報告書として取り纏め、年会で会員に無償配布した。

○最も強く印象に残ったこと

 阪神・淡路大震災における喧噪と混沌。ワンフロアが押し潰された神戸市役所。大型トレラーに積載され道路を走る(?)阪急電車の車両。ミンチ解体される損壊家屋。三ノ宮駅前のグランドに山積みされた電信柱。街中の粉塵で壊れた愛用していたカメラ。自治体によって異なる統括部局:土木局、環境局、経済局。神戸市、宝塚市、尼崎市で、やむにやまれず実施された野焼き。一面、炎と煙で覆われた“戦場”さながらの沿岸域の野焼き現場。家庭以外からの廃棄物は産業廃棄物だとして、かたくなに受入れを拒否されていた伊丹市の仮置場。ライフラインが途切れた神戸市東クリーンセンター空地に累積した廃棄物とその中のおびただしい数の、しかも、底にきちんと穴があけられたガスカセットボンベ。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 私が住んでいる九州地方は全国的にも台風や集中豪雨による水害、火山災害、土砂災害、地震など自然災害が多い地域と言われています。災害発生後、迅速に現地に入り、現状の把握と現地の支援に努めている。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 公表されている災害廃棄物発生量は、環境省による災害等廃棄物処理事業補助金により処理された廃棄物の量である。大規模地震では膨大な量となるであろう環境省以外の省庁、JR・NEXCO、大企業等が処理責任者とされる廃棄物も含めた災害に伴う廃棄物の全体像を明確にしたい。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 ご自身や身内の方々も被災されている中においても、災害廃棄物の初期対応に全力で職務に当たっておられる自治体の方々に、いつも感動を覚えます。大学・学会として被災自治体を支援するための適切なタイムライン、支援方法を検討していきたい。

(2018/6/28掲載)

林宏巳(はやしひろみ)



福岡市環境局
循環型社会計画課
(福岡県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成28年4月の熊本地震発災時、福岡市環境局循環型社会計画課の計画係長に任命されており、通常業務としてごみ処理の総合調整を担っていることから、福岡市の窓口として熊本市への支援に関わることになりました。
 その後、平成29年7月の九州北部豪雨、同年9月の台風18号水害における支援にも関わり、様々な方と知り合うことになりました。

○最も強く印象に残ったこと

 熊本地震発災後約1週間経過して、支援内容の確認等で熊本市役所を訪れましたが、新幹線の窓から見える家屋の屋根には大量のブルーシートが載せられ、市内道路には多量の災害廃棄物が積み残されていました。
 熊本市では、連日連夜鳴り止まない電話を取り続ける職員や市民の叱責を受ける職員を目の当たりにし、同じ市職員としてできる限り力になりたいと思いました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 熊本地震における初動の反省点を踏まえ、支援希望自治体の判断で被災自治体に入って速やかに支援できるよう、熊本地震で関係の深まった北九州市、熊本市及び福岡市の3市にて相互支援協定を平成29年6月に締結しました。
 今後も国や県と協力しながら、福岡県内や九州全体での支援の枠組み構築に取り組んでいきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災市町村は速やかに災害廃棄物の処理体制を構築しなければなりませんが、市町村職員は数年で異動するため、廃棄物処理の知見がほぼゼロに等しい場合もあり得ます。
 災害時には災害廃棄物の収集運搬、仮置場の設置、災害廃棄物の域外搬出、支援自治体への差配等の臨時発生する不慣れな業務を処理する必要があることから、これまでの被災自治体の知見を国がマニュアル等の形で残してもらえると助かります。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 残念ながら災害廃棄物は一般廃棄物と定められているので、基本的には市町村の責任で処理することになりますが、一定期間経過後に排出される解体廃棄物にしても産業廃棄物処理の知見が必要とされる部分が多くなり、廃掃法政令市以外では対応に苦慮します。
 災害廃棄物に限って一廃・産廃どちらの区分でも処理できるようになれば、産業廃棄物処理業者でも処理方法等で協力しやすくなりますし、域外の処理ルート構築を視野に入れることができ、処理スピードが格段に上がります。
 災害廃棄物を速やかに処理することが望まれている昨今の情勢を踏まえ、法改正等によって市町村の負担軽減をご検討いただければ幸いです。

(2018/5/31掲載)

平野孝行(ひらのたかゆき)



西松建設株式会社
土木事業本部 土木設計部
(岐阜県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年東北地方太平洋沖地震の津波災害により発生した多岐にわたる膨大な量の震災がれきを、大規模・広域での受入れ場所がないため従来型の枠組みで処理することが難しいことから、可能な限りの再資源化を図ることとなったことがきっかけです。

