リレー寄稿

 災害廃棄物対策に取り組む方々にリレー方式でご自身の専門分野や活動をご紹介いただく『リレー寄稿』のコーナーを新たに立ち上げました。
※コーナー名は今後変更の可能性がございます。

 執筆者の方々には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、なるべく繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。本企画により、災害廃棄物分野でご活躍されている人材の「見える化」を図るとともに、皆様の知見や経験を広く共有し、当該分野のネットワークを構築することができればと考えております。

最新の寄稿


行政系コース
岡田誠司(おかだせいじ)氏
広島県環境県民局循環型社会課
課長
(広島県出身)

支援者団体系コース
早川宏明(はやかわひろあき)氏
大栄環境株式会社
中部営業部
自治体医療担当課
担当次長
(大阪府出身)



はじめに

<リレーの進め方>

●バトンを受けたら

●次の質問に応えていただきます。

■固定の質問(4問)

〇災害廃棄物に関わったきっかけは何ですか?

〇活動の中で最も強く印象に残っていることは、どのようなことですか?

〇現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいことは何ですか?

〇災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報を教えてください。

■自由記述(1問)

〇災害廃棄物対策でのつながりで感じたことや思いなどを語ってください。

●思いは次の執筆者につながっていきます

※リレーは
行政系
研究者系
支援者団体系
の3コースを並行して進めていきます。


リレーのスタートに当たり

 東日本大震災以降も、毎年のように中小規模の局地災害が発生し、そのたびに災害廃棄物問題がクローズアップされています。災害廃棄物情報プラットフォームは、災害廃棄物処理を担う自治体やそれを支援する関係者等が将来に備えて対応力を向上させることに活用できる情報を提供することを目的として開設しました。
 一方、災害に対応していくためには、人のネットワークづくりが欠かせません。混乱する災害非常時に役割を果たすのが、信頼できる者同士のつながり、ネットワークなのです。東日本大震災時には、「きずな」の大切さが浮き彫りになりました。
 そこで本プラットフォームでは、災害廃棄物対策に関係する方々のつながりを辿って、リレー方式で連載していくコーナーを新設することにしました。執筆者には災害廃棄物対策への関わりや思いをご披露いただくとともに、繋がりのある次の執筆者を紹介いただきながら連載記事を構成していきたいと思います。そして、本プラットフォームの下に関係者のネットワークが醸成されていくことを期待します。

 次回から本コーナーでは、お決まりの上記の四つの質問に回答いただき、その他自由にそれぞれの思いなどを語っていただきます。まずは私自身のことを紹介させていただいて、本コーナーのスタートにしたいと思います。 大迫政浩(おおさこまさひろ)(2017/10/31掲載)



コース別のつながりと現在走者


谷本晃一(たにもとこういち)氏
大洲市総務企画部
復興支援課 専門員
(愛媛県出身)
(2019/11/29掲載)

大塚義導(おおつかよしみち)氏
西予市生活福祉部
環境衛生課
課長補佐
(愛媛県出身)
(2020/1/31掲載)

岡田誠司(おかだせいじ)氏
広島県環境県民局
循環型社会課
課長
(広島県出身)
(2020/5/29掲載)
鶴巻峰夫(つるまきみねお)氏
独立行政法人
国立高等専門学校機構
和歌山工業高等専門学校
環境都市工学科 教授
(新潟県出身)

※「鶴」は正式には「(2019/11/29掲載)

吉田 登(よしだのぼる)氏
和歌山大学
システム工学部
システム工学科
教授
(兵庫県出身)
(2019/12/26掲載)

川嵜幹生(かわさきみきお)氏
埼玉県
環境科学国際センター
資源循環・廃棄物担当
担当部長
(神奈川県出身)
(2020/4/30掲載)
鈴木 昇(すずきのぼる)氏
(一社)宮城県産業資源循環協会
仙台支部長
(宮城県出身)
(2020/2/28掲載)

佐藤正之(さとうまさゆき)氏
宮城県解体工事業協同組合
理事長
(宮城県出身)
(2020/3/31掲載)

早川宏明(はやかわひろあき)氏
大栄環境株式会社
中部営業部
自治体医療担当課
担当次長
(大阪府出身)
(2020/5/29掲載)


寄稿記事


岡田誠司(おかだせいじ)


広島県環境県民局循環型社会課
課長
(広島県出身)
(2020/5/29掲載)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成30年4月に広島県の循環型社会課に異動になり、その3か月後の7月に、西日本豪雨災害が発生しました。

 災害廃棄物は、一般廃棄物に区分され、処理の主体は市町村ですが、大規模災害では、市町村を支える県の役割が非常に重要になってきます。

 発災直後から、環境省や東京都をはじめとした他県の皆さまなどのご支援をいただきながら、ごみ処理施設の被害、災害廃棄物の発生量、仮置場の設置、ごみの収集など、様々な情報を収集しながら、最前線で対応にあたる市町を支援してきました。

 また、発災1か月後には、県として災害廃棄物処理の基本方針を示し、2か月後には、県の災害廃棄物処理実行計画をとりまとめ、災害廃棄物処理の見通しを示すことができました。

 県と市町が一体となって、処理を進めた結果、令和2年3月末には、処理進捗率が99.9%と概ね処理が完了し、二次仮置場はすべて解消されました。

○最も強く印象に残ったこと

 平成30年7月豪雨災害は、これまでに本県が経験したことのない規模の災害であり、災害廃棄物処理についても、何をどこから始めればいいのかわからず、困惑していました。こうした中で、発災直後から、環境省、D.Waste-Netの皆様が支援に入っていただき、現地確認、仮置場の設置・運営、処理方法などの実務の他、県の役割など、数多くの助言をいただきました。

 中でも、東京都の皆様には、発災直後から処理が軌道にのる8月末まで、支援をいただいただけでなく、補助金申請に必要な災害報告書の作成が佳境にかかった10月にも、都内の市区町村職員の皆様とともに、ご支援をいただきました。

 廃棄物処理業者の皆様には、県との協定に基づき、率先して市町の災害廃棄物の収集や処理を支援していただきました。また、発災直後に仮置場に積みあがった混合廃棄物を、緊急対応として、県外で処理していただきました。

 こうした皆様の支えがあって、なんとか初動対応が進み、災害時における支援がいかに大切かを痛感しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成30年7月豪雨災害において、初動対応の重要性を痛感したことから、令和元年5月に、災害廃棄物処理に係る初動マニュアルを作成し、このマニュアルを教材とした初動訓練を実施しました。

市町における災害廃棄物処理計画の作成も、本年6月には、100%となる見込みであり、今後は、市町版の初動マニュアルの作成を支援していきたいと思っています。

また、一次仮置場の設置が大きな課題となることから、一次仮置場設置の模擬訓練も実施したいと考えています。

今後とも、市町と連携し、初動マニュアルをバージョンアップしながら、処理体制の強化を継続的に図っていきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害時には、被災状況をできるだけ早く収集することが重要です。最近では、デジタル技術を活用した情報収集も可能になっていると思います。災害時において、防災や土木に関する部署を含め、どのような情報収集が可能なのか、それは、災害廃棄物処理にどう活用できるのかといった情報があると助かります。

