災害廃棄物処理の現場から

特派員レポート
糸魚川市駅北大火で発生した災害廃棄物処理に係る現地視察レポート
国立研究開発法人 国立環境研究所
災害環境マネジメント戦略推進オフィス

平成29年4月

はじめに

糸魚川市駅北大火・・・平成28年12月22日に新潟県糸魚川市駅北地区にて火災が発生、木造の商店街や住宅街の密集地域であったことに加えて、当日の強い南風(山側から日本海方向へ)により延焼範囲を拡大し、焼失面積約40,000m2の大規模火災となり、翌23日に鎮火した。
 なお、通常の火災残渣については、その処理方法や処理料金については市町村に委ねられているところである。本火災については、12月22日に災害救助法が適用され、30日には自然災害として被災者生活再建支援法の適用対象としたことから、廃棄物は災害廃棄物処理事業の対象となった。

 国立環境研究所・災害環境マネジメント戦略推進オフィスでは、D.Waste-Net支援者グループの活動の一環として、本大火により生じた災害廃棄物処理について当初、環境省に一定のアドバイスをさせていただきました。年が明け、火災から約2か月後の平成29年2月15日、処理を担当している糸魚川市の職員の方々に、これまでの経過と現状についてお話を伺う機会をいただき、また職員の方のご同行の下、被災地と仮置場に足を運び処理の様子を見聞きすることができましたので、その結果についてレポート致します。


D.Waste-Netにつきましては、次の環境省ページをご参照ください。環境省D.Waste-Netのページ環境省D.Waste-Netのページ


糸魚川市駅北大火の延焼範囲(Google Mapと糸魚川市提供資料を基に作成)


火災は強風による飛び火も相まって日本海に面する住宅地まで広がった。 

マーク付きの画像はクリックで拡大することができます。)


災害廃棄物の処理について(概要)


経過


12月22日 13時 災害対策本部設置

12月24日 燃やせるごみを通常30kg以上は有料のところ無料として、災害廃棄物を受け入れ開始

12月25日 環境生活課が処理体制構築に向けて、建設業協会、産廃業者、セメント工場、「エコパークいずもざき」(新潟県環境保全事業団の最終処分場)等と協議開始

12月27日 被災者説明会 木造家屋は市で処理する方針。公費解体申込書と共に私有地立入りの同意書も併せて提出のお願いをした。

12月27日 仮置場の確保手続き開始 高田河川国道事務所糸魚川出張所に姫川河川敷を仮置場として使用するための協議開始。翌日、漁協にも説明

被災地の混合廃棄物。敷地境界を一旦残す目的で、建物の基礎部分はまだそのまま残されていた。 

12月29日 解体申込書と同意書の配布開始。1月20日までに提出

1月6日 建設業協会により、まずは大きな金属の撤去作業開始

1月18日 セメント工場で木材の受入開始

1月20日 個人宅からの搬出に対する市職員、所有者の立会いは殆ど終了

1月末 金属、木材の搬出ほぼ完了

2月8日 混合廃棄物撤去開始。姫川河川敷仮置場へ

2月13日 姫川河川敷仮置場から50cm以下の再利用不能物を「エコパークいずもざき」へ搬出開始。また同日から被災地の測量を開始

3月22日 木造家屋の基礎を除くがれきの被災現場からの撤去完了


<今後の予定>

4月30日 姫川河川敷仮置場復旧完了


視察当日(2月15日)時点の状況


 既に被災地からは、おおかたの金属や大きな木材は搬出済(1月末)であり、訪れた日の1週間前より被災地に残った混合廃棄物の撤去作業、及び被災地から約2km程離れた姫川河川敷に設置された仮置場への搬出が進められていた。

 今後の予定としては、被災地での分別及び撤去を3月末に完了させ、仮置場での処理と復旧完了までを使用許可期限の4月末に完了することを目指して作業を進めるとのことであった。


市・県・民間の連携と処理フロー


処理体制構築に向けた連携


 糸魚川市では防災計画に環境生活課が廃棄物対応組織として位置づけられており、12月25日から処理体制構築に向けて役割分担しながら建設業協会、産廃業者、セメント工場、最終処分場等との協議を開始した。


処理フロー


処理フロー 

被災現場からの撤去:1月6日から建設業協会が撤去開始。被災地を5ブロックに分け、ブロックごとに管理会社を設定した。

運搬:建設業協会に委託。ダンプ1台当たりの単価契約。

再生処理:

・金属は市内事業者へ、廃木材はセメント工場へ(金属・廃木材は1月末で搬入完了)、コンガラは市内3業者へ、可燃物は糸魚川市清掃センターへ直接搬入している。混合廃棄物は、2月8日から撤去を開始し、姫川河川敷の仮置場に搬入している。