○最も強く印象に残ったこと

 平成7年兵庫県南部地震の時は東京にいてほとんど揺れを感じませんでしたが、阪神高速道路高架橋が横倒しになるなど土木構造物が壊滅的な被害を受けていたこと、地震発生3日目に神戸和田岬に上陸した時、避難所にいた小さな女の子が怯え切った眼をしていたことが今でも記憶から離れません。奇しくも東日本大震災でも3日目に仙台に入りましたが、神戸の時と違い建築物や土木構造物の被害がそれほど目立たないことの意外性の一方で、沿岸部では、津波によって何一つ原形を留めず津波堆積土砂に覆われた平地とがれきに覆いつくされてしまった住宅地とのコントラストが印象的でした。震災がれきの処理と再資源化を図ると言っても何から手を付けて良いのか途方にくれたものです。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 恒常的な課題となっている未利用資源の活用に向け、震災がれきの処分と有効利用の立場から開発・事業化された技術を応用し、資源循環型社会の構築の拠点形成の足掛かりとなることを目指した資源循環コンソーシアムに参加しています。今後これら未利用資源を地盤系建設材料として利用していくための情報の整理や技術開発などを通して、一層の資源循環社会の構築に携わっていきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 未利用資源を事業者に利用してもらうために、必要とされる情報(特性,排出量・場所・時期)を排出者側から収集すると共に、土と未利用資源を組み合わせた新しい改良土技術の環境安全上の課題の整理とその対応策の検討、並びに施工とのマッチングを考えた施工単価や工期の評価を行いたいと考えています。そのための情報の提供や共有を期待しています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 昨今頻発する豪雨災害や、巨大地震などのように自然災害の激甚化が進む中、平常時から資源循環による廃棄物利用の姿勢を保つことが災害時にも役に立つことになります。平常時から、安全・安心、かつ快適な社会システム構築のために、未利用資源や災害廃棄物の利用形態を考えるようにしていきたいと思います。

(2018/5/31掲載)

山田正人(やまだまさと)



国立研究開発法人 国立環境研究所
福島支部 汚染廃棄物管理研究室 室長
(千葉県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本の震災の後、電車も動かずガソリンも無く、つくば市にある研究所まで行けずに、しばらく自宅待機となりました。その間に、以前からお付き合いのあった地環研の研究者などにお願いし、Webベースで意見を交換することで、被災地からの災害廃棄物処理に関する技術的な質問に答える「震災対応ネットワーク」を作ったのが始まりです。

○最も強く印象に残ったこと

 私の最初の被災地入りは福島県でした。当時は原発事故などもあり、環境省が派遣した支援チーム以外、まだ外からあまり人が入っていませんでした。そのときに見た津波被災地は忘れられない光景です。特に被災された方がおそらく自宅のがれきの中から、呆然となにか探している姿が強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 被災地で災害廃棄物処理をみていて、手選別に興味を持ちました。特別な器機がなくても導入でき、通常の廃棄物処理の現場でも質の高い資源を回収する主力の技術です。ただし、こうやったらこうなる、という理論が判然としておらず、それを明らかにすれば、途上国での災害廃棄物処理でも役に立つ技術になると思って研究しています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 東日本大震災のときは、災害廃棄物処理のメインシステムが焼却となり、資源利用でなかったのが反省点の一つだと思います。もし、地域の産業を最大限活用すると、処理の期間や費用はどうなるかを検討した当時のレポートは、http://www.jesc.or.jp/library/tabid/210/Default.aspxにアーカイブとして残っています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 適正な災害廃棄物処理の基本は全て平時の廃棄物処理にあります。災害廃棄物処理は、物がない、人がいない、時間がない中での緊急時対応ですが、そういうときこそ、平時からの繋がりや積み重ねがものをいいます。何か特別なことではなくて、普段の廃棄物処理のプロフェッショナルとなることが、災害への備えになると思います。

(2018/5/31掲載)

小崎昭也(こざきしょうや)



熊本市環境局
資源循環部 部長
(熊本県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害時の対応を定めた環境局防災計画において、災害廃棄物の収集方法や処理計画作成等については廃棄物計画課長が担うことと定めており、平成28年4月1日に廃棄物計画課長に着任した私は、必然的に災害廃棄物の処理に関わることになりました。その後、平成28年4月14日21時26分と4月16日未明に震度7を観測、4月16日午前中までに震度6以上を5回観測する熊本地震に見舞われました。