 また、災害廃棄物処理の実務では、一次仮置場や二次仮置場について、設置・運用の事例、課題となったことや改善方法などを共有したいと思っています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物の処理は、環境セクションの仕事の中でも、応用編になると感じています。災害の種類、規模、被害状況など同じものはありません。日々刻々とかわる状況にどのように対応するのか。前例のない中で、廃棄物処理法や指針、通知、マニュアル、計画、補助制度等との整合を図りながら、判断を積み重ねていくためには、日ごろから基礎的知識を習得しつつ、全国各地の事例を学び、助け合うことのできる人的ネットワークを構築することが重要です。

 広島県では、平成26年に広島市において、大規模な土砂災害がありました。そのわずか4年後の平成30年に西日本豪雨災害が起きています。全国でも毎年のように大規模な災害が発生しています。気候変動への適応策としても、災害廃棄物の処理は、環境行政の主要な分野となっています。

 かつて全国で産業廃棄物の不法投棄が多発した際、環境省において産廃アカデミーが開講され、現在まで、毎年、全国の仲間が一同に会して、研鑽を重ねてきています。現在の災害廃棄物についても、こうした継続的な全国研修の仕組みが創設されることを期待しています。

(2020/5/29掲載)

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早川宏明(はやかわひろあき)


大栄環境株式会社
中部営業部
自治体医療担当課
担当次長
(大阪府出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成24年に当社に入社後、一般廃棄物処理受託やその他行政向けの付加価値提案における営業を3年間行って参りました。平成27年9月に発生した関東・東北豪雨に伴う「災害廃棄物処理の業務委託」(茨城県常総市)について、当時の上司と一緒に営業担当として関わったことが「災害廃棄物」処理の対応への本格的な関わったきっかけとなります。

 当時は関東圏で当社ブランドイメージも薄く、常総市に関しましても、最初は当社の業務内容の説明や阪神淡路大震災以降、当社での災害廃棄物処理の実績やその方法について丁寧に説明を行い、先方に理解を得るように努めました。その営業活動の甲斐があって、見積合わせによる指名を当社にも頂けることになり、その行政手続きを経て平成27年12月末に当社で災害廃棄物の処理を請け負うこととなりました。

○最も強く印象に残ったこと

 契約後、業務着手前より、仕様書に記載の書類(業務実施計画書等)の作成など、当社内の様々な部署のメンバーが事前準備における業務に携わり、仮置場における運営を行政の方と打合せを行い、契約決定から1か月後の2月3日より「災害廃棄物」の仮置場からの搬出が開始されました。

 当時設定されていた「仮置場」の中に、近隣に行政施設(小学校、市役所出先)や民間の住宅地があるところがありました。搬出準備の際、ある仮置場の周辺住民の方に説明のため、行政の方と訪問した際、災害廃棄物搬出時の粉塵や飛散について細かく指摘を受けました。今考えれば当たり前のことを仰っているのですが、その当時は計画どおりに搬出が出来なくなるのでは・・・とも考えました。

 周辺住民の方は搬出開始から毎日、当社の仮置場における作業運用を見に来られていて、いつストップがかかるかと懸念する状況でしたが、仮置場を管理していた責任者をはじめ全従事者がより丁寧な作業を実施したことが評価され、計画通り搬出を行なうことができました。搬出終了が近づく頃には、地区市民とも雑談ができるほどの関係性を構築できました。

 行政の方と一緒に丁寧な説明を行い、計画どおりに実行すれば、周辺住民の方々にご理解を頂けると実感できたことが最も印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成28年度の「熊本地震」の際にも、熊本市から排出される「災害廃棄物処理」に関する対応でも一部関わらせて頂き、この時は地震による家屋や建物の倒壊における廃棄物の確認を行い、災害の種類により排出される廃棄物の内容が今までの想像や考えと一変したことを記憶しております。

 以降はその経験を元に「事業者が考える災害廃棄物処理」という講演の機会を頂き、地域ブロックの災害廃棄物のセミナーや大学の講義で大学生の方々にお伝えをさせて頂いております。

 引続き機会がございましたら、可能な限り営業として今までの経験を元に、災害時の「災害廃棄物」処理に向けた備えや対応について知って頂く(営業活動にも繋がる)活動を行って参りたいと考えております。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 色々な行政の方とお話しさせて頂きましたが、実際の発災時に排出される「災害廃棄物」を平常時より如何に具体的に想定して(通常市町村ごとに「地域防災計画」や「災害廃棄物処理計画」を策定されている)、準備が出来ているかということが重要と考えます。

 つきましては発災規模に応じた「災害廃棄物」の数量、その仮置場の情報(例:より大きな仮置場で導線(搬入出道路)が広ければ、1日に搬出できる廃棄物の量が増加し、短期間で仮置場より災害廃棄物を片付けることが可能)や行政の体制(発災時の具体的な体制の確立)などの詳細情報において、事前準備、予行演習等を行い、その情報を提供、共有させて頂ければ廃棄物処理の対応もスムーズに運ぶと考えます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 一番に考えるのは、災害廃棄物処理の業務に携わったことで、被災地が災害からの復興に向けた第一歩を踏み出して頂くために、その廃棄物を迅速、適正な処理を最優先して考えることが重要ということです。そのことを信念に持ち、災害が無いことが一番良いことですが、万が一このような局面において当社でお手伝いをさせて頂く事があれば、全力で対応させて頂きたいと考えます。

 現在、未曽有の「ウィルス(COVID-19)」による災害に見舞われていますが、様々な方策を講じ対応されています。自然災害における「災害廃棄物」処理においても、被災行政におかれましては復興に向けて前に進んでいくための努力をされてきた姿を幾度も拝見してきました。この局面でも必ず復興できると信じて、各々が役割を果たして困難な局面を乗り越えて参りましょう。

(2020/5/29掲載)

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川嵜幹生(かわさきみきお)


埼玉県環境科学国際センター
資源循環・廃棄物担当
担当部長
(神奈川県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東日本大震災発災当時、平時の業務や研究で建設系廃棄物中の石綿含有廃棄物対策や、一般廃棄物不燃・粗大ごみの適正処理推進に取り組んでいたため、現地派遣職員・現場作業員への石綿講習や仮置き場での石綿含有建材対策、及び国立環境研究所の災害支援等に加わりました。

○最も強く印象に残ったこと

 揺れてお互いにぶつかりそうな高層ビル(東日本大震災発災時都庁から見たビルの様子)、全てを飲み込んでいく黒い津波(避難場所で見たテレビ放送)、津波に流され、崩れた家やがれきの山、建物の基礎だけが残った大地等(宮城県、岩手県での現地調査)、自然のパワーと脅威。津波にのまれ、引き波の時に偶然助かった老人の話。人間の無力さと逞しさ。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は、災害時の石綿飛散防止対策、県が実施している災害廃棄物対策図上訓練、廃棄物処理施設建設計画時の災害対策等に参加し、これまでの経験等をフィードバックできるように、また、月日を積み重ねるとともに経験・体験した記憶が消えないように、心がけています。

 今後取り組まねばならないと感じていることは、石綿や様々なごみに対する世の中の平常時の取り組みを充実させ、災害時に少しでも困らないようにすること。また、一般廃・産廃の垣根を下げ、“ごみ”“資源”としての適正処理を推進することです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 実際の災害廃棄物処理(収集、分別、保管、選別、処分)で得られた発見談、ひらめき談、次があったら談、えいやぁで・・・片付けた談などなど、書面に残していない、または、書面に残せない話。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 昨年の台風被害による災害廃棄物処理を見ると、一般・産業廃棄物処理業者の協力体制はかなり整っているように思えました。このような、災害廃棄物処理の取り組みを効果的に公表、広報、利用することによって、産廃・一般廃の垣根を下げ、平時における効率的なごみ処理、例えば、自治体焼却炉での産廃プラ受入れにつなげることができればと考えています。

