テーマ別参考資料集(現在進められている取組レポート)

横浜市の災害廃棄物処理計画策定について
横浜市財政局公共施設・事業調整課
担当課長 生井 秀一

平成30年12月

1.はじめに


 横浜市では、平成23年3月に発生した東日本大震災や平成28年4月に発生した熊本地震の教訓と、平成27年7月の「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」及び「災害対策基本法」の改正を受け、平成29年から大規模災害時に発生する災害廃棄物の処理を適正かつ円滑・迅速に行うため、「横浜市災害廃棄物処理計画」の策定を進め、平成30年10月に同計画を取りまとめました。


2.被災地支援から得られたこと


 本市は、これまで地震・水害で被災された地域の支援のため、職員を派遣し、被災状況や道路状況の確認を行うとともに、被災自治体の職員の方と派遣に必要な人数や車両の選定を調整しました。被災地では、市中の災害がれきを現地のボランティアと協力して撤去し、仮置き場へ搬送し、仮置き場に排出された災害がれきを可燃物と不燃物に分けて、焼却工場や最終処分場へ搬送しました。

 このように事前に、現地が混乱する中で、経験を生かした調整を行ったことにより、切れ目のないスムーズな支援につながり、しっかりと被災者に寄り添う作業を行うことができたと考えております。

 そこから、実際に横浜市が災害に遭った時に、どのように市民・ボランティア・支援者に接していくかを学びました。

 そこで、これまでの被災地支援の経験を踏まえ、今般、「横浜市災害廃棄物処理計画」を策定しました。この計画を基に、災害の発生状況によって、あるいは発災直後から、復旧・復興に至る時間軸の中で、どう実践的にこの計画を基に行動できるかといったこと、また、自助・共助・公助といった基本的な枠組みの中で、関係者がどう役割分担し連携していくのかを考えました。



3.本計画の概要


(1) 基本目標


 市民生活の衛生環境の保全を図り、早期に生活再建や各種インフラ等の復旧、さらには、地域経済の復興支援や災害後の復興まちづくりなどにつなげられるよう、「迅速な処理・処分」を目標とします。

 なお、発災後は実際の被害に基づき災害廃棄物の量や処理施設及び道路網等の状況から、収集運搬・処理処分に至る体制、スケジュール等を「災害廃棄物処理実行計画」として策定し、進めます。


4.計画のポイント


(1) 局の体制と目標処理期間


 横浜市域全体では、震源地からの距離、地盤の強い地点、弱い地点など、震災被害の程度に差があること、また、全市域を1か所で把握するには、時間を要することから、大量に発生する災害廃棄物を迅速に処理・処分するため、市内に4つある焼却工場を中心とした方面本部を設け、エリア内の状況をしっかり把握し、被害が大きいエリアについては、被害が小さいエリアの人員等で応援を図るなどにより、各方面の被災状況に応じたきめ細かい対応を行います。


図1 方面本部の区割りイメージ


 なお、災害廃棄物の処理に当たっては、早期に経済活動の再開及び安定した市民生活の回復につなげられるよう、収集体制が整い次第、発災後概ね72時間までに順次収集を開始します。市民の皆様には、平時の分別を基本として「生活ごみ」を排出していただき、壊れた家具や家電などは、「片付けごみ」として、「生活ごみ」とは区別して排出していただくようお願いしていきます。なお、地域防災拠点等の仮設トイレのし尿収集については、発災後2日目から対応します。

 トイレ対策については、地域防災拠点の仮設トイレのし尿を、民間協定業者とも連携し、優先的に収集します。また、収集事務所が、地域防災拠点に備蓄されている仮設トイレの使用状況を把握し、追加が必要な場合の配備等を行います。


図2 災害廃棄物の目標処理期間


(2) 民間事業者との協定


 収集や仮置場の運営などでは、民間事業者との連携が不可欠であり、現在、次のように合計24件の協定を締結しています。

分 類 概 要 件 数
一般廃棄物・し尿 収集運搬業務に関する協力 2件
トイレ対策 仮設トイレ・トイレパックの提供協力 10件
工場・処分地等施設の保守 応急措置の協力 6件
災害がれき 解体撤去や仮置場の運営など 6件

(3) 災害廃棄物の推計量と仮置場


ア 発生量

 本市では、元禄型関東地震の想定で、災害がれき等が1,319万トン発生すると推計しています。

イ 仮置場

 大量の災害がれきを処理するため、本計画で必要な仮置場の面積を推計しました。
 なお、仮置場の具体的な場所は事前に定めませんが、発災後速やかに仮置場が設置できるよう、空地・未利用地について調整していきます。

分 類 機 能 必要面積 開設目標
一次仮置場 ・災害廃棄物をいち早く搬送するための一時的な保管場所
・被災地から近い範囲で、一定の面積が必要 1,158千m2
1,158千m2 2週間以内
二次仮置場 ・災害がれきを破砕、選別、処理処分施設への搬送拠点
・敷地内に仮設の処理施設を整備する場合もあり
1,713千m2 2か月以内

(4) 処理処分にあたっての資源化の取組


 大量に発生する災害廃棄物は、その内訳を見るとコンクリート殻、金属及び木材がその多くを占めることから、可能な限りこれらのリサイクルを進め、焼却量の低減を図ることにより、焼却工場や最終処分場の負担を軽減します。

 リサイクルの推進や各施設をフル稼働しても処理しきれない場合は、仮設焼却炉の設置や他都市との連携などで対応し、目標期間内での処理を目指します。


(5) 他都市との連携の考え方


 全国の政令指定都市が一体となって災害対策に取り組む「広域・大規模災害時における指定都市市長会行動計画」に基づき、被災都市ごとに応援都市が個別に割り当てられる制度を活用します。また、その他自治体間の相互応援協定による連携や、環境省の「災害廃棄物処理支援ネットワーク」などの支援の仕組も活用していきます。


(6) 福祉的支援の視点


 災害時に必要な行動を取ることが困難な人などに対して、ボランティアとも協力しながら、災害廃棄物の持ち出し支援等の対応をします。


(7) 平時の備え


 災害時、災害廃棄物の対応を円滑に行うため、平時から次のような取組を実施します。

ア 多様な防災訓練・研修の実施

(ア) 仮設トイレ等の備蓄品を災害時に使用できるよう、地域防災拠点訓練などを通じて取り組みます。訓練では女性やこども等が安心して利用できる視点も大切にします。

(イ) 民間協定先との連携した訓練を実施します。

(ウ) 方面本部の体制構築が円滑に行えるよう、訓練を実施します。

イ 施設の強化

 工場、収集事務所について、災害時に業務継続ができるよう、施設の強化に取り組みます。

ウ 市民への広報及び情報発信

(ア) 災害について関心を持ち、理解を深めていただくため、地域防災拠点の訓練への参加などあらゆる機会を通じて情報提供します。

(イ) 災害時の廃棄物の排出方法やトイレ対策等をまとめたリーフレットを作成し、地域防災拠点の訓練や災害ボランティア向けの説明に利用します。

エ 仮置場候補地の選定

 事前に市内の空地・未利用地の把握に努め、事前に仮置場候補地を調整します。

オ 計画の見直し

 災害廃棄物処理計画は、防災訓練などを通して、市民や関係機関と協力して、継続的な改善と見直しを行い、実効性を高めていきます。



>>本記事は以上になります。 画面top  メニューに戻る