○最も強く印象に残ったこと

 熊本地震の発災直後、戸島仮置場(二次仮置場)を開設しましたが、本市の焼却施設のうち、能力が大きい東部環境工場が地震で機能停止した影響もあり、当初の予想を超えて可燃性の災害廃棄物が戸島仮置場に集積され保管高は最大で9mを超えました。加えて内部の温度は60℃を超え、このまま放置すると自然発火する恐れがあったことから、地元の廃棄物処理業者による処理と平行して、県外処理業者による広域処理も開始し、どうにか7月末までに搬出を終えることができました。
 特に戸島仮置き場の上空は、熊本空港に向かって航空機が高度を下げてくる位置にあり、万が一火災等が発生した場合は、航空機にも影響を及ぼす恐れがあったことから迅速な対応が求められました。
 これら戸島仮置場における対応が最も強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 発災直後から多くの団体様より支援の申し出をいただきましたが、その団体との連絡調整職員が不足するなど、受援体制の課題も浮き彫りになりました。その経験から、翌年6月1日付で、本市と福岡市、北九州市の3都市において「九州3指定都市災害廃棄物の処理における相互支援に関する協定」を締結しました。今後はこの協定に基づく相互協力体制の構築と、他自治体との連携強化を図って行くとともに、大規模災害廃棄物対策九州ブロック協議会においても、役割・責務を果たしていきたいと考えております。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物の処理を迅速かつ適正に進めて行く上で、広域処理はとても重要なファクターの一つだと考えております。そのためにも災害の概況や被災自治体のニーズを迅速かつ的確に把握し、それらの情報を関係機関等で共有できる環境を構築していく必要があると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物の処理にあたっては臨機応変な対応が求められますが、とりわけ発災直後の初動の対応は、その後の処理にも大きく影響してくることから特に重要です。
 今回、廃棄物関連部署での経験があったことで、特に大きな混乱も無く災害廃棄物の処理を進めていくことが出来ましたが、改めて、平時からの災害廃棄物の処理に関する知識と専門性を有する人材の育成と関係機関等との「顔の見える関係づくり」の大切さについて再認識させられました。

(2018/5/15掲載)

浅利美鈴(あさりみすず)



国立大学法人京都大学
地球環境学堂 准教授
(京都府出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年東日本大震災です。発災直後に廃棄物資源循環学会に立ち上がったタスクチームの一員として、発災後の2週間後から現地に行かせて頂きました。仙台市の支援に向かう京都市(環境政策局)のバスに乗せていただいての現地入りでした。京都市との関係等から、(当時、災害廃棄物については素人の)私が派遣されることになりましたが、現地では、全国の学会員への情報発信と、情報収集のハブ役として活動し、災害廃棄物処理のためのマニュアル開発などにあたりました。

○最も強く印象に残ったこと

 仙台市では、私たちが到着したときには、早くも仮置場の準備や、仮設焼却炉の検討が進められていました。そこで市役所の方から尋ねられたのは、「焼却炉はどの様式が良いか?」「塩水を被った災害廃棄物はどうしたらよいか」ということでした。即答できず、詳しい学会員の方々とやり取りをして回答したことを覚えています。災害廃棄物は、廃棄物処理・管理に関するあらゆる知識を総動員しなければならないと強く感じました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は、災害廃棄物の研究が、私自身の研究の柱にもなっています。自治体がいかに効果的に備えることができるか、住民や災害ボランティアの目線からどうか、多角的な視点から検討しています。同時に、災害廃棄物から見えてくる根本的な課題や、平常時との効果的な連携について、より力を入れていきたいと思っています。例えば、災害廃棄物は、災害時にいっきに廃棄物化するために、処理が困難になりますが、災害がおきなくても、いつかは処分しなければならなかったストックというふうに捉えると、空き家問題、高齢化問題、有害廃棄物問題など、様々な問題との接点が見えてきます。それらに事前に備えることが、広義での社会コストを下げられるということを示していければと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 現在、住民や災害ボランティアの方々との連携について検討しており、近くマニュアルのようなものを出したいと思っております。是非、多くの自治体の方々に見ていただきたいです。また、廃棄物資源循環学会においても、災害廃棄物のネットワークを継続的に運用していく予定です。そこには自治体の皆様からのインプットが不可欠ですので、ご参加・協力、よろしくお願いいたします。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 非常に個人的な話ですが、東日本大震災では、多くの自治体の方々と、大変な時間をともにさせていただいたことで、忘れられないつながりができました。今でも何かあるごとにお会いしたり、ご相談したりしています。今後の災害でも、こうした人と人とのつながりに結びつくような支援・受援の輪が広がればと思います。確実に来ると言われている南海トラフ地震や首都直下地震・・・人の輪を広げつつ、地道な準備を継続できればと思っています。

(2018/4/26掲載)

野口真一(のぐちしんいち)



一般社団法人泥土リサイクル協会
事務局長
(高知県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成18年7月に長野県岡谷市で、大雨により諏訪湖や天竜川に注ぐ市内各所の支流で土石流や河川氾濫が相次いで発生し、大量の災害廃棄物が排出されました。その時に災害廃棄物を分別して現地で有効活用する事業提案したのがきっかけです。
 この経験を踏まえ、2009年に地盤工学会九州支部シンポジウムにて、「土砂災害廃棄物の再生利用」について論文発表するとともに、それ以降に発生した大規模土砂災害において、会員企業を通じて災害廃棄物の有効活用について提案してきました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災において、「災害からの復興における災害廃棄物、建設副産物及び産業副産物の有効利用のあり方に関する提言委員会(委員長:京都大学大学院 勝見 武)」の事務局として参画し、「災害からの復興における社会基盤整備への復興資材等の利用のあり方に関する提言」ならびに「災害廃棄物から再生された復興資材の有効活用ガイドライン(以下、ガイドライン)」の策定に携われたことです。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 分別土砂には木屑等の有機分が混在していることで、土質材料として活用することを躊躇したり、見送られた事案をよく耳にしてきました。そこで、分別土砂中の木屑の分解・消失が土の変形特性にどのように影響するかについて、検証していきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 有効活用するためには、まずは利用方法ならびに利用先を明確にすることが重要であり、そのためには復興事業において計画時点でガイドラインを活用していただけるよう、平時においてガイドラインに関する勉強会や講演会等で説明するなど、D.Waste-Netの一員として貢献して参ります。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 市民にとって、一般廃棄物は分別すれば資源であるとの認識はあっても、災害廃棄物は“廃棄物”のラベルが容易にはがれないものだと感じました。災害廃棄物も分別すれば資源であることをわかりやすく啓発していくことが必要だと思っています。