(2020/4/30掲載)

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佐藤正之(さとうまさゆき)


宮城県解体工事業協同組合
理事長
(宮城県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私どもは、基本的に処理過程で『産業廃棄物』になる建築物、構築物の解体を行う業者の団体です。従って、普段は『災害廃棄物』には縁の遠い団体です。しかしながら、阪神淡路大震災や、その後の災害の発生に鑑み、大規模災害発生時に行政の活動支援として、わが組合としてできる業務を提供するために、最初に宮城県と平成11年3月31日、『大規模災害時における建築物等の解体撤去等の協力に関する協定』を締結しました。その後、県内各市町村と同様の協定を締結し、仙台市とも平成21年に協定を結びました。その二年後に東日本大震災が発生し、仙台消防局からの要請で翌日から、津波の押し寄せた幹線道路の啓開活動を開始しました。その後は、仙台市沿岸部の人命救助、遺体捜索に係るがれき類の運搬集積業務、県警の依頼による、宮城県沿岸部での遺体捜索の補助業務などでのがれき撤去業務に従事し、6月からは、仙台市の倒壊家屋の撤去工事に当たりました。これが組合として『災害廃棄物』との関わりの始めです。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災の翌々日に道路啓開の立ち合いをしていたら、啓開したがれきの中に預金通帳があったのです。手に取ってみたら知り合いの通帳でした。彼は沿岸部に住んでいたので、家屋は全壊で流され、すべてが津波で散乱したのでしょう。散乱するがれきには多くの人の思いの入った、多くの人が普段使っていたものです。亡くなった人のもの、生き残った人のもの。普段感じない感情が沸き上がったことが印象に残っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、わが組合では令和元年台風19号により被害を受けた、宮城県角田市、同じく丸森町の依頼により公費解体の対象建物の解体撤去工事を拝命しております。東日本大震災から9年目にして同じような業務をしなくてはなりません。よもやとも思いましたが、現実に起こりました。東日本大震災から比較的年数もたっていなかったので対応がとりやすかったのですが、これからのことを思うと具体的ですぐ実装できる計画書を作成しなければと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 我々解体業界としては、建物の構造、階数、延べ床面積、敷地情報があればおおよその重機、人員、日数の必要数が見当つきます。それが分かり、棟数が分かればおおよその完了工程は計算できますので、早めにそれらの情報が欲しいところです。それによって手配する施工班数が予定できます。しかし、実際の公費解体依頼は一度に来るものではないことが往々にしてあるので、ある程度柔軟に受け入れられる状況作っておかなければならないと思っています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 個人的な思いかもしれませんが、東日本大震災の時は大きな揺れがあり、わが家にも若干の破損、痛みなどが生じ、わが身に起こったこととして最後まで処理業務に係りました。しかし、令和元年台風19号による丸森町、角田市、大郷町など県内の被災に関して東日本大震災の時のような感覚が起こりませんでした。この感覚は、自分や、自分の近くに同じような体験がないと実感できないのだと思います。そういった意味では、防災協定を結んでいるものとして被災地の実態を共有するために、少なくとも県内で発生した場合などは速やかに現場確認を行い、それを団体で共有する仕組みが必要だと思いました。報道からの情報と同じになるかもしれませんが、より近い関係からの情報であれば、感じ方がより身近になるのではないでしょうか。その伝でいえば、全国組織があるならば、非被災団体に被災団体の情報を独自に配信するのも方法かもしれません。

(2020/3/31掲載)

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鈴木 昇(すずきのぼる)


(一社)宮城県産業資源循環協会
仙台支部長
(宮城県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年3月11日に発災した東日本大震災による災害廃棄物処理がきっかけでした。東日本大震災では、仙台市内でもがれき類が137万トン、津波堆積物が135万トン、計272万トンという膨大な量の災害廃棄物が発生しました。これらの処理にあたり、仙台市では処理方針の中で、地元業者による処理体制の構築を図ることを決定。3つの地元業界(建設業、解体業、産廃処理業)で請負、管理し、災害廃棄物搬入場(焼却炉を設置した仮置き場)の運営、廃棄物の細分別とリサイクルは(一社)宮城県産業資源循環協会仙台支部(旧団体名:宮城県産業廃棄物協会仙台支部)で担当。約2年半で処理を完了しました。その後、仙台市と3団体は災害廃棄物処理に関する協定を締結。上部団体である(一社)宮城県産業資源循環協会も宮城県と災害廃棄物処理に関する協定を締結しており、令和元年10月の台風19号被害による災害廃棄物処理においては、協定に基づいて丸森町をはじめとした被災自治体の災害復旧支援を行っております。

○最も強く印象に残ったこと

 業務従事者の仕事に対する使命感と、各団体との連携です。業務従事者は地元の災害復旧に携われること、そして災害廃棄物は、産業廃棄物と同様な性状であるため、産業廃棄物処理の専門業者である私たちが、使命感と責任を持って処理しました。地元の処理体制を有効活用し、地域の被災者と環境へ配慮をしながら、適正に処理しました。地元の建設、解体、私たち産廃処理業界、プラントメーカー、そして自治体が緊密に連携して、迅速で適正、かつ安全に作業を実施しました。これは綿密な協議などにより実現できたものです。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 上部団体の(一社)宮城県産業資源循環協会は宮城県と平成20年に、そして当支部を含む仙台市と3団体は平成30年に、災害廃棄物処理に関する協定を締結。特に仙台市と4団体の協定は、他では珍しい異業種間との自治体を含めた協定となっております。今後は、大学との連携も視野に入れ、産学官の連携を通じた交流が必要と考えております。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物処理では、搬出先に合わせた分別が重要となります。自治体ごとに、仮置き場の検討、搬出先リスト作成、分別レベル設定をして頂き、私たち災害廃棄物処理従事者と情報を共有してほしいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 東日本大震災での経験は、2015年に仙台で開催された第3回国連防災世界会議において、仙台市と地元業界団体(3団体)が連携して災害廃棄物処理を行い、災害復旧業務の一翼を担った経緯を世界に向けて発表しました。その内容は次の通りです。

 災害廃棄物処理で、私たち民間団体が特に気を配った点は、災害廃棄物は元は被災した方々の財産だということを常に考えて処理しました。災害廃棄物の中からは、貴重品の他、遺影、アルバム、名前の入ったランドセルなど思い出の品々も発見されました。全作業員たちがいつも心にとめて、できる限り回収して、所有者にお返しすることができました。

 そして災害廃棄物処理では、迅速処理、スピード感が求められます。発災後はすぐ行動し、自治体からの要請にいつでも応えられる体制構築こそが、私たちに与えられた使命だと考えております。

(2020/2/28掲載)

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大塚義導(おおつかよしみち)


西予市生活福祉部環境衛生課
課長補佐
(愛媛県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成30年7月に発生した7月豪雨の折、西予市生活福祉部環境衛生課に所属していました。この部署が通常の一般廃棄物の処理等に対応していたことから、7月豪雨で発生した災害廃棄物の処理においても環境衛生課が対応することとなり、初めて災害廃棄物の処理にかかわりました。