・廃木材について、糸魚川市には2つのセメント工場があり、事前の協定はなかったが、元々一廃の廃木材をボイラー燃料として受け入れていたり、また熊本の災害廃棄物の木材を姫川港で受け入れ、その灰もセメントの原料としていたりなどの経緯があり、今回の火災燃え残り廃木材の受入れについて相談したところ、1月18日より受け入れていただけることになった。

・金属、コンガラはいずれもt当たり単価契約。

処分:公益財団法人 新潟県環境保全事業団の「エコパ-クいずもざき」には、従来から燃えないごみの残渣、飛灰の処理を委託していた関係で、清掃センター職員が、再利用できないものの処分について交渉を行った。エコパークは余力がなく現在受け入れを規制しているところであるが、50cm以下の再利用不能のものを2,000t受け入れてもらえることになった。また、不足する分についても、他の処分場を手配していただいた。2月13日から150mmスケルトンでふるって選別された、篩下の残渣を搬出開始。


災害廃棄物の性状


被災現場での災害廃棄物の性状:焼けたものの独特のにおいは1週間ぐらい続いたとのことだが、雪などで洗い流され、訪問時点では臭気は感じられなかった。ベッドが多かったとのこと。土壁、瓦なども特徴的。

仮置場での混合廃棄物の性状:雨雪による吸水の影響もあるが、恐らく土壁由来と思われる泥状のものに各種廃棄物がまみれている状態であり、今回の糸魚川市での火災による災害廃棄物の特徴の一端と思われる。


被災地での重機による災害廃棄物処理の様子 

仮置場にて、べとべとした泥状成分が多いと見られる混合廃棄物の山。 


仮置場について


仮置場の概要と確保


概要:市内を流れる姫川の河川敷に設けられた仮置場であり、面積は6,600m2である。場内の配置計画は清掃センター職員が担当して作成した。高さ2mのフェンスにより周囲を囲い、フレコンに土嚢を入れたものを周囲に配置し水の流入を防止。路面は元々のアスファルト舗装の上に鉄板敷。場内の排水は側溝を設置して集水し、濁水処理装置で処理後放流するが、処理不完全の場合は戻して再処理。混合廃棄物の積み上げ高さは1m以下との制限あり。

処理手順:スケルトン(目幅150mm)×2台 → 篩下は「エコパークいずもざき」へ、篩上は金属、木材、コンガラ、可燃に手選別後、リサイクル、焼却等の処理へ。

河川敷仮置場の確保:平成27年度に北陸地方整備局による水防演習のため姫川河川敷が舗装されていたので、高田河川国道事務所糸魚川出張所に仮置場としての使用を願い出た。

確保の背景:糸魚川市街地には広い場所がなく、住宅が近くて適地はなかった。一刻も早い復興をという住民感情に配意して、現場からも遠くない河川敷を選択した。


河川敷の仮置場。周囲に防音・飛散防止用の高さ2mのフェンスを設置。災害廃棄物は高さ1mまでの積上げ制限あり。 

スケルトンバケットを装着した重機で混合廃棄物を篩っている様子。混合廃棄物から染み出した水が場内に敷き詰められた鉄板上を流れていた。 



課題となっていた点


仮置場の事前確保が出来ていなかったこと。

姫川河川敷を仮置場として使えることになり2月8日から搬入開始したが、積上げ高さ制限(1m)によりあまり量が入らなかったため、視察当日は満杯で搬入を停止されていた。重機による篩選別の後は手選別を行う計画であるが、作業スペースが確保できず、重機選別して出た埋め立て対象物を搬出してスペースを確保しなければならない状況であった。しかし、その搬出も以下の問題があった。

・糸魚川市には最終処分場が無いため、新潟県の公共関与型最終処分場に混合廃棄物を入れさせてもらっているが、そちらも受け入れ制限がある。(不足分の受入先を新潟県が紹介)

・最終処分場まで距離が遠い(片道100km)ため、高速道路を使っても1日2往復が限度で処理速度が上がらない。

おわりに


 糸魚川市ご担当者の方からは、「やはり初動からの1か月間の対応がとても大変であった、そんな中でも、昨年、今年は降雪が殆どなく、処理には助かっている」、というお話を伺いました。雪が多かったら処理も更に困難を極めたことだろうと想像されます。

 一刻も早い復興がなされますことをお祈りしつつ、大変お忙しい中ご対応下さった糸魚川市の皆様に深く感謝を申し上げます。

国立研究開発法人 国立環境研究所
災害環境マネジメント戦略推進オフィス
川畑隆常、宗清生

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