(2018/4/13掲載)

舟山重則(ふなやましげのり)



仙台環境開発株式会社 経営企画部長
一般社団法人日本災害対応システムズ 事務局長

(神奈川県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 仙台の廃棄物処理会社に勤務していたことからこの災害で災害廃棄物処理に関わることになりました。慶長以来400年ぶりの大災害(東日本大震災)に宮城県で遭遇した不運を嘆きながら、この危機を乗り切るために死力を尽くす覚悟をしました。

○最も強く印象に残ったこと

 燃料や食料が不足し、水道、電気、ガス、電話などインフラが復旧しない中、仙台市の職員の方と片づけゴミの対応に当たりました。時々刻々と変化する状況に迅速に対応するためには、関係者がその役割を全うし協力するとともに、関係者間のコミュニケーションが大切であると感じました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 日本災害対応システムズ(*)の構成会社の一員として、熊本県内の廃棄物処理業者と一緒に熊本地震の災害廃棄物処理に関わりました。災害廃棄物処理現場の最前線で実際に廃棄物をハンドリングすると、現場レベルのことから国の方針に関わるようなことまで多くの課題が見えてきます。これらの課題について現場の立場で考え、機会があれば関係者の方々と意見交換させていただきたいと思います。

*日本災害対応システムズ  http://jdts.or.jp/

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物は、災害の種類、規模、場所等で様相が異なるため、現場では状況に適した処理方法を選択する必要があります。また、税金を投入して法に則った処理を行うとともに、最後は現地に何も残らなくなるため、様々な記録を残しながら現場を運営することが欠かせません。地元の方とともに取り組んだ熊本地震では、日本災害対応システムズのメンバーがこれまでの災害対応の経験を踏まえて現場運営の手助けをさせていただきました。災害時の廃棄物処理方法や現場管理について多くの事例を整理し共有する必要があると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 熊本は災害が多い所なので、熊本地震以前から自治体と地元企業の体制が出来ていました。災害の初動は地元の「絆」にかかっています。平時から災害廃棄物処理計画等をきっかけに地元の「絆」を築き、大規模災害発生時には産学官の専門家が連携してその「絆」を支援していくことが大切だと思います。

(2018/4/13掲載)

茶山修一(ちゃやましゅういち)



環境省 東北地方環境事務所
災害廃棄物対策専門官
(横浜市資源循環局から派遣)
(広島県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年3月当時、私は横浜市資源循環局の厚生係長をしておりました。これから各収集事務所の所長が集まる会議が開かれる、という時、東北地方太平洋沖地震が発生しました。
 直後の支援物資の仕分応援、仙台市宮城野区での家屋調査に従事した後、地方自治法による併任派遣の形で、宮城県多賀城市に災害廃棄物担当として1年8か月間派遣され、この時災害廃棄物に関わるようになりました。

○最も強く印象に残ったこと

 多賀城市に着任したのは発災から4か月余り経過した8月1日でした。
 仮置場には膨大ながれき類がうず高く積みあがっている一方、まだあちこちに津波で漂着した自動車や建物の残骸、津波堆積物などがあり、これをどのようにすればよいのか、いったいどのくらいの予算を要するのか、そもそも本当に3年で終わるのか、不安に思いました。
 そのような中にあっても地元の職員、そして地元の事業者が官民それぞれの立場でひるむことなく業務を遂行していたこと、そして国内はもとより海外からも多くの支援が続いていることが強く印象に残りました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成25年4月多賀城市から横浜市に帰任、家庭ごみ関係を所掌しておりました。そして平成28年4月に環境省(東北地方環境事務所)に災害廃棄物対策専門官として派遣されましたが、着任から2週間で熊本地震が発生、すぐさま九州に向かうこととなりました。
 その後岩手県における台風10号災害、九州北部豪雨、秋田県の水害など、災害の都度、現地に向かい、処理方法のほか事務面のご案内などをさせていただいております。
 また、これまで災害廃棄物の仮置場のレイアウトや処理方法などの手引きはありましたが、補助金をはじめとした災害廃棄物に係る行政事務に関連した手引きはほとんどなかったことから、そのための手引き(*)を作成しました。今後はその内容を掘下げて充実させるとともに、人材育成を切れ目なく実施できる仕組みを作っていきたいと考えております。