○最も強く印象に残ったこと

 今回の経験を通じて、人と人とのつながりや人のありがたみというものを強く感じました。被災当初は、災害廃棄物を被災者・消防団・ボランティア・市職員・地元の方々が協力して片づけを行っていましたが、いろいろなごみが混在の状態で仮置場にもってこられました。災害後の混沌とした状況の中ですので、一刻も早く片づけたい気持ちは十分理解出来ましたが、消防団を通じて分別の必要性を丁寧に説明させて頂くと、地元の方も理解していただき、早期に分別搬送に対応して頂きました。

 また、市の災害廃棄物処理の業務においては、熊本市からの派遣職員が、熊本地震で経験された知識を余すことなく伝えて頂きました。また、他市町からも多くの派遣職員が当市に来て頂き、いろいろな災害業務をサポートして頂きました。

 緊急時こそ、人と人とのつながりが大事であり、また、人のありがたみによって支えてもらっていたのだと思います。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、国や県で災害廃棄物処理に関する説明会が行われています。こういった会には参加をするようにしており、先般も図上訓練を体験したところです。災害を経験するまでは、訓練もどこか他人事の部分がありましたが、やはり、今後の取り組みとして、こういった訓練には積極的に参加をして災害に備えておくことは重要であると感じています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災された自治体等の対応の状況に関する情報を共有化し、それを参考にして今後の災害廃棄物対策に活かしていければいいと考えます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 今年も台風19号をはじめとした大きな災害が発生しました。地球温暖化の影響もあり、今後は全国各地でいつ災害が起きてもおかしくないと感じています。災害が広範囲で発生する中で、早期に広域処理の仕組みを考え、自治体の垣根を超えた組織づくりをしていく必要があると考えます。

(2020/1/31掲載)

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深松 努(ふかまつつとむ)


株式会社深松組
代表取締役社長
一般社団法人
仙台建設業協会 会長
(富山県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成23年3月11日に発生した東日本大震災によるがれき撤去が最大のきっかけです。仙台市では、通常のごみ処理量の4年分に当たる約135万tの震災がれきが発生しました。まず作業者の役割を徹底。市と民間が一体となり、がれきを収集・分別・焼却するためのがれき搬入場を整備しました。後に「仙台方式」と言われるようになりましたが、がれきを1次仮置き場にそのまま持ち込むのではなく、現場であらかじめ可燃物、不燃物、資源物に粗分別しました。がれきは東部沿岸部(津波で被災した海岸公園跡地)に位置する3地区に設けた計約103haの搬入場に運搬しました。搬入場は1次、2次仮置き場を一元化。10種類以上に細かく分別し50%以上のリサイクルを目指しました。仙台方式の導入により平成23年12月に撤去終了。併せて、約122万tの津波廃棄物は、国の海岸防災林、海岸堤防事業、及び市の道路のかさ上げ、海岸公園復旧事業の盛土材として活用しました。

○最も強く印象に残ったこと

 市と民間の一体化の重要性です。災害廃棄物に関する市の窓口(環境局)を一本化して頂きました。一方民間も、宮城県解体工事業協同組合、宮城県産業廃棄物協会(現:産業資源循環協会)仙台支部及び、当仙台建設業協会が強力に連携しました。加えて、この4者の顔の見える関係の構築と継続の重要性です。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 この顔の見える関係の成果の一つとして、災害廃棄物の処理を適正かつ迅速に進めるため、上記4者で平成30年に「仙台市における災害廃棄物の処理等の協力に関する協定」を締結しました。そして、発災翌日から発生する災害廃棄物の処理のため、解体、廃棄物、建設3団体の顔の見える関係の重要性を広く伝えたいと思います。発災してからでは遅いです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物に対する関係団体の考え方及び、廃棄物を搬出する市民への情報提供の重要性が共有したい情報です。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 平成30年9月、当協会は浜松建設業協会と「仙台市及び浜松市における災害時の相互援助に関する協定」を締結しました。西日本豪雨や令和元年台風19号豪雨による広域的な被害の惨状が記憶に新しいところですが、一災害で同時に被災地とならない地域同士の相互援助の重要性が今、一段と増しています。仙台より全国に広く強く訴えたいと思います。

(2020/1/31掲載)

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吉田 登(よしだのぼる)


和歌山大学システム工学部
システム工学科
教授
(兵庫県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 2011年8月に紀伊半島を襲った台風12号は、和歌山地域に甚大な被害をもたらしました。当時、災害ボランティアとして現地に赴いた折り、帰路ふと立ち寄った椿山ダムの湖畔で、湖面を覆いつくす大量の流木に目を奪われました。その後、和歌山大学内に発足した災害科学研究センターの活動に携わることになり、災害廃棄物であるダム流木量のモニタリング調査や発生量の推計、活用方策の検討などに関する研究を行うようになりました。

○最も強く印象に残ったこと

 ダム流木を定点観測し、モニタリング調査を続ける中で、その後も大雨の度ごとに途切れることなく湖面を覆いつくすダム流木を見るにつけ、戦後の拡大造林がもたらした流域の膨大な森林蓄積が改めて印象づけられました。林業の衰退や気候変動に伴い、今後これらの森林ストックはさらにダム流木の発生を加速します。森林を適正に管理することで、バイオマス資源を活用し雇用と産業を創出しつつ災害への耐性を高め、持続可能な中山間地域を共生圏として再構築することがますます重要との思いを強くします。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在、災害廃棄物処理計画のための発生量推計に関する研究に取り組んでいます。和歌山といえば、これまでは南海トラフの地震災害を対象とした研究が重要視されてきましたが、頻繁に発生する風水害への対応も大変重要になっています。今後は、風水害に伴う災害廃棄物推計についても取り組んでいきたいと思います。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物については発災後の迅速な処理を行う観点から、組成や性状に踏み込んだ発生量に関する記録データが乏しく、検証するための情報不足が発生量を推計する方法の開発を遅らせる一因となっています。毎年のように各地で発生する風水害に伴う災害廃棄物のデータを継続して共有していくしくみを整えることが重要であると感じています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 様々な災害廃棄物の発生を見通し、備えていくことは、適正な処理を越え、さらにはそれらを資源として活用していくことに繋がっていくという意味で、ますます重要な取り組みであると認識しています。災害廃棄物情報プラットフォームの取り組みに期待します。

(2019/12/26掲載)

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平野誠也(ひらのせいや)


三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
政策研究事業本部
研究開発第1部
地域環境防災グループ
グループ長 主任研究員
(大阪府出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 阪神・淡路大震災以降、自治体の防災対策業務に多く携わっていました。阪神・淡路大震災でも災害廃棄物の処理は問題にはなっていましたが、緊急輸送路や支援物資、避難所運営、ボランティアの活用などの方がより注目され、私も、地域防災計画や支援物資輸送対策、災害時の班別マニュアルの策定支援などが主な業務でした。そのような中で、東日本大震災が発生し、平成26年度に地方環境事務所の災害廃棄物対策関連業務を御支援させていただいたのが、本格的に災害廃棄物に関わった初仕事です。

