研修事例報告

取組紹介
平成28年熊本地震災害廃棄物処理に係る現地視察・研修会を終えて(その1:概要)
国立研究開発法人 国立環境研究所
災害環境マネジメント戦略推進オフィス
宗 清生

平成29年8月

目次


1.はじめに

2.現地視察・研修会の概要

2-1 開催時期

2-2 参加者等

2-3 現地視察・研修会プログラム

2-4 現地視察・研修会の様子

1)開会挨拶/2)熊本県による講演/3)益城町一次仮置場視察/4)熊本県二次仮置場視察

5)熊本市による講演および戸島二次仮置場視察/6)熊本市東部環境工場における講演/7)まとめのワークショップ

3.現地視察・研修会を終えて

4.資料


1.はじめに


 近年、東日本大震災や熊本地震などの大きな災害や集中豪雨による災害など多くの災害が発生し、地方自治体の災害対応力向上の必要性は増々高まってきています。

 平成27年9月に発足した災害廃棄物処理支援ネットワーク(D.Waste-Net)は、国、自治体、事業者、有識者等が連携して、災害発生時には被災自治体の災害廃棄物処理に係る支援を実施するとともに、平時においては、事前の備えとして自治体が実施する災害廃棄物処理計画の策定や人材育成、防災訓練等を支援することを目的としています。

 当研究所は、D.Waste-Netの一構成員であることから、平時の人材育成活動の一環として、「平成28年熊本地震に伴う災害廃棄物処理に係る現地視察・研修会(以後、現地視察・研修会と略す)」を企画しました。これは、災害廃棄物処理が実際に行われている現場を教材とした研修プログラムであり、災害廃棄物の処理状況や現地担当者の対応状況などを、参加者自身の眼と耳で実感し、理解いただくことを意図して企画したものです。また、参加者間で意見交換すること等により相互の繋がりをつくっていただくこともその目的の一つとしました。本企画について、熊本県環境生活部環境局循環社会推進課久保課長、熊本市環境局資源循環部震災廃棄物対策課山岡課長、益城町環境衛生課河内課長にご相談したところ、快諾していただきましたので実施することとなりました。

 本報告は、今年1月と7月に2回に亘り当研究所と環境省九州地方環境事務所との協働で実施した現地視察・研修会の概要についてご紹介するものです。


2.現地研修・研修会の概要


 現地視察・研修会の概要は、表-1及び以下のとおりです。

表-1 現地視察・研修会の概要


2-1 開催時期


第1回 平成29年1月31日~2月1日
第2回 平成29年7月26日~7月27日


2-2 参加者等


 参加者の募集は、全国8ブロックに設置された災害廃棄物対策協議会等の構成自治体関係者としました。また、参加者を【撤去】、【一次仮置場】、【処理・処分】の各テーマに2班ずつの6班(1班5~6名)に分け、各班に1名有識者をご招待し、必要に応じて助言等をお願いしました。


2-3 現地視察・研修会プログラム


 現地視察・研修会プログラムは、表-1のとおりです。

 第2回は、第1回のいくつかの課題を改善すべく企画しました。


2-4 現地視察・研修会の様子


1)開会挨拶

 現地視察・研修会開催にあたり、当研究所 資源循環・廃棄物研究センター 大迫センター長、環境省九州地方環境事務所 廃棄物・リサイクル対策課 藤岡課長、熊本県 循環社会推進課 災害廃棄物処理支援室 馬場室長から挨拶をしていただきました。

国立環境研究所挨拶

環境省 九州地方環境事務所挨拶

熊本県挨拶



2)熊本県による講演

 現地視察・研修会の最初のプログラムとして、第1回は、熊本県 循環社会推進課 災害廃棄物処理支援室(以後、県支援室と略す)の小林参事より「熊本地震による被害の実態と災害廃棄物処理の現状、課題等について」と題して、被害の実態、災害廃棄物処理の現状、し尿処理の対応、課題と対策などについて説明していただきました。

 第2回は、県支援室の小西課長補佐より「熊本地震による被害の実態及び災害廃棄物処理の現状と課題」(資料1)と題して、被害の実態、処理推進体制の整備、これまでの対応状況、実行計画(第2版)、災害廃棄物処理の進捗状況、し尿処理の対応、課題と対策などについて説明していただきました。

熊本県講演(第1回)

熊本県講演(第2回)



3)益城町一次仮置場視察

 熊本県の講演の後、2台のバスで益城町一次仮置場に向かいました。被災地の状況は、片づけ、撤去が進み当初の様子とは変わっていましたが、第1回では、仮置場に向かう途中で、被災地の状況をバス内から視察しました。第2回は、仮置場に向かうバスの中で、同乗していただいた県支援室の方(Aバス:工藤参事、長石主任主事、Bバス:馬場室長、太田参事)に、質疑応答していただきました。