*市町村向け災害廃棄物処理行政事務の手引き【PDF】

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 どのような業務でもいえると思いますが、地域特性に応じた特徴的な部分と、全国的に当てはまる最大公約数的な部分の両方があると思います。実際に、東日本大震災の時の実績値とは明らかに異なることが熊本地震では散見されました。
 現在はまだ過去のデータから推計するしかなく、何が共通化でき、何が地域特性で考えるべきか、そこまでの分析ができるだけのデータが積み上がっていません。
 これまでの処理実績データを見直し、その分析を通じて共通項と地域別に考える項目の区分けができれば、と考えております。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 どれだけひどい災害であっても、発災からの少なくとも一か月間は、それぞれの市町村が自力で廃棄物に対応しなければなりません。特にし尿と生活ごみ・避難所ごみは待ったなしですし、水害の場合には水が引くとたちまち片付けごみがこれに加わります。
 平時には収集運搬を委託し、一部事務組合に処分を任せているところも少なくないと思いますが、いざという時、誰とどのように連携をとるべきなのか、また行政組織としては内部をどのように動かすのか、しっかり考え、実際に訓練などを行うことが必要だと思います。
 また、連携すべき相手方や近隣自治体と、お互いに顔の見える関係を構築・維持することも重要なことと思っております。

(2018/4/13掲載)

大塚義一(おおつかよしかず)



株式会社奥村組
土木本部土木部 環境技術室
(福岡県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災発生のひと月後(平成23年4月11日)に岩手県山田町における復旧・復興の支援業務に従事したことが契機です。過去に最終処分場の再生事業における土を含めた様々な種類の素材が混合した状態の廃棄物の分別処理に関する技術開発を行っていたことが、今回従事した災害廃棄物の処理業務にも繋がりました。

○最も強く印象に残ったこと

 発災時である平成23年3月11日の午後2時46分、私は大阪市内の社屋でデスクワークをしていましたが、震度は高くないものの、とても長い周期で長時間の揺れを感じました。そのひと月後に現地に赴任することになり、車で岩手県の内陸部から山田町の沿岸部にたどり着いた時に初めて海岸沿いに広がる街の被災状況を目の当たりにしました。私の想像を遥かに超える悲惨な状況に、これまでに経験したことのない、言葉には言い表せない感情がこみあげてきたことが、最も強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 東日本大震災における災害廃棄物処理業務に携わらせて頂いたご縁で、現在、産官学の多くの方々との多岐に渡る対話の場に参加させて頂いています。今後、首都圏直下地震や南海トラフ地震という巨大災害の発生が危惧されているなか、東日本大震災での多くの経験を絶対に無駄にしてはいけないと強く感じています。これまでに積み上げてきた災害廃棄物に係る様々な業務経験を活かしつつ、多くの関係者の皆様と共に、将来の巨大災害の発生に備えた技術的検討を微力ながらも進めていきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 欲しい情報として、災害発生が予想される地域の様々な特性や過去の被災履歴があります。たとえば、人工衛星やドローンを使って計測した対象地域の地形や建物の分布などのデータを分析して定量化できれば、災害廃棄物の発生量予測に使えると思います。また、被災履歴については、文献情報のみならず、現地に残る古い地名や石碑などからも追跡できると思います。新しい技術と古い記録をうまく利用することで、情報の量が拡がるとともに質が向上して利用価値の高いものになると考えています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物対策では、国や自治体といった行政機関のみならず民間企業や研究機関など、多種多様な関係者が互いに協力して、多くのステークホルダーとの調整を行いながら進めて行く必要があり、総合的観点での迅速かつ適切なマネジメントが要求されると感じました。そうした難易度の高いプロジェクトを確実に実行するためには、産官学の関係者それぞれが被災者の方へ寄り添う姿勢を決して忘れることなく、様々な課題に立ち向かう強い意志を持ち続けることが重要だと感じています。

(2018/4/13掲載)


吉岡敏明(よしおかとしあき)



国立大学法人東北大学
大学院環境科学研究科
教授(研究科長)
(宮城県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災です。廃棄物資源循環学会が災害廃棄物処理のタスクチームを立ち上げたこと、東北大学に在職しており普段から地元自治体とのつながりもありましたので、当然という気持ちで関わってきました。