○最も強く印象に残ったこと

 被災自治体職員の方々の苦労や努力と、被災されたことを他の自治体にも伝えたいという強い思いです。中には、大きな災害廃棄物処理に対して、うまくできなかったと感じられる職員の方もいらっしゃいますが、その経験を他の自治体に伝えたい、生かしてほしいという気持ちと、実際に被災自治体に支援に行かれたり、被災していない自治体職員にご講演なさったりする強い思いを、いつも感じます。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 被災現地支援に行くことはないのですが、実災害で明らかになった問題点を検証し、それを自治体や地域ブロックの災害廃棄物対策に反映すること、それらを踏まえた訓練の実施支援などが現在の主な業務です。

 災害廃棄物対策に限ったことではないのですが、災害対応は後世になかなか伝承することが難しいものです。実際に東日本大震災で大きな被害を受けた基礎自治体で、既に十分に経験が伝承できていないところが出てきています。このような経験や教訓の伝承を、私どものような業者の力を借りることなくできるようにしていくということが使命です。そのような仕組みを自治体の中で構築できるような御支援をしてきたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 繰り返しですが、被災自治体や支援団体の災害廃棄物対策の経験を、共有・継承することが重要と思います。「記録誌」という形でまとめるものが基本ですが、それ以外に経験者から未経験者への継承を行い、さらには別に若い未経験者に継承していくことが大切です。そのためには、良い事例や取組に加えて、なかなか難しいかもしれませんが、未経験自治体職員が陥りやすい間違いや、やや失敗した事例などの情報もあった方が、伝わりやすいと思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 わたし自身、神戸市在住で阪神・淡路大震災を経験しました。正直申し上げて、あの規模ほどの災害は、まあ起こらないであろうと思っていました。しかし、東日本大震災は、それを遙かに上回る災害でした。水害でも、平成30年7月豪雨では西日本に非常に大きな被害を及ぼしましたが、令和元年の台風15号、19号による水害は、これを上回る規模の災害廃棄物が発生しています。これが最大級の災害だとか、自分の地域では大きな災害は起こらない、などという思い込みは厳禁であるということを改めて感じています。

 特に、災害廃棄物対策業務はほとんどの自治体職員の方が経験したことのない業務です。このような間違った思い込みで、平常時からの対策が不十分にならないようにしていけるよう、自治体を御支援していくことが私の役割です。これまでも、形だけではない防災対策となるよう多くの自治体を御支援させていただきましたが、災害廃棄物対策でも即時に有効な対応ができるよう実践的な対策を自治体の方々が取れるよう、また組織の中で災害廃棄物対策の経験を継承できるよう支援を続けていきたいと思います。

(2019/12/26掲載)

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谷本晃一(たにもとこういち)


大洲市総務企画部復興支援課
専門員
(愛媛県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 愛媛県大洲市を流れる一級河川「肱川(ひじかわ)」は、我々に多くの恵みをもたらす一方で、幾度となく水害という試練も与えてきました。特に平成30年7月豪雨では、近年まれにみる甚大な浸水被害を受け、同時に大量の災害廃棄物が発生しました。

 当時、私は企画政策課に所属しており、廃棄物に関する知識も経験もまったくありませんでしたが、廃棄物担当課だけでは処理対応が追い付かない状況であったため、急遽、応援要員として関わることになりました。

 当初、応援期間は処理が軌道に乗るまでの数週間程度とのことでしたが、廃棄物の量があまりにも膨大であったため、専属のプロジェクトチームが設置されることとなり、そのままチームの一員として1年間、災害廃棄物処理に従事しました。

○最も強く印象に残ったこと

 人と人とのつながりです。発災当初、我々が対応に苦慮している姿を見て、環境省支援チームの方が過去に大きな被害を経験された熊本市や朝倉市の職員の方に携帯電話で応援を要請されました。するとその数日後には、連絡を受けた職員の方々が、自分たちの仕事を差し置いて大洲に駆けつけてこられました。

 このとき感じたのは、災害という共通の痛みや苦しみを乗り越えてこられた方たちのつながりの強さでした。その後も、近隣被災自治体の担当者の方々や収集・処理業者の方々など、つながりの輪が広がっていき、廃棄物処理や公費解体、補助金査定など、次々と現れる壁にぶつかる度に、人と人とのつながりに助けられ、支えられ、勇気づけられました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 今年の8月末にプロジェクトチームが解散し、今は復興支援課に所属していますので、災害廃棄物対策に直接携わることはありませんが、先の台風15号・19号災害など、災害関連の報道をみると、現地の自治体職員の方々の大変さを自分のことのように感じるようになりました。

 部署は変わっていますが、国や県などから研修での事例発表などの依頼があれば、当時の担当者としてできるだけ協力するようにしています。

 自分たちの経験談が、少しでも他自治体の災害廃棄物対策に役立つことができればと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 今回の災害で発生した廃棄物は、幸いにも県内で処理することができましたが、南海トラフ巨大地震が発生した場合には県域を越えた広域処理が必要になると思います。

 広域処理の実例や具体的な事務処理について情報を収集し、事前に備えておく必要があると思います。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 よく言われる「事前の備え」は、やはり大事なことだと災害を経験して改めて感じました。しかし、当市のように規模の小さな自治体では、起こるか起こらないか分からないことへの備えに十分な時間を割けるほどの人員が配置されていない場合もあります。

 一方で、大規模災害の多発により、幸か不幸か災害廃棄物処理に関する経験やノウハウはどんどん蓄積されています。被災してからではなく、事前の備えを整える段階から貴重な財産である経験やノウハウを共有できる環境が充実していけばいいなと思います。

(2019/11/29掲載)

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鶴巻峰夫(つるまきみねお)


※「鶴」は正式には「

独立行政法人
国立高等専門学校機構
和歌山工業高等専門学校
環境都市工学科 教授
(新潟県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 東北、関東を襲った東日本大震災のあった年の9月に和歌山県は台風12号による未曾有の大水害に見舞われました。その直後に熊野川沿いの集落の浸水跡や施設がすべて流出した道の駅などの光景を見るとともに、当時関係していた新宮市の廃棄物担当の方の話を聞いたことが災害廃棄物処理の研究を始めるきっかけとなりました。

○最も強く印象に残ったこと

 研究では、南海トラフ地震を想定したごみ処理のほかし尿処理についても取り組んでいますが、その被害予測の甚大さには驚かされました。和歌山県下においては30%以上の建物が全壊し、一時的には人口の約50%程度の避難者が発生するというもので、和歌山県は壊滅的な被害を受ける可能性があることを自身の計算によって確認したとき、社会問題としての重大さに改めて気づかされました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 私の所属機関は和歌山県中部沿岸部に位置しています。周辺地域は過疎化が著しく進行していて、このままでは早晩ごみ処理行政は立ちゆかなくなります。それに加えて災害に対して非常に脆弱な面を持っています。このような地域において、災害対応が十分に考慮され環境省が提唱する地域循環共生圏の考え方とも一致する環境関連インフラのあり方をテーマとして研究を進めたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害の種類や規模によって廃棄物量はもとより種類、状態が異なってきます。状況に応じて迅速にかつ簡易に災害廃棄物予測が可能となるデータベースやソフトの構築ができると、自治体の方も取り組みやすいと思っています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 廃棄物とは関連しませんが、この夏、3月に全線開通した三陸リアス線縦断の旅をしてきました。それが、先日の台風19号による被災で再び分断されてしまいました。地方における災害に対する脆弱性と対策の難しさを痛感しています。

(2019/11/29掲載)

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佐伯 敬(さえき たかし)