 益城町一次仮置場では、益城町 環境衛生課河内課長、藤芳審議員、小山主査により、第1回は対応の経緯、解体及び処理の進捗状況、仮置場における災害廃棄物の配置や注意事項等について説明をしていただき、その後、場内を視察し最後に質疑応答をしていただきました。

益城町一次仮置場配置図
クリックで画像を拡大)

 第2回も同様に河内課長、藤芳審議員、小山主査により、説明および質疑応答をしていただきました。説明に使用した資料は、資料2から閲覧可能です。

益城町一次仮置場における説明



4)熊本県二次仮置場視察

 熊本県の二次仮置場において、第1回は、県支援室廣畑課長補佐に「災害廃棄物の配置」、「処理対象災害廃棄物」、「処理業務の委託先」などについて説明および質疑応答をしていただきました。第2回は、場内視察において、県支援室工藤参事及び太田参事に処理工程等について説明していただきました。

熊本県による説明(第1回)

 二次仮置場配置図・処理フロー



5)熊本市による講演および戸島二次仮置場視察

 二日目、熊本市 環境局 資源循環部 震災廃棄物対策課(以後、市震災対策課と略す)荒木技術主幹兼主査により「熊本市の震災対応」と題して、熊本地震の概要、廃棄物処理施設の被害状況、発災後の処理体制、処理実行計画について説明していただきました。(資料3

 また、第1回は、市震災対策課荒木技術主幹兼主査、渡辺技術参事、大津山主査により、解体現場視察および戸島仮置場視察において、案内および説明をしていただきました。第2回は、バス移動中に、同乗していただいた市震災対策課の方(Aバス:荒木技術主幹兼主査、江﨑技術参事 Bバス:坂田課長補佐(市廃棄物計画課)、渡辺技術参事)に、質疑応答していただくとともに、戸島仮置場視察において、案内および説明(江﨑技術参事、恒松主任主事)をしていただきました。

熊本市による講演

 熊本市戸島二次仮置場配置図



6)熊本市東部環境工場における講演

熊本市東部環境工場における講演

 熊本市東部環境工場において、藤岡技術主幹により「平成28年度熊本地震による熊本市東部環境工場被災状況と対応」(資料4)と題して、災害ごみの受入、被災家屋解体等について説明していただき、その後、東部環境工場内の案内と被害状況等について説明していただきました。



7)まとめのワークショップ

 現地視察・研修会から得た情報、気づき等を整理して、各自の今後の取り組みに活かすために、各班に分かれてワークショップを行いました。ワークショップの構成は二部構成で、第1部は「得られたことの整理」、第2部は「事前準備事項の抽出」をテーマとしました。第2回も同様の構成としました。

 発表においては、第1部では、各班でメンバーが記載した意見をまとめ上げ、テーマに沿った視点で作成した成果物を使用し、代表者が発表しました。第2部ではテーマに沿って意見をまとめ、代表者が「私は帰ったらまずこれをやります」という宣言の発表を行いました。この宣言は、第2回では参加者全員が行いました。

ワークショップ(第1回)意見交換

ワークショップ(第1回)発表



ワークショップ(第2回)意見交換

ワークショップ(第2回)発表



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3.現地視察・研修会を終えて


 第1回の現地視察・研修会では募集人員の倍以上の、そして第2回でも定員を大きく超える方からご応募をいただき、自治体の皆様の本企画に対するニーズの高さを実感いたしました。また、参加者の皆様には熱心にプログラムに取り組んでいただきますとともに、第1回の事後アンケート結果から多くの「気づき」を得たとの回答をいただきました。災害廃棄物処理が行われている最中、被災自治体の皆様に大きな負担をお掛けしましたが、いくらかご恩返しができた思いです。参加者の皆様には心から感謝申し上げます。今回の経験が次へのステップの起点になれば幸いです。

 現在、第2回の事後アンケートを実施中ですが、その結果は、今後新たな現地視察・研修会を企画する際に活用させていただきたいと考えております。また、D.Waste-Netの人材育成活動を担う当オフィスでは、このほかにも様々な形で、災害対応力向上のための取り組みを継続して実施していく所存です。

 最後に、本現地視察・研修会の開催に当たりご協力を賜りました熊本県、熊本市及び益城町の関係者の皆様、そして適切なご助言をいただきました有識者の皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。


>>次回、その2として、研修参加者等からの意見・感想を中心に今後を展望する予定です。 メニューに戻る 画面top