○最も強く印象に残ったこと

 地震が発生した時は、廃棄物資源循環学会東北支部の講演会で米沢にいました。参加者全員の携帯電話から一斉に緊急通報のアラーム鳴り、一瞬間があった後、建物全体が回転するように揺れました。レンタカーを借りて、真っ暗で、人ごみでごった返す中、携帯電話の明かりを頼りにコンビニで食料や水を仕入れ、沿岸部を避けながら段差がついた道路を運転し、火災で赤くなっている空を目にしながら仙台までの帰路につきました。
 大学においては危険判定の査定が済むまで建物への入室が禁じられていたこと、インフラが復旧するまで関西にいる親戚に家族を預け、当時、廃棄物資源循環学会会長であった酒井先生のご配慮により京都大学内で仕事しておりました。
 京都市が仙台市への応援部隊を出し、その報告に涙したことを覚えています。その後、京都大学の浅利先生、平山先生と仙台で合流し、仙台市役所内のスペースを使わせていただきながら廃棄物資源循環学会の災害廃棄物処理のタスクチームの一員として、各地元自治体や学会メンバーと様々な情報共有・発信を進めてきました。5月末まで毎日、朝から晩まで各役所や災害廃棄物の仮置き場や集積所を廻りました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物処理関係する対策指針の検討、各自治体や関係機関で作成する報告書の取り纏めに協力してきました。また、災害対策としての廃棄物処理を平時における廃棄物処理とどのように関係付けるかは、今後の大きな課題であると考えています。現在、各自治体で災害廃棄物対策の計画策定が進められています。平時の取組を通して災害時にも対応できる計画作り、それを実行に結び付けできる人材育成にも貢献したいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 様々な業界が保有する技術の現状と、その技術が対応できる範疇はどこまでか、さらにはどのレベルまでの技術開発が必要かという、生々しい情報を共有したいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 東北大学の青葉山キャンパスに「常日頃」という碑が立っています。平時からの関係機関との意思疎通を弛まぬ努力をもって図ることが重要です。また、それを上手に進めるための技術と社会システムをみんなで作っていきたいと思います。

(2018/3/9掲載)


遠藤守也(えんどうもりや)



仙台市環境局
次長
(宮城県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 本市では、約30年周期で発生する宮城県沖地震に備え、震災廃棄物等対策実施要領を策定し、震災廃棄物の処理方針や仮置き場のリスト化、環境局内の役割分担などを定めていました。東日本大震災当時、私は市民広報担当でありましたが、実施要領の想定を超える災害であったため、市民広報に加え震災廃棄物処理全体のスキーム作りから処理実施にわたり担当することとなりました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災による、震災廃棄物の量は膨大なものでした。特に津波堆積物は、がれきと同じくらい発生し、その処理は全く考えていませんでした。
 処理にあたっては、他都市からの支援をはじめ、これまで繋がりがなかった業界、有識者など、産官学が一体となって対応したことが印象に残っています。
 また、今後の大規模災害に備え、震災廃棄物処理の記録化や法改正スキーム、人材育成など環境省の委員会などに参画することができ、多くの方々と交流することができました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在も環境局に在籍し、局内の技術の承継や自治体や関連業界からの要請を受け、東日本大震災の取組状況や災害廃棄物処理のノウハウなどの講演等を行っております。
 東日本大震災以降、関東・東北豪雨や熊本地震、九州北部豪雨など様々な災害が発生しておりますが、どのような災害であれ、処理にあたっては、事前の備えが重要です。今後とも、何をどのように備えていくかなど本市の経験を踏まえて呼びかけていきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 地震や豪雨など多様な災害廃棄物処理に実際携わった方々と最新の処理技術やノウハウ、苦労された事項などの情報共有の場があれば、人材育成につながると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害発生後、市町村には通常ごみ、し尿の処理復旧、片づけごみの保管・処理、がれきの撤去・処理という3つの動きがあります。
 災害廃棄物の処理は市町村が自ら実施するのか、県や国に事務委託するか、その対応は分かれますが、通常ごみの処理復旧と片づけごみの保管などは翌日からの対応が必要であり、初動対応(発災後1ヶ月)は、すべての市町村が自ら行わなければなりません。
 このため、一部事務組合、関係業界との連携、職員や資材の受援体制の確立、仮置き場のリスト化などについて、通常時からの備えをしっかり行っていくことがとても大切です。
 事前の備えがないことが被害の拡大につながります。

(2018/2/16掲載)


笠原敏夫(かさはらとしお)



神戸市環境局
環境保全指導課(嘱託)
(滋賀県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 阪神淡路大震災時に、環境局産業廃棄物指導課に在籍。がれき処理事業が当時の厚生省事業として実施されたため、局内で技術屋が多く、比較的自前の災害対策が少ない当課が担当課とされた。私の採用区分が「土木」であり、前職が神戸空港計画担当で土木屋との知己が多いことから担当とされ、がれき処理揺籃期から約1年その任にあたった。

○最も強く印象に残ったこと

 発災後の3月、厚生省の査定を受けるため、東京に行ったときのこと。地下鉄霞ヶ関までの間乗車人員が非常に少なく違和感を覚える。そう、あの地下鉄サリン事件の2,3日後であった。ぞっとする思いであった。
 がれき処理では、コンクリートがれきを海面埋立に利用した。計画を海上保安部に説明したときのことである。本省の役人の一言、「海面にごみが浮かべば、現場の保安官があなたを逮捕する。取り消すことはできない。最初の船が出るときは、監視に行く」。実際には海面にごみが浮くことはなく、私の逮捕はなかった。
 いずれも、ぞっとする話である。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成29年度から兵庫県災害廃棄物対策研修のアドバイザーとして参画。また、「兵庫県災害廃棄物対策協力員制度」に登録している。東日本大地震時には、3月仙台市にまず応援に行き、次いで、7月岩手県庁に派遣される。いずれにしても、経験に基づく助言をすることで今後もやっていきたい。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 年が年なだけに新たな知見に対する貪欲な熱意はなくなっているが、人的ネットワークの広がり、共有を引き続き行っていただきたい。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 本年10月、兵庫県災害廃棄物研修に出席した時、私の背後から、「笠原さん」と呼ぶ声あり。
 「私ですよ。岩手県のMです。現在、国環研の客員研究員もしています。」とのこと。6年ぶりの再会です。11月には、神戸で酒を酌み交わし楽しい時間を持つことができました。仙台のE氏からは、毎年新米を送っていただいています。美味しくいただいています。