株式会社 東和テクノロジー
環境ソリューション事業部
業務部長
(山口県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成27年4月に災害廃棄物対策を主とする部署が社内に設立され、そこに配属されることとなった。災害廃棄物処理計画の策定支援などが主な業務内容だが、その年の9月に関東・東北豪雨が発生し、茨城県常総市の災害廃棄物対策の現地支援に半年間にわたって携わらせていただいたことが本格的なきっかけになった。

○最も強く印象に残ったこと

 初めて被災現場を訪れたときの、まだ街中のいたるところに無秩序に排出された災害ごみ、消毒のために散布された消石灰でくすんだ空気、その中で、視察メンバーの口数がだんだん少なくなって重苦しい雰囲気になったことを鮮明に記憶している。

 常総市のプロジェクトチームのお手伝いを通じて、メンバーの奮闘を目の当たりにしたこと、災害ボランティアに参加したことは、仕事のうえでも大きな転機になった。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 D.Waste-Netをはじめ、災害廃棄物対策に関する様々な業務や活動に携わる機会が増えた。地方自治体の災害廃棄物処理計画策定の際には、顧客と十分にコミュニケーションを図り、できる限り現地支援などの経験を活かすことを心がけている。

 今後は、これまで得られたノウハウを活かし、実用的な計画策定や関連する様々なプログラムを提案して、顧客の災害対応力向上のために役立ちたいと考えている。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 国でも初動マニュアルを検討されているが、できるだけ早く住家や廃棄物処理施設等の被害状況、人員や資機材、仮置場等の確保の状況を把握し、まずは大まかな発生量と処理フローを検討したうえで、具体的な行動に移すための必要事項を迅速に整理することが重要と考える。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物処理は、多方面における連携・協力と多額の費用が必要になる。前者はネットワークを機能させるための平時からの準備、後者は補助金の対象となることを見据えた原則・基本方針を定めておくことが重要だと考える。自分なりに業務や活動の経験を活かし、顧客が躊躇なく行動を起こせる体制づくりに少しでも貢献したいと思っている。

(2019/10/31掲載)

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吉田 裕(よしだ ゆたか)


北海道 渡島総合振興局
保健環境部環境生活課
主幹
(北海道出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 平成29年4月から、環境省北海道地方環境事務所に災害廃棄物対策専門官のポストが置かれることとなり、北海道庁から割愛採用されました。

 道では産廃関係の業務を担当しており、始めは手探りでしたが、環境省はじめ関係者の皆様に親切丁寧に厳しく鍛えて頂きました。

○最も強く印象に残ったこと

 平成29年九州北部豪雨、平成30年7月豪雨の際に現地支援チームとして被災自治体に入りましたが、西日本の真夏の暑さと水害廃棄物の組み合わせは公衆衛生の問題となってしまうということを痛感しました。特に、畳が発酵しかけている仮置き場は強烈でした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 道内外で培った人脈を活かしながら、活動で得た暗黙知をなんとか言語化して、関係者にフィードバックしていきたいです。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 北海道胆振東部地震では、仮置き場には古い家電や家具など、災害廃棄物か判断に悩むものが多数搬入されました。水害の場合、水に浸かった退蔵物すべてが災害廃棄物になってしまいますし、自治体は平時に退蔵物の適正処理を進めるべきです。

 また、自治体によって災害廃棄物の受け入れ方法や住民の費用負担にばらつきが有り、一部では近隣自治体へ越境搬入があったようです。

 公務員はメディアに対し受け身になりがちですが、発災時は積極的に正確な情報を発信するマインドが必要です。メディアが取り上げない自治体には、ボランティアの方もあまり入ってきません。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 初動では、生ゴミと片付けごみが混ざらないよう、速やかに処理スキームを構築して、的確に周知することが重要ですし、これは、平時に検討しておくべきです。

 発災時の国のプッシュ型支援は、非常に有効です。道職員に戻った今、都道府県職員は発災後、情報を待つだけではなく、特に情報が入ってこない小規模自治体へ足を運び、まずは自分の目で状況を確認することが必要だと、改めて強く思います。

(2019/10/31掲載)

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田畑智博(たばたともひろ)


国立大学法人 神戸大学
大学院人間発達環境学研究科
准教授
(三重県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私はライフサイクルアセスメント(LCA)という手法や考え方を用いて、環境的・経済的・社会的に持続可能なまちづくりのあり方を提案することを研究しています。災害廃棄物の研究を始めたきっかけは東日本大震災でした。この時に、防災・減災に関わる研究に何か貢献できないかという意識が芽生えました。その後、南海トラフ巨大地震への対応が極めて重要になっていることを知り、LCAの考え方を使って、南海トラフ巨大地震を事例とした災害廃棄物処理のシミュレーションを実施するための研究プロジェクトを立ち上げました。

○最も強く印象に残ったこと

 南海トラフ巨大地震で甚大な被害が想定される自治体に聞き取り調査をした際に、「ある地区は平地が多く、且つ高齢者が多い。津波が来ても逃げられないし、逃げる高台もない。高齢者は老い先短いから、逃げても仕方ないと言う」と語っておられたのが印象的でした。自治体は人命・財産の保護が再優先の責務ですが、経済面の課題だけでなく、地域住民の防災・減災に対する考え方の相違にどう向き合うべきか、という重い課題を抱えていることを知りました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は、研究プロジェクトで得た知見を生かして、複数の自治体での災害廃棄物処理計画の作成に関する協議に参画させて頂いています。研究では、地域特性を考慮した、災害廃棄物の発生原単位の推計方法の確立に取り組んでいきたいと考えています。その一環としまして、高齢者宅における家財の所有量や耐震固定に関する調査などを行っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 高齢者が多い地域で、自助・共助の観点から、地域住民が災害廃棄物の撤去や運搬にどこまで携わることができるか。被害が想定される地域の高齢化率、住宅の建築構造、耐震化率や家財の耐震固定状況など、事前の災害廃棄物処理量の推計に役立つ情報。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 防潮施設や住居などの耐震補強、家財の耐震固定などの対策は、人命・財産に対する被害の抑制だけでなく、災害廃棄物の発生抑制にも効果があります。処理だけでなく、発生抑制の観点から防災・減災対策を考えていくことが大事だと感じています。

(2019/9/30掲載)

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千葉俊彦(ちばとしひこ)


株式会社エックス都市研究所
環境エンジニアリング事業本部
設計支援グループ
副グループ長
(千葉県出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 廃棄物コンサルタントとして主に最終処分場の計画・設計業務を行っている。災害廃棄物対策についても役に立てることがあるのではとの思いは強かったが、実際に関わったのは、東日本大震災と関東・東北豪雨からである。

○最も強く印象に残ったこと

 関東・東北豪雨では発災から約1ヶ月後に常総市の支援業務を受託し、担当となった。

 常総市の水害のことはTV報道で見る程度で、全くの人ごとであったが、1ヶ月遅れで当事者となり、常総市のプロジェクトチーム、環境省や茨城県等の支援チームとの情報格差を埋めるところからのスタートとなった。

 その後、約半年間、常総市役所の災害廃棄物対策プロジェクトチーム内に常駐し、当事者意識を持ちながら災害廃棄物対策に係る日々の判断の手助けを行った。コンサルタントとしては得がたい経験であった。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は東日本大震災によって発生した指定廃棄物の処理支援が主な業務である。

 一方、大規模災害時には一般社団法人持続可能社会推進コンサルタント協会(旧廃コン協)のメンバーとして、D.Waste-Net(災害廃棄物処理支援ネットワーク)を通じた被災地支援に参加するほか、自治体の災害廃棄物処理計画策定支援等を行っている。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 発災直後は、確認された情報から被災規模や災害廃棄物量が控えめに発表され、初動が遅れる傾向がある。災害規模に応じて被災家屋数等を概略推定して全体像を把握する方法の確立が望まれる。一方で、災害廃棄物対策の経験者は直感で災害規模を把握できるため、経験知の共有が必要だと考える。

 また、受援側が必要とする情報と支援側が提供する情報に時系列的な乖離が見られる。支援側が必要となる支援内容を判断するために、受援側からの情報を必要とするが、発災直後の混乱期に支援側が必要とする情報を、受援側から発信することは困難である。このことから、初動における支援側の自立的な情報収集体制の確立が望まれる。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 阪神大震災時に宝塚市で被災し、家内の実家の離れをリフォームした新居が、完成後僅か8ヶ月で全壊して解体した。リフォームで寝室を補強していなければ、確実に家の下敷きになっていたであろう。隣接する母屋も全壊し、義祖母が犠牲になった。

 当時、駆け出しの廃棄物コンサルタントであったが、災害廃棄物処理に対して何も出来なかった悔しい思いがある。

 自然災害が多発しており、発災時には直ぐにでも駆けつけたい思いはあるが、日常業務に追われており、思うように動けない。

(2019/9/30掲載)

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大瀧慎也(おおたきしんや)


倉敷市 環境リサイクル局
リサイクル推進部 一般廃棄物対策課
課長主幹
(岡山県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私は平成30年3月までの5年間、教育委員会で社会教育主事として「人づくり」「地域づくり」「絆づくり」に取り組んできましたが、4月の人事異動で一般廃棄物対策課への配属となりました。

 それから3か月後に平成30年7月豪雨災害が発生し、災害廃棄物が一般廃棄物であるということを知らされるとともに、気が付けば災害報告書担当として災害等廃棄物処理事業にどっぷりと浸かっていました。

○最も強く印象に残ったこと

 想定と実災害では緊迫感が全然違うことです。災害発生直後は道路が陥没し、救急車がサイレンを鳴り響かせ、浸水後の乾いた汚泥による粉塵で辺り一面が灰色の世界でした。そのような異様な状況の中、多くの人々が非日常的な行動をとっていたことが頭から離れません。この状況は被災者の方に限ったことではなく、行政担当者もほぼ全員が目の前の作業に集中しすぎるあまり浮足立った状況でした。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 災害廃棄物処理もなんとか折り返し地点を通過した現在、発災直後の混乱した状況や災害等廃棄物処理事業の実施内容を振り返るとともに、被災された方からの意見を踏まえた課題などをとりまとめています。

 このことが、本市における今後の災害への備えとなるとともに、全国の災害廃棄物担当者の方々にとって今後の災害時の対応や備えの一助となればと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 被災された自治体や支援された事業者、各種団体における対応の記録が共有できればと感じています。自らの被災経験はとても貴重であり重要ですが、それに固執してしまうと固定観念化してしまう懸念があります。様々な状況における災害対応の事例に触れることが想定の視野を広げ、結果として人づくりにつながるのではと感じています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 大規模災害に対する強固な体制をつくるには、地域社会におけるネットワークも欠かすことができません。そのためには、被災した地域の方々が当時どのように感じ、どのように行動したかを丁寧に把握していく必要があると考えます。それが災害廃棄物処理の実務にとって必要不可欠な「現場の実情」であり、そこに強固な体制の基礎を固める可能性が秘められていると感じます。

(2019/8/30掲載)

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佐伯 孝(さえき たかし)


公立大学法人 富山県立大学
環境工学科
講師
(山口県出身)
研究者系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私は、産業廃棄物や処理施設を対象とした様々な研究を行っております。2014年に神戸大学の田畑智博氏を代表者とした環境省の環境研究総合推進費「震災に伴う人工資本・自然資本ストックの損失と対策の評価(2014-2016)」の研究メンバーに参加し、南海トラフ巨大地震における災害廃棄物処理に関する研究に携わったことがきっかけです。

○最も強く印象に残ったこと

 東日本大震災、広島市土砂災害、常総市水害、熊本地震など被災地が少し落ち着いてから行かせていただいています。被災地全体で発生する災害廃棄物をどのように仮置するのか、仮置場の管理・運営をどうすればいいのかについて、今まで様々な災害における知見が活かされ、改善が進んでいると思っています。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 現在は、南海トラフ巨大地震で発生する膨大な災害廃棄物について、産業廃棄物処理施設の利用による効率的な処理・リサイクルに関する研究を行っています。

 また、災害が発生した直後の情報が少なく混乱した状態において、災害廃棄物の収集、仮置、処理を円滑に行うためには、行政として何が出来るのか、住民として何が出来るのかについても研究を進めていきたいと思っています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害が発生した直後1~2週間に仮置場において、どのような性状の災害廃棄物が住民によって持ち込まれ、どのような対応、対策が行われたのかなど、混乱期にどのようなことがおき、どのように対処したのかといった多くの事例を共有していただけると助かります。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 熊本地震では災害廃棄物の処理において産業廃棄物処理施設が活用されました。さらに被災家屋の解体現場での分別に業者の協力もあったと聞いております。非常時の災害廃棄物の処理において、最終的には人と人のつながりが重要なのだなと感じております。

(2019/8/30掲載)

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上村一成(うえむらかずなり)


朝倉市 市民環境部
子ども未来課 課長
(福岡県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 私は、平成26年度から環境課リサイクル推進係長を拝命し、施設担当係長として、し尿処理施設や火葬場の維持管理業務に携わっていました。しかし、通常時の廃棄物(ごみ)の処理やリサイクル、災害廃棄物を担当する係長が、平成29年4月をもって定年退職されることから、当時の課長から平成28年度から朝倉市の災害廃棄物処理マニュアルの年度更新業務を任されたのがきっかけです。その後、その課長も平成29年4月に異動され、異動したばかりの係長に引き継ぐわけにもいかず、7月の九州北部豪雨災害を迎えました。

○最も強く印象に残ったこと

 一言でいうならば「人に感謝」です。想定外の大規模災害で大混乱の中、なんとか乗り越えることができたのは、課員に恵まれたこと、様々な皆様のお力添えがあったことです。

 その一例です。私が従事した集積場でのこと、場内の積み下ろしに手間がかかり、大渋滞となったのですが、その待ち時間を利用して、助手席に乗ってあった方々やご近所の息子さん二人が自主的に積み下ろしを手伝っていただきました。ろくに休みも(トイレにも行けない)食事もとれなかった職員一同は、本当に感激しました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 平成31年4月から、残念ながら(?)異動となりましたが、私で良ければ、現在の業務に支障がない範囲で、可能な限り国、県、環境課への協力、今後被災された(あってはならないことですが)自治体へのお手伝いをしたいと思います。引き続き、在籍していたならば、今回の体験を生かした廃棄物処理計画と処理マニュアルを作りたかったですね。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 今回、補助金の交付事務に関しては、かなり苦労しました。国・県・市の財源や予算の仕組みを踏まえての補助金交付事務は、財務担当の経験がない者には非常にハードルが高いものです。単年度事業であれば、そこまで複雑ではありませんが、明許繰越や事故繰越になる場合は、財務省支局等との関わりや起債の取り扱いも複雑になります。