(2018/1/31掲載)


貴田晶子(きだあきこ)



国立大学法人 愛媛大学
農学部非常勤講師
(広島県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災です。国立環境研究所退職後でしたが、若手研究者が被災地での自治体支援に携わるなかで、廃棄物資源循環学会・国立環境研究所が積極的な関わりを持つ中での必然的なものでした。

○最も強く印象に残ったこと

 個人的なことでは、6月に行った岩手県北部の産業廃棄物焼却施設における調査です。海水かぶりの木材を焼却する際にダイオキシン類発生が問題となり、試験焼却をする中、放射能の調査を行うことになりました。廃棄物・排ガスの放射能測定は初めてのことであり、岩手大学の颯田先生の支援を受けながら、濃度測定及びマスバランスの推定を行い、岩手県に報告しました。不十分な知識のもとでしたが、シュレッダーダストのような不均一な試料の分析に携わった経験からできたものと思います(廃棄物の試験検査が生業である立場から)。発災後1年間は、国立環境研究所を中心にした“こんなときどうする”の質問に対して研究者が意見を出し合ったこと、廃棄物資源循環学会が“社会的貢献・役に立つ研究”を続けたことも重要なことであったと感じています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成27年に災害対策基本法・廃棄物処理法が改正され、その後は各自治体において災害廃棄物対策の計画策定が進められています。広島在住であり、近隣の自治体での策定計画に関与しておりますが、残された課題として処理困難物の対応があります。2005年のクボタショック以来、石綿の課題に取り組んでおり、災害廃棄物となる前の建物等の調査や解体時の課題等を解決すべく努力したいと思っています。環境省が今年9月に発出した災害時の石綿飛散防止マニュアルにおいても、“平時”の対策が重要と記載されており、有害物質対策の観点からも重要と考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災した自治体が処理を想定する際に、種々の業界の支援を受けねばなりませんが、どこに連絡すればよいのか、どこが対応してくれるのか、といった具体的な情報がまだまだ十分ではありません。廃棄物処理業以外の団体について情報が欲しいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 20代に読んだ本の中で、末石富太郎氏の「都市環境の蘇生」における“廃棄物メガネ”は、特に災害を考える時のキーワードだと思います。災害時は多くのモノがガレキとなります。それをイメージすること、平時においてもそれを意識して生活し、また仕事することが重要だと思います。有害物質中心に研究してきましたが、災害が起こったときに、対処せねばならないことが多々あります。健康被害、環境影響、最少にするための努力を平時に行うことの重要性を感じております。

(2017/12/28掲載)


築谷尚嗣(つきだになおつぐ)



公益財団法人
国際エメックスセンター
専務理事 (兵庫県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 阪神・淡路大震災発生時に兵庫県環境整備課(廃棄物行政の担当課)におり、国庫補助を所管する一般廃棄物指導係であったので、否応なしに担当することとなった。

○最も強く印象に残ったこと

 印象に残っているのは、災害廃棄物処理の国庫補助事業で初めて諸経費を認めてもらえたことである。
 阪神・淡路大震災までは、災害廃棄物処理事業の国庫補助において、諸経費は認められていなかった。おそらく、それまでの主な事業内容は、収集運搬、処分で工事の要素は少ないとみられていたためと思われる。しかし、阪神・淡路では、倒壊家屋の解体工事が特例で国庫補助と認められたし、仮置場での破砕・選別施設や仮設焼却炉など設置工事が必要なものも多くあり、諸経費ゼロでは対応できない。
 国に要望していたが、なかなか認められない。そこで、2月半ば、厚生省のN室長が兵庫県に来られた時に直訴したところ、早速、厚生省の担当者に電話を入れ、「解体工事等は土木工事だ。諸経費なしではできないぞ。大蔵省ともっとよく協議しろ。」と指示をしてもらった。このような経緯もあり、解体工事について、諸経費15%が認められ、査定では、他の工事についても15%が認められた。なお、15%は、当時の廃棄物処理施設災害復旧事業費補助金で定められていたものであり、建設時の諸経費率よりは低いものであった。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 大規模災害発生時、被災市町に対し災害廃棄物処理に関する助言・支援を行う「兵庫県災害廃棄物対策協力員制度」に登録している。(事務局:(公財)ひょうご環境創造協会)
 また、現在、災害廃棄物処理計画の検討を目的に設置している「兵庫県災害廃棄物処理対策検討ワーキンググループ」の座長を務めている。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害等廃棄物処理事業の国庫補助対象となるところを明示した資料があれば有難い。
 東日本大震災時の津波堆積物や豪雨災害時の廃棄物と土砂が混然一体となったものなど、補助対象と認められるものが増えてきつつあると感じているが、それの明確化が望まれる。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 阪神・淡路のときの人的ネットワークを活かして、市の協力を得て東日本大震災への支援(経験職員の派遣)や「阪神・淡路大震災20年の検証」を行うことができた。20年経っても関わっていただけるのは、大変、有難いと感じた。