 このため、財務経験がない職員にも配慮し、予算・起債等の財務に関する仕組みも含めた災害廃棄物処理事業費補助金の仕組みの解説もしくは手引きがあれば助かりますね。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 先に述べましたように、今回、他の自治体・団体の皆さんのご協力やご配慮をいただきました。中でも、発災当初、環境省の支援チームの皆さん、D-waste-netのみなさん、そして常総市の職員お二人が支援に来ていただきましたが、その後も何かと親切、丁寧にご相談に乗っていただき大変助かりました。現在も引き続き情報交換等、親しくしていただいている方もいます。その後、私が支援に赴いた先の自治体の方とも親しくさせていただきました。

 これまでに関わった皆さん方とは、ずいぶん以前から友人だったような気がしており、今後もこのつながりを大事にしていきたいと思います。

 最後になりましたが、たくさんの方から受けたご協力やご支援に感謝し、直接「恩返し」できない分は、他の自治体の皆さん方へ「恩送り」をしていきたいと思っています。

 今後とも朝倉市をよろしくお願いいたします。

(2019/7/31掲載)

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片淵昭人(かたぶちあきひと)


株式会社興徳クリーナー
代表取締役社長
公益社団法人大阪府
産業資源循環協会 会長
(大阪府出身)
支援者団体系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 公益社団法人大阪府産業資源循環協会(以下「協会」という。)では、大阪府内の被災市町村から災害廃棄物処理の協力の要請を受けた大阪府がその協力を協会に依頼することにより、協会が実際の処理を支援する旨の協定を、大阪府との間で締結しています。平成18年3月の締結から12年が経過した昨年度、大阪府北部地震や台風21号等(以下「北部地震等」という。)に伴う災害廃棄物の処理を、本協定に基づき支援しました。

○最も強く印象に残ったこと

 災害廃棄物の処理行程を組むことの難しさです。ご存知のとおり災害廃棄物は、法令上、一般廃棄物に区分されることから、まずは被災市町村内において迅速かつ適正に処理することを考えなければなりません。しかしながら、災害廃棄物の種類・数量や性状如何によっては域内での処理が困難となることも十分にあり得ます。こうした場合、「一般廃棄物の広域処理(越境移動)」について検討しなければならないわけですが、そのためには被災市町村や協力会社との調整・連携だけでなく、災害廃棄物の搬入先となる区域を管轄する市町村の積極的な理解と対応も必要になります。北部地震等に伴う災害廃棄物にあっては、以上の点が十分に得られなかったために、一部その円滑な処理に支障をきたす場面がありました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 北部地震等に伴う災害廃棄物の処理業務を実際に経験することにより、多くの課題が浮彫りとなりました。一つは、現行以上に透明性と実効性の高い支援体制を確保するため、既定の「災害時復旧活動協力規程」を見直し、これに伴う作業手順書の整備・拡充や資機材調査の改善・強化等、所要の補完措置を速やかに講ずる点を挙げることができます。また、もう一つに、上記にあるような支障等が今後生じることのないよう、大阪府及び府内市町村との意識共有や連携強化を目的とした「協議体」の創設を呼びかけていく点を挙げることができます。その足掛かりとして、協会では、大阪府とは別に、府内市町村との間でも個別の協定締結を進めています。現在、大阪市、堺市、泉佐野市と締結済みですが、将来的には府内全市町村との協定締結を完了させたいと考えています。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 災害廃棄物処理の協力の実例とその際に生じたトラブルや行政庁による指摘事項等について整理されたものがあれば、以降における協会の支援体制や事務作業の高効率化に活用できるのではないかと考えています。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 電気・ガス供給や水道といったライフラインと同様、廃棄物処理は社会インフラです。廃棄物が適正に処理できなくなれば、市民の生活環境を保全することも、公衆衛生の向上を図ることも儘ならなくなり、また企業に対しては経済活動そのものの停止を強いることになるからです。市民、企業が安心して生活、事業を営んでいくためには、如何なる状況下にあっても安定・継続して廃棄物を適正に処理できる存在が不可欠となります。例え大規模な自然災害に見舞われたとしても、速やかに復旧を果たし、引き続き「社会全体の下支え役」を担っていくことは、いわば産業廃棄物処理業界(以下「業界」という。)に求められているCSRなのです。そうした社会的な要請が強くなる中、協会や業界の見え方・在り方が変わりつつある現状を行政をはじめ一般の方々にも広く知っていただければ幸いです。

(2019/7/31掲載)

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渡邊高之(わたなべたかゆき)


常総市産業振興部生活環境課
課長補佐
(茨城県出身)
行政系コース

○災害廃棄物に関わったきっかけ

 茨城県常総市は、平成27年9月関東・東北豪雨により一級河川鬼怒川(きぬがわ)が氾濫し、市の3分の1が泥水に浸かる大規模な浸水被害に見舞われました。水が引き始めた直後から大量の片づけごみが発生し、担当課だけでは対応できず、処理のための庁内特命組織「災害廃棄物処理プロジェクトチーム」が編成されることになり、会計課長補佐だった私に突然辞令が発令されたのです。私の自宅も浸水し、泥だらけの家財を何度も仮置場に運び込んでいました。

○最も強く印象に残ったこと

 廃棄物に関する知識がないなか、どうにか処理を前進させようともがいていたある日、市民の方から言われた言葉が強く印象に残っています。

「俺たちが出しているのはごみじゃねえ(ない)。さっきまで家にあった家財で財産だ。たまたま泥水かぶったから、しょうがねえから捨てるしかない。おまえらそれを分かってやってんのか(やっているのか)。」

 自分も被災者でありながら、原点を忘れていたことに気づかされ、心が震えました。

○現在の災害廃棄物対策との関わりや今後取り組みたいこと

 発災から1年後、復興祈念式典が開催されました。来賓である国土交通大臣をとり囲んだ報道記者が大臣に質問しました。

「大臣、過去の災害の教訓が今回の災害でどのように活かされたとお考えでしょうか。」

 直近で聞いていた私は、はっとしました。そうだ、自分たちの使命はこれだ。次の被災地につなぐことだ。多くの課題や教訓を平時の備えとして引き継ぐことだと。

 その後現在まで多くの災害が発生しましたが、被災自治体の皆様を現地で支援させていただく活動を続けました。同じ自治体の目線で支援することが被災自治体にとって非常に有効です。全体としてのその仕組みづくりが必要だと感じます。

○災害廃棄物対策に関して欲しい情報、共有したい情報

 この業務の最も重要な部分は、分別だと考えています。例えば発災当初の仮置場において、市民からの非常に強い搬入圧力を受けながら、片づけごみを分別配置するには、どのように対応すれば実現できるのでしょうか。事前に何を準備し、どのくらいの人数で人をどのように配置し、どのような手順で、どう行動すればよいのか。特に職員数が少ない場合など、実践に直結する具体的手法の開発が必要と考えます。

○その他、災害廃棄物対策に関する思いなど(自由記述)

 災害廃棄物処理は多くの関係者との協働作業であることを実感しました。平時における人と人とのつながりが、日本全体としての対策強化につながると確信しています。

(2019/6/28掲載)


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