(2017/12/28掲載)


岩下信一(いわしたしんいち)



応用地質株式会社
執行役員 地球環境事業部長
(福岡県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 災害廃棄物の関わりは、東日本大震災での岩手県や福島県の災害廃棄物処理計画や処理に関わる施工監理が最初の契機になりました。
 私は地盤工学分野を専門とする技術者でしたので、津波堆積物の物性評価や再生利用の方法に大きな関心を持ちました。

○最も強く印象に残ったこと

 仮置き場に運ばれた膨大な混合状態の災害廃棄物を見たときは、「これらが目標期日までに本当に処理ができるのか?」と疑問と大きな不安を感じました。膨大な災害廃棄物の処理を進めていく中で、社団法人地盤工学会の技術指導および監修を頂いて「岩手県 復興資材活用マニュアル(災害廃棄物から分別された土砂及びコンクリートがらの活用について)」を作成しました。このマニュアルに基づいて、ほぼ全ての津波堆積物が再生利用されたことやマッチング(再生材の活用先の調整)に苦労したことが強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、自治体では災害廃棄物処理計画の策定が進められています。東日本大震災で得られた経験を活かし、廃棄物コンサルタントとして処理計画の支援、人材育成やネットワークづくり等に取り組みたいと考えています。
 また、実際の災害時には、D.Waste-Net((一社)日本廃棄物コンサルタント協会)の一員として、積極的に参画して被災地の復旧・復興に寄与したいです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物といっても災害リスクによって様々な廃棄物が発生します。その状況下で、処理困難物の特性は、地域によって大きく異なることが推察されます。実際の災害で発生した処理困難物の処理方法等の情報を共有できればと思います。
 発災後の対応は、事前の備えである災害廃棄物処理計画に対して想定外の事象が発生することも多々あります。そのためにも過去の災害対応のアーカイブスは重要な情報と思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 「天災は忘れたころにやってくる」という寺田寅彦先生のことばがあります。今や災害を忘れられる前に、大きな災害が多発しています。災害廃棄物の処理の遅れは、被災地の復旧・復興に大きな影響を与えます。災害は身近と考え、処理計画の策定や発災を想定した訓練等の「事前の備え」が重要と考えます。

(2017/11/30掲載)


大迫政浩(おおさこまさひろ)



国立研究開発法人国立環境研究所
資源循環・廃棄物研究センター
センター長
(鹿児島県出身)

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 廃棄物分野で駆け出しだった頃、阪神淡路大震災が起こり、学会の若手チームで調査研究を行った経験はありましたが、やはり東日本大震災、未曽有の津波災害に対して、環境省所管の研究機関の責任者として技術的支援の立場から関わることになったことが大きな契機になりました。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災における宮城県や岩手県の沿岸部の悲惨な状況、この前まであった人の営みの場がすべて「がれき」となった姿に、自然を前にして人間が無力であることを思い知らされました。それでも、国立環境研究所では、過去に全く知見のなかった津波廃棄物の処理に対して、発災直後から全国の専門家のネットワークを通じて知見を収集整理し、被災地で活用可能な情報を発信し続けました。日頃の人のつながり、信頼関係が、被災地の人々を助けたいとの一心で結集した瞬間でした。強く印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 国立環境研究所では、平成28年4月に災害環境マネジメント戦略推進オフィスを設置しました。そこでは、D.Waste-Netの有識者グループの中核機関として平時から災害時までの災害廃棄物対策の支援を行うことになります。本情報プラットフォームもその一環です。熊本地震や九州北部豪雨災害時には現地での技術支援を行いました。人材育成手法の開発やその実践なども行っています。今後は、産官学問わず支援側でコアとなる専門家の人材づくりとそのネットワーク化に注力していきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 地震や豪雨災害が毎年のように起こる日本、全国各地で災害廃棄物処理に様々な立場から携わった方々が少なからずいらっしゃると思います。それらの経験者の人材のネットワークをつくるための情報を共有できればと考えています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害時の廃棄物対策には、平時とは異なる様々な混乱がありますが、決して別物ではなく両者はつながっていると思います。災害廃棄物対策への強靭なシステムをつくっていくことが、日頃の廃棄物処理にもつながっていき、強靭で持続可能な廃棄物処理システムづくりへの契機になると信じています。特に重要なことが、人材育成とネットワークづくりではないでしょうか。

(2017/10/31掲